最愛の漫画の最終回との向き合い方
その日、迷子になったのは運命だったのだと思う。
病院からの帰り道、コンビニから出たら見慣れない景色で
知っている道に引き返そうか一瞬悩んで、でもまぁいいか、と思い直した。
まだ体がぼんやりするし散歩しちゃえ!
もう満開ではないけど、綺麗な桜の木が遠くに見えたらそこに気まぐれにむかったりして楽しんだ。
まだ桜の花が満開になる前に、私が世界一大好きな漫画、ギヴンが最終回を迎えると発表された。そしてこの日は、もう最終回の載った雑誌が発売されてからしばらくたっていた。
大人気で発売日に、Amazonでもアニメイトでも在庫切れ、完全に買いそびれ寂しい思いでいた。
でも、散歩でたまたま通った本屋に、それはあった。大好きな主人公がふんわりとやさしく美しい花のような笑顔を浮かべる表紙。手にとるだけでじわりと泣きそうだ。
大好きなものがおわりを告げてしまうのは怖い。幼い頃、「マジレンジャー」という番組がテレビで終わってしまった時、もう彼らに会えないことが寂しくてたまらなかった私はわんわん泣いた。
今も変わらずに、ピカチュウとサトシの旅がみられなくなることに夜明けまでほろほろ涙を流したりしたけれど、新シリーズのホゲータもかわいいな、とは思えるほど大人の私にはなっている。
ただ、ギヴンという作品は、最終回を読んでしまったら一日中泣くだけではおさまらないんじゃないかていうくらい、私にとって特別だった。
恋をした。人を好きになることの苦しさを初めて知った時、この作品は私に寄り添ってくれた。失恋して読むのが辛いかもと思った時も、むしろこの漫画が痛いくらい自分の心に歩み寄ってくれる気がして、愛していた。
それから、音楽がもっと好きになった。私はこの漫画は青春バンド恋愛ものであり、かつ人の寂しさとか痛みとか愛に、心のやわらかいところのそばにいてくれるものだと思っていて。
ずっとずっとこの数年、コロナで世界が真っ暗にひっくり返りそうだった時も、病気になって夜が明けるのが怖かった時も、この作品を通して出会った音や詞が私を支えてくれていた。
終わってほしくない、これからも君と共に生きていたい。
でも、同時に、連載10年を駆け抜け、その美しい旅路の果てを見届けられる幸せも噛み締める。
レジに並びながら初めて本屋で声を上げて泣きそうになって慌てた。
出会えて嬉しいなて握りしめるように抱えて佇む。
最終回が訪れても、きっとこれからも私の人生にあなたは寄り添い続け、伴走してくれるのでしょう。
それをなぜだか勇ましく確信しているから、怖くても、ページをめくっていく楽しみがあって、私のこれからの旅に、連れていける喜びがあるように思う。
一緒にいてくれてありがとう。
雑誌に映る彼は、本当に綺麗で、愛らしくて、胸がつまるその瞬間に、
私も、いつかこんな風に笑って自分の旅を、歩き続けたその先に何かをみつけられるように、生きていこうと思うのだ。
この作品が教えてくれたやさしい運命の先を紡いでいく。 これからも一生隣にいてほしい。 愛することを教えてくれたあなたへ。
追記
わたしの人生を、やさしく支え続けてくれた作品について、やっと少しだけど初めてnote書けた…‼︎読んでくださりありがとうございます。
ギヴンを通じて出会ったものや人についてはいくつかすでに書いています、よかったら↓
世界一大好きなバンドについて
ずっと憧れているアーティストのこと
音楽に救われたはなしと療養中の私のこと
また、最終巻がでる秋に、ギヴンのはなしをしようと思います。
【写真】深月さん
現在療養中、無職なう!サポートいただけると大変励みになり、心が喜び駆け回ります。いただいたお金は日々の表現活動費(舞台を企画する際の制作費用など)や生きるための力(交通費や夢のため貯金など)にしますので、何卒…!!