生まれてきてくれてありがとう
2011年
あるブログに出会いました。
それは重度の障害のある息子さんを
育てておられる人でした。
私のまわりには障害を持った方が
いないので全くその生活は
想像ができません。
きっと子育てはとても大変で
お母さんは疲れ果てて
愚痴ばかり並んでいる
そんなブログかと思っていました。
そのブログには
輝くような笑顔の息子さんの写真や
ユーモアあふれる
前向きな明るい言葉が
あふれていたのです。
私はその姿が信じられなくて
引き込まれるように読み続けました。
神様が出会わせてくれた
そのブログには
彼女が7月1日生まれと
書いてありました。
私と同じ誕生日。
8歳若い彼女は
まるで妹のようにご縁を感じ
いつか会いたい人になりました。
その後
息子の受験で東京に行ったとき
願いは叶い
本当に会うことができました。
初めてお会いした息子さんは
ブログの写真よりも
色白で大きなつぶらな瞳が
キラキラしておられました。
白魚のような長い指の手が
印象に残りました。
その手は美しくなめらかだったのです。
彼女が朝夕2度も
抱きかかえてお風呂に入れて
大切にケアしておられる彼は
キラキラ透明な王子様のようでした。
沢山の愛を受けて育っておられました。
彼は生まれたときに胎便吸引症候群で
2、3日の命だと言われたそうです。
それは親として
どんなに辛かったでしょう。
先生方の必死の治療と
彼の生命力のお陰で
命は助かりました。
しかし
低酸素性虚血性脳症のため
目も見えず
一生首が座らない
寝たきり状態になり
生きてこられたそうです。
食事も口から取れないので
24時間つきっきりで
自宅で看護して
おられました。
3時間おきにたんの吸引や
胃ろうのケアなど
ほとんどまとまって寝れない
日々を過ごしている彼女は
おしゃれで美人でツヤツヤの髪の
輝くような笑顔の人でした。
全く睡眠不足とか
看護の辛さとかを感じない
パワーあふれる女性でした。
そのパワーの源は
息子さんを愛すること
息子さんの笑顔なのでしょうか。
私がこの広い世界で
奇跡的に出会えた彼女は
毎日命と向き合いながら生きている人
与える愛が多すぎる人なのです。
息子さんにだけでなく
周りのお友達や知人
知り合った私へも
たくさんの愛を
注いでくださる人でした。
それから東京に行き
時間が取れたときに
彼女に会ったり
お家に行かせてもらい息子さんに
会わせてもらいました。
息子さんのケアがあるので
短時間ですが
いつも生きる力と
優しさと愛をもらえました。
いつでも会える友達ではないけれど
私にはとても大切な存在なのです。
今回も東京の旅で
少しだけお会いできました。
彼女から教えられたこと
気づかせてもらったこと
学ばせてもらったことは
山のように沢山あります。
一日でも一瞬でも
長く生きてほしいという思いで
息子さんの誕生日を一年一年
大切に祝ってこられました。
その様子をブログで見るたびに
感動しました。
いつも次があると疑わず過ごした
息子達の誕生日とは
親としての姿勢の違いに
私は少し申し訳なく思いました。
彼女のように無償の愛を与えた
親では無かったかもしれません。
そして彼女は楽しいことを
面白いことを見つける名人です。
小さな幸せの種を見つける師匠です。
時間のない中
あふれるアイディアを
形にして
手作リ作品もいろいろ作られます。
そして周りの人に
プレゼントされます。
こんなすごい人が世の中にいるんだと
出会えたことに
出会わせてもらえたことに
感謝しかありません。
もし私が自分で人生の計画を立てて
生まれているなら
彼女に出会う設定は
とても大事な必要な計画でした。
そんな彼女に悲しい別れが訪れました。
2018年2月18日
延命治療の選択はせず
家族の皆さまが見守り
ありがとうと声をかけ
抱きしめられながら息子さんは
息を引き取られたそうです。
22歳でした。
天国に旅立つ前日
ご家族でドライブをして
富士山を見られたそうです。
最後に日本の富士山を心に抱いて
息子さんは翌日
神様のもとへ帰られました。
初めて息子さんに出会ったときに
彼は目も見えて耳も聞こえている
私はそう感じました。
でも真実はわかりません。
彼は心の目で見て感じて
ご家族のもとで
幸せに22年間
生きておられたということは
真実です。
彼の周りには
多くの人が引き寄せられ
笑顔に癒やされ
元気をもらえ
生きる意味を考えさせられ
命の大切さに気付かされ
生きる希望を与えて
もらえたということも真実です。
そこに存在して
生きているだけで
こうして人は
周りの人に
愛を与え
幸せや笑顔を与えられるんです。
人は何かを成し遂げなくても
生きていることが
生かされていることが
その一瞬一瞬の命の積み重ねが
尊い事なのですね。
今も彼は多くの人の
心の中で生きておられます。
そして魂は永遠に生きていかれます。
自由に動ける体になって
飛び回っているのでしょうね。
お母さんはいつもあなたが
側にいると感じておられますよ。
今年の命日も
私の夢に
息子さんと彼女は一緒に
でてきました。
私のことも見守ってくださっている
そう思えました。
相変らずキラキラの大きな瞳と笑顔で。
彼女の生き方をいつか本にしてほしい
いつもそう彼女に言ってきました。
その第一歩です。
彼女の体験談が
今週の朝日新聞に
載ることになりました。
とても嬉しいです。
そのお知らせを兼ねて記事
を書いています。
新聞にのる彼女の驚くような体験談は
実はこれだけではないのです。
それは息子さんが亡くなられてから
まだまだ続くのです。
私ではきっと乗り越えれない事が。
明日に続く