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「待って もう一回」とすぐに読み返したくなる“すき”を描いた絵本。


こんにちは。

今週、新作はあるかな?と好きな作家さんの名前で次に読む本を検索していたら、小説ではない“絵本”に出会いました。見れば有名な作家さんが絵本の作者になったいろんな企画やシリーズがあって新しい発見がありました。

その中で読んだら「待って、どういうこと?もう一回読みたい」となったおかわり必至のシリーズがありましたのでご紹介。物語の深さがしみわたり、大人もぐっと引き込まれる絵本です。 (2019年5月~2020年4月出版)


『恋の絵本』シリースを知っていますか。



きみたちの「すき」は
ほんとうの「すき」だ

『恋の絵本』特設サイトより

それは、ほんとうにシンプルな“すき”が詰まった5冊でした。

はじまりは辻村深月さんのお名前で本を検索していたところ思わず“絵本”がヒットしたのです。これまでには小説以外でエッセイや小学生新聞の連載などを読ませていただいたことはあるのですが、絵本は読んだことがありません。これは読んでみたいと早速『すきっていわなきゃだめ?』を手に取りました。

「待って」

物語を読み終えてまず感じたのは、驚きと自分の凝り固まった古い感性。すぐさま最初のページにかえりもう一度読みました。

さすがの辻村深月さん。文章がこんなにもシンプルで、難しくないのに最小限の言葉で伝えたいテーマど真ん中を貫く素晴らしさ。加えて絵は今日マチ子さんが手掛けこれまたシンプルに「すき」への感情が伝わってきます。決して恋や愛が中心にあるのではなく日常のほんの一瞬にピントが合っていて、タイトル通りすきっていわなきゃだめ?のギモンへのアンサーがさらりと表現されていました。

このように揺れ動く気持ちをそっと肯定してくれる名作はあわせて5作品あります。この機会にと、全て読んでみました。


「恋の絵本」シリーズ監修/ライター 瀧井朝世さん


『すきなひと』
桜庭一樹/作 嶽まいこ/絵 瀧井朝世/編

わたしが待った長い日々を323個の文字と絵で壮大に描いた贅沢な作品。文字と絵が語りかけてくれるから、この世界にいる自分ごと包まれているかのよう。絵本だからできることがつまった一冊です。公式サイトメッセージも是非お読みください。

『すきっていわなきゃだめ?』
辻村深月/作 今日マチ子/絵 瀧井朝世/編
小学校でよく耳にする「だれがスキなの?」。でもよくわからないし、聞かれて困った人も多いのではないでしょうか。そんなモヤモヤをさっと風で吹きとばしてくれる作品です。シンプルに思う気持ちのままでいいんだと教えてくれる一冊です。ラストシーンがとても印象的でした。

『まっくろいたちのレストラン』
島本理生/作 平岡瞳/絵 瀧井朝世/編
いたちのはじめたレストランにあるお客様がやってきます。相手を思うまっすぐな気持ちが、島本理生さんの文章と平岡瞳さんの版画や色鉛筆の絵のぬくもりと相まって読み手にあたたかく届きます。タイトルが出るシーンとラストカットがわたしのお気に入りです。

『こはるとちはる』
白石一文/作 北澤平祐/絵 瀧井朝世/編
双子みたいに似ていて仲良しのこはるとちはる。気になる相手の存在に戸惑う愛らしい様子が文章と絵のマッチングで明るく大きな広がりを持って表現されています。最後の台詞にそうだねと納得。これは、あの頃のわたしに届けたい物語です。

『ぼくのポーポがこいをした』
村田沙耶香/作 米増由香/絵 瀧井朝世/編
ぼくのぬいぐるみポーポが、おばあちゃんと結婚する。この物語は、まったく新しい結婚を描いていて、読めば読むほど想像がふくらみました。絵本というアプローチはこのようなお話にほんとうにぴったりで、村田沙耶香さんと米増由香さんのコラボレーションが光る一冊です。


全ての編集に携わった瀧井朝世さんは、公式サイトでこうメッセージをよせています。

恋愛を描いた名作絵本はこれまでにもあります。ただ、恋愛観や結婚観、ジェンダー観が変わりつつある今の世の中で、「好き」という素朴な感情を肯定しつつ、現代の感覚に響く恋の絵本があってもよいのではないか。そんな思いから、このシリーズは生まれました。

『恋の絵本』公式サイトより


わたしは出版された当時ではなく、令和6年の今にこのシリーズに出会いました。今手にとってページをめくってもとても新鮮でたくさんの気づきをもらいました。もし機会がありましたら、この「好き」を絵本から感じてみてください。ブックサンタなど、この冬の贈り物にもおすすめです。



お読みいただきありがとうございました。






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