【エッセイ】味噌汁#9最終回
前回
伝説の味噌汁を拵える(4杯分)
4杯分というのは、夕食時に妻子と私で各1杯ずつ+私が朝飲む1杯で計4杯ということ。
鍋を熱しごま油を適宜垂らし刻んだ玉ねぎと白ネギを投入、弱めの中火で柔らかくなるまで炒める。すりおろした生姜を好きなだけ投入。肉を使う場合はここで投入しわりとしっかり火が通るまで加熱したら水を700cc加えてやや火力を上げ、タモギダケパウダーと増えるワカメちゃんを入れて軽く撹拌し細めの短冊に刻んだ大根をぶち込む。なんとなくフツフツしてきたらとりあえず軽く灰汁を取り、かつおだし5g投入し、赤味噌と白味噌(混合比は好みに合わせて調整)を直径8cm位のおたまに軽く半分くらい取ってスープ内で混ぜ合わせる。キノコ嫌いの人がいない場合にはここで自作冷凍キノコミックスを適量鍋に入れ、沸騰する直前で火を落とす。すりおろしにんにくを適宜投入しやや撹拌。この後時間があれば30分ほど放置する。あとは食事の時に適宜再加熱し椀に盛るのだが、私はここでごま油を軽く垂らし、一味唐辛子を少々振る。
これだけ長々と分割連載した味噌汁のエッセイも拵えるという行為を一気に文章化すると、たったこれだけである(笑)
しかし、この味噌汁、間違いなく体は温まるし、便通は良くなるので、自分的には全く持って自信満々で【伝説の味噌汁】と呼ぶにふさわしいと自負しているのだ。
妄執からの開放
いやしかし、こうして文章にすることで#1にあるような、脳内の一定領域を常時味噌汁についての考えが支配し、労働や日常生活に支障を来すということもなくなるだろうし、実際このエッセイを書き始めてから私の奇行が減って恐怖心が和らいだのか、新入社員が明るくなった。労働中時折笑顔が見えるようになったし、先日は中途半端なヒップホップダンスのような動きを作業中に見せて、むしろこっちが恐怖に慄くということもあるくらいに職場は明るい。
#1
話しはもどるが
味噌汁作りは上記のようにたったこれだけの仕事なのだけど、これで妻の自由時間は日当たり10分増加する。
こうすると、私が早番だったり夜勤だったりする時、妻が労働している昼間にブラブラしていることから発するぼんやりとした罪悪感も日当たり25分ずつ解消されていく。
詳細は#2~4あたりを参照
#2
#3
#4
終焉
私は普段、作品についての説明をいちいちしないのだけど今回に限っては、魂を振り絞り命を燃やしながらこのエッセイと共に燃え尽きる覚悟を持ってエンディングを迎えたいと考えているので、敢えて言葉にしたいと思う。
【なぜ私は味噌汁を作るのか?】
私の想いの全てを込めた渾身の一句でこのエッセイを締めたいと思っている。では。
自由律俳句
楽しいから
(了)