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【小説】ワイルドサイド#0「前文」


欲望こそ絶対である

彼らは嫌悪し憎悪し憧れるそして
鬼の仮面に真意を隠し
崇高なモラルを以て野生を
追撃する

どうぞご勝手に

私は何も感じない

危険で蠱惑的なその道
ならば向かおう

疎まれた果てに待つ愉悦の極み
ならば浸ろう

嘲笑に踏まれる快楽
ならば溺れよう

彼奴らの声を斬り殺し
自らの野性に従い
やがて獰猛な強者となって獲物を貪れば良い

同胞を拒絶し
どこまでもひとり

あなたはあなたの道を
私は私の道を

歩道よりも車道を
いや
更に均された路上よりも獣道に這う
もしもその先で出会うことがあるのなら交わろう
冷徹に 無様に 咆哮し貪るのだ

この薫り貴きワイルドサイドから目を逸らして得る陳腐な幸福など

クソくらえだ



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