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足首が冷える

冷房で足首が冷える。

いやもう、そう書いたらそれで終わりな話である。

さすがにいい年なので、素足で靴を履くことはないのだが、暑いのでくるぶしの出るような靴下や、パンプスに隠れるような薄いカバーのようなものを履く。一日のうち外にいる時間の方が長いのではない限り、指先の出るサンダルは履かない。

でも、冷えるのは足先ではなく、足首なのだ。

今日も美容室で足首が冷えて、ああ、失敗したぁーと思ったけれども後の祭り。長いケープの下で足を組み合わせて己が右の足首で左の足首を温めんとすれども、互いの冷たさが身にしむばかり。ふとした拍子に靴が足首に触れるのも気持ちが悪い。

こういう時のために以前、夏用のシルクのレッグウォーマーを買った。たとえば長い移動の乗り物や劇場など、足首が冷えるかも(そしてトイレに行きたくなると面倒かも)と予想されるときにはそれを足首に着けて過ごすようにしている。そのままトイレなどに立つのは格好悪いが、座っている分には人目も気にならない。

くぅー、あれがここにあれば温かいのに……と思うが、美容室にそれを持って行こうという発想がなかった。目の前の鏡にレッグウォーマをした自分の脚を見るのはいやだ。だったらおばさんらしくストッキングを履いて行くとか、長めのパンツを履いて行くとか、足首の隠れる靴下を履いてもおかしくない服装にするとかなんとか、考えればよかったのだが、「換気をしているからきっとそれほど冷房が効いていないだろう」と高を括ったのが間違いだった。

冷たい冷たい。椅子の上に正座がしたい(おばーちゃんか)。お尻の下に足首を入れたらどんなにあったかいだろう。

耐えに耐えた2時間だった。 

外に出ると、行きに感じた暑さはどこへやら、ほんわりと暖かい。足首はもちろん、体が冷えているからむしろじんわり気持ちがいい。子供の頃の、プールで冷え切った体が温まって行く時とか、シンガポールに住んでいた頃の、バカみたいにキンキンに冷やされた建物から出た瞬間とかを久しぶりに思い出したりして懐かしかったけれど、家に帰り着くまで「暑い」と感じなかったのはちょっと怖い。お持ち帰り時間長めの保冷剤か。

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