初めてCMで泣かされた
私が手がけたCMが、すごくいい!とスポンサー様からほめていただきました。
スポンサー様に喜んでいただけるよう、スポンサー企業について調べ、スタッフさんのお話を聴き、スタッフさんの声をCMに載せるよう心がけていて、何度も何度も企業に足を運び、納得されるまでCM原稿は書き直します。
何度も足を運び、お話を聞かせてもらうと、ある日突然降りてくるの。CM原稿とそのCMにピッタリの音楽のイメージが。
私が手がけたCMは、どれも思い入れがあって、全部大好きなCMなんですが、今回ほめていただいたCMは、苦しい中、絞り出したCMでした。スポンサー様が喜んでいただき、涙がぽろぽろ。
やっと泣けた。
このCM原稿を先方にメールでお送りしたのは、葬儀場でした。私を可愛がってくれた祖父に突然不幸があり、先方に事情を説明し、メールと電話でのやりとり。放送日は決まっていて、私の気持ちは横に置いといて、仕事をしていました。葬儀の隙をみて、パーソナリティにCM原稿と収録日程を調整。
昨年9月に祖母が他界し、半年後に祖父。しかも祖父は年度末のバタバタしているタイミング。悲しんで泣いてる暇なんてなくて、目の前の仕事にただ追われていました。
「sakumiさん、うちのCMの原稿、僕のXのプロフィール文ですよね?僕の言葉が、CMになってすごく嬉しいです!読んでくれてる人もいいし、音楽もすごくいい!もっと聴きたいです」
このCM原稿を着手したとき、最初の一言目が何も出てこなくて、何気なく見た、Xのプロフィールの言葉が、まさにこれ!だったので、一文使わせてもらった。一文が書けたら、降りてきて、スラスラ書けたんだけど、事情がどうであれ、表現者としてどうなんだとずっと悩んでいた。
そうか、よかったんだ。
何を言われても、どんなことがあっても、客先で泣くのはルール違反と自分に課しているので、車の中で泣いた。
横に置いてけぼりにして、そんな気持ちなかったことにしようと忘れたふりをしていた、祖父がこの世にいないことに対して、私はやっと声を出して泣けた。
この涙が私の気持ちを浄化していきますように。