【読書記録】働く君に伝えたい 本物の教養 池上彰の行動経済学入門
人間はいつでも合理的に行動するわけではないという観点から経済を分析していく「行動経済学」という学問。
行動経済学という言葉自体、実は今回初めて聞いたけど、日常よく考えることや、無意識の行動にも通じている部分がたくさんあって、とても興味深いな〜と思いながらサクサク読めた。
ナッジ理論
最近、よく耳にするナッジ理論。
自分にも少し役立ちそうで、そのことについてまとめておく。
健診関係のことなどで、学会でもナッジ理論の講習があってなんとなく聞いたことがあった。
ナッジとは、行動経済学の特性を活かして人々の行動をよりよく導くことだそう。
そっと肘でつつくという意味の英語らしい。
この説明の中で、大腸がん検診の受診率を向上させるためにどうしたらいいかという実験の結果が記載されていて
Aグループには「検診を受けたら来年もキットを送る」と伝え、Bグループには「検診を受けないと来年はキットを送ることができない」と伝えたところ、デメリットを伝えたBグループの方が検診受診率が高かったとのこと。
損失回避から、デメリットを伝えた方が人を動かす力があったよう。
これは面白いなーって思った。
健康とか、命に関わるようなことは、ちょっとずるいけど、デメリットを強調した方が人は動いてくれるのかも。
外来やってて、きちんと処方した薬を飲んでくれない患者さんに対して「飲んだら〜がよくなりますよ」と伝えるよりも、「飲まないと、〜が悪くなって、こんな弊害があります」って言った方がもしかしたら飲んでくれるのかも?
まぁ信頼関係も大事で、むやみに恐怖感を与える必要はないと思うけれども、ここぞというときには使ってもいいのかもしれん。
フレーミング効果
これも良く聞く言葉。
「成功率95%」と「失敗率5%」というのは、結局は同じことだけれども、表現が異なるだけで意思決定に違いが生まれることをフレーミング効果という。
あまり自分の仕事で、失敗率という言葉は使用しないけれども、「この治療を行うと〜ができる確率が95%です」と説明すると安心感を与えることができる。
でも、「この治療を行うと〜ができない確率が5%あります」と言うと、なんとなく不安になる気がする。
実際にはどちらも同じ意味だからこそ、上手にインフォームドコンセントするには、この伝え方をミスらないようにしたいと思った。
まとめ
経済とか、医師としての自分の仕事に全然関係ないじゃん?なんて思っていたけれども仕事にも多いに関連があるし、自分の行動にもすごく関係があった。
人間は利己的だけど、利他的なところもある、実によくわからないしそれもまた面白いなー、うまく生かそう、そして、うまく引っかからないように生きよう。