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野菜を育てて収穫する、調理して美味しくいただく、当たり前の幸せ
「久しぶりにかぼちゃの煮物を食べた!美味しい!」
とその女性が言う。
その言葉と、かみしめる様に食べる様子から、手作りした物を久しぶりに食べるといった風だった。
今日は、雑司ヶ谷大鳥神社で、「雑司ヶ谷かぼちゃと鎮守のスイーツ市」のある日
むかーし昔、江戸から明治に変わる頃、雑司ヶ谷は広ーい畑が広がっていて、そこには沢山の野菜が育っていたそうだ。その中でも「雑司ヶ谷かぼちゃ」はこの地域だけで盛んに育てられていて、明治の農産物博覧会でも高い評価を受けていた物だそうだ。(宮司奥様のお話より)
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雑司ヶ谷かぼちゃを育て収穫して、大鳥神社に奉納した。
ホッとしたのもつかの間、2つあるうちの1つを料理して、お客様に食べてもらいたい、そんな要望を受け、登山リュックに鍋と調味料を詰めて、会場へ向かう。
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お客様が見える前に、さぁ料理を始めようとすると、会場責任者のF氏が、
「せっかくだから、舞台で解体ショーをしよう!」
と言う。突然の申し出に困惑する。
宮司さんの奥様が雑司ヶ谷かぼちゃの歴史をお話しされた後、ショーが始まる。
テントを張った舞台に立つと、ベンチに座るたくさんのお客様の顔が見える。ここ雑司ヶ谷に住みながら、雑司ヶ谷かぼちゃは初めて見る、という方がほとんどで、皆、興味深々で見つめている。
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お客様の視線が集まる中、包丁を入れる。雑司ヶ谷かぼちゃは最近の緑色の栗かぼちゃほど硬くは無い。サクッと包丁が入った。
ふわぁ〜と甘〜い香りがする。メロンの様な香りだ。
お客様にも、香りを嗅いでもらう。
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実から種を取り出して、ふと思う。
「種、欲しい人いますか?蒔いて育ててみたい人?」
と舞台上から声をかけると、思いの外
沢山の方が手を上げて、一個のかぼちゃから出た種は、全部なくなった。
一口大に切り分けたところで解体ショーは終了して、調理に入った。
「出来上がったら声をかけるので、味見に来てくださいね。」
実は私自身、今年の雑司ヶ谷かぼちゃはまだ食べていない。調味料をどのくらい入れたらいいか、素材の甘みを確かめようと、生のまま少しかじってみた。
「甘い、味の薄いメロンみたい、」
それを見ていたF氏が、食べさせてと手を出す。
「うん、甘い、生でも食べられる、みんなに食べてもらおう」
と、先程のお客様に薄くスライスした生の雑司ヶ谷かぼちゃをお味見していただいた。F氏の息子さん(小学生)が甲斐甲斐しく、お客様に配って回る。ますます、調理後の味に興味を持たれ、出来上がりを待っていてくれた。
味付けは、みりんと酒と、醤油少々。
素材の味を消さない様に、薄味の味付けにした。
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水分が多く、柔らかいかぼちゃなので、時間もかからず、柔らかく煮えた。
ほくほくした今のかぼちゃと違い、しっとりトロッと煮上がったかぼちゃは、
「優しい味で美味しい、」
「懐かしい味」
年配の方には、
「昔のかぼちゃの味」
と好評だった。
種を持ち帰り、育ててくれる人が増え、
雑司ヶ谷に雑司ヶ谷かぼちゃが増えてくる。この地に対する愛着も増してくる、そんないい循環が出来たら、私も嬉しい。
「育てて収穫し、料理して食べる」
コンビニやスーパーに行けば、すぐに食べられる物がたくさん売っている。便利な世の中になった。食べるのに困る人はほとんどいないだろう。
そんな中だからこそ、自分で育てて収穫して、料理をして食べる、そんな当たり前の幸せや有り難みを、多くの人が忘れてしまっているのだろう。
そして、江戸東京野菜の素朴なおいしさも忘れられていたのだろう。
何人かの方は、それにハッと気づいた様な表情をして、帰って行かれた。
お祭りは、
天気も良く、暑くもなく寒くもなく、たくさんのお客様が集まった。早々に荷売り切れになる店舗もあり、好評のうちに終了した。
お祭りに遊びに来てくれたMayumiさんありがとう😊
帰りに椿山荘の雲海を見て、音の葉カフェで夕食を食べ、これからの日本の将来を語り合った。
有意義な1日だった。
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手前の石は、友人奥様のお店のパワーストーン
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来年は、たくさんの雑司ヶ谷かぼちゃの物語が聞けるだろう。楽しみだ。
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