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呉服屋は卵を仕入れる
こんにちは
そんなこんなで12年前に話を戻しまして、着付け教室がスタートした
お客さんができたから展示会ができる! どんどん月の予定を埋めていくことにしました 僕がお付き合いするメーカーさんは皆どこも忙しかったからできるだけ早めに連絡をした
展示会をしないとお店を維持することができない
お店に「着物ください!」というお客さんが来ることは、年間数名しかいないのだ ”黙っていては着物は売れないんだよ” ってことを知ってしまった
良い商品、世に出ているよりも安く値付けをしてもそうなんですよね 着物という業界の世の中の立ち位置がわかったような気がした
今さらながら、考えが間違っていた ”小売りって楽勝じゃん”って間違っていた リンゴ飴や肉みたいにどんどん売れるわけじゃないのかよ
僕は世の中をただただ知らなかったのだ
だってさ 呉服屋って近くになかったし、情報がなかった それを集めもしなかった
なら展示会やろ って、初めて開催した展示会は着付け教室の生徒さんが来てくれて、売れた
今までにできないくらいの売り上げができた よっしゃ~ 売れるじゃん やっぱり展示会だよな! と激しく気分が上がった
でも、翌月の展示会には参加してくれたのは前回の6割
そしてその次は5割 と、どんどん減っていった
その理由は
●お客さんの数が少ないから
●自分の興味のある展示会にしか来られない
●行くと欲しくなってしまうから来られない
そりゃそうだ お客さんの分母が少ないんだもん
ここで、2つの悩みに苛まれることになる
① お客さんが来ないので売り上げが立たない
売り上げがないと、来月に支払いができるのか という不安にかられてしまうし、お客さんは来月は来てくれるのか? 再来月は? と不安ばかりが募る
② せっかく来てくれたメーカーさんに申し訳がない
メーカーさんは忙しい、中には3年後まで予約が入っているところもある
その日程をうちのために割いてくれたのに、売り上げを作られなかったら、申し訳ない。 メーカーさんがいないと我々に未来はない。
日々、お客さんを増やしていくことはほぼ無理だ 外で声がけをするわけにもいかず、たまに来る新規のお客さんをどうやって常連さんにしたらよいか、それか着付け教室の応募を増やすしかなかった
考えはするけれど、当時の僕は勉強することをしなかった
情報源はメーカーさん メーカーさんは毎週末にいろいろな小売店に出向き、展示会をする だから、いろいろな集客方法を知っている
その中で、当時流行っていたのは「卵を配る」という方法だった
「~日に展示会があるよ その時は~の良質な卵をプレゼントするから来てね」というものだ
卵を受け取りに行くお客さんは沢山いるそうだ そのうちの一部の方が着物を買うという作戦だ
あそこの店でもここの店でも皆がやっているという
人が来るのはうらやましい。。。 とにかくお客さんが欲しかった
が、なぜ卵を配るのか?
それが見いだせなかった そりゃもらったら嬉しいし、卵は完全栄養食だ 平飼いの卵なら僕だって欲しい 筋トレのあとには嬉しいタンパク質だ 僕は目玉焼きを塩コショウで食べるのが好きだ あれは毎朝食べても美味しい 卵は目玉焼きだよね
着物屋が集客のためにプレゼントをするのは、卵だけではなかった 美味しい食パン、汚れのよくとれるタワシ、まだまだネタは沢山あった。
とにかく集客が難しい着物屋はほんとうにいろいろ考えて、企画をしていた
でもどうしても卵を配りたくなかった
僕の親戚が卵を作っていてお世話になっている皆さんにお礼として、というならそれはありだと思う
けどね
そんな理由はないし、譲れない思いがあった 良いものが適正な価格で見られる、しかも、とにかくオシャレなのだ それを一番の特典に感じてほしいという気持ち
それと
卵をプレゼントしたら、メーカーの格が落ちてしまう それが一番こわかった
商売を知らずにいた僕は、そういうこだわりに振り回されていたのかもしれない
その後、3か月給料がなかった。。。