【詩】人
自慰に始まったそれは
今只中
終焉を予感する時があればそれもきっと
自慰の只中
まさに今終えようとするならばそれは爆裂し
内奥に拡大した宇宙が朱に狂い朱に染まり
染まりながら朱に帰する如く朱に消える自慰
全知生来の無駄に狂うことであればきっと万能
私は
そこに逗まるばかりのあなたを唾棄し
そうすべき抜け殻と罵り
侮蔑する侮蔑の言を吐く
そうすべき卑物と罵る
そしてそのときもまた私は自慰の只中に在り万能
他を排除し他に排除され他を唾棄し他に侮蔑され
悪辣この上ない逡巡の果て
草臥れて
枯れ堕ちるように倒れながらそれでも
それでも爆裂する自慰を求め
自慰の愚鈍に嬉々として葉脈
流れていけ
自慰の濁る塊が清冽な思考を磨き狂気へ
その瞬間の無垢
恍惚
涙
欲望
情念
呪縛
日々は日々は日々は
自慰は自慰は自慰は
宇宙は宇宙は宇宙は石と
鳥と
メダカと
海鼠と
鼬と龜と
人と虫と
その路上に自慰が住み
孤立してただ
その路上に人が住み
孤立してただ
欲情する欲情を繰り返す
その美しい日々
爆音を轟かせ肉を縦に裂きながら
欲情から生まれる怪異
あまりにも哀しく美しく残酷な怪異
異形の者が異形となるその道程は
今只中また
今日の新しい自慰