本日の一曲 vol.199 ルービンシュタイン ベートーヴェン 皇帝 (Ludwig van Beethoven: Piano Concerto No.5 "Emperor" by Arthur Rubinstein)
”アーサー”・ルービンシュタインさんは、1887年1月28日にポーランドで生まれ、ピアニストして神童の誉れ高く、1976年に引退するまで80年以上のキャリアを誇り、1982年12月20日にジュネーヴで95歳で亡くなり、その遺灰はエルサレムに葬られました。体格は小さかったようですが、その演奏する姿は、大風格を備え、まさに大人(たいじん)でした。
1947年公開のアメリカ映画「カーネギー・ホール(Carnegie Hall)」では当時の演奏する姿が収められています。ここではフレデリック・ショパンの「英雄ポロネーズ」とマヌエル・デ・ファリャの「火祭りの踊り」を演奏しています。とてもよい姿勢で打楽器であるピアノを叩きまくるという風情です。坂本龍一さんなども、その姿勢故に嫌いだという発言もあるくらいです。
ルービンシュタインさんといえば、ポーランド生まれというだけあり、ショパン弾きとして有名でした。1960年のショパン国際ピアノ・コンクールの審査委員長を務めたとき、マウリツィオ・ポリーニ(Maurizio Pollini)さんが優勝しましたが、ルービンシュタインさんがポリーニさんについて、「今ここにいる審査員の中で、彼より巧く弾けるものが果たしているであろうか」と賛辞を送ったことはあまりにも有名です。
また、noteでも和田大貴さんがたびたびルービンシュタインさんのショパンを紹介されています。
さて、「本日の一曲」として紹介したいのは、ルービンシュタインさんのベートーヴェンです。1975年、ルービンシュタインさんが若きダニエル・バレンボイムさんのサポートを得て、なんと88歳のとき、引退前年の録音です。無我の境地といいますか、演奏者の個性が消え去り、ベートーヴェンの音楽だけが聴こえてくるような演奏だと思います。
(by R)