岸辺内閣総理大臣の憂鬱/バトルロートル・ビギニング③
岸辺の困惑
とは言いながらもいかに敏腕の美人秘書でも議員の少なくとも半数を丸め込むのには相当な時間もかかるだろうし、とりあえず半年を目途にこの強老人駆逐作戦の細部を詰めようと考えた。そして実際、四六時中考え続けていた。そうすると不思議なもので脳内で再現されるイメージが強烈なリアリティを持つようになって、バラバラにされ打ち捨てられた老人の残骸をイメージするだけで耐え切れないほどの死臭を感じるようになった。これはストレスが溜まる。ストレスが溜まると精液も溜まる。私は精液の溜まりを耐えられない質なので美人秘書を呼び、性欲の処理をしながらそれとなく根回しの進捗を尋ねるのだが「もうしばらく」という答えが返ってくる。そりゃそうだろう、私の性欲ばかりか根回しのために日夜EDで禿の老議員を中心に肉体提供までしているのだからそう簡単に進むはずがない。きっと睡眠も栄養も不足しているのではないか?という懸念もあり、一応健康状態も確認してみるのだがそのたびに「ノープロブレム」と抜群の発音で退けられてしまう。秘書の健康を気にするくらいならまずお前が性欲処理を我慢しろよ又は別の秘書を雇って美人秘書を仕事に専念させろよ、という声が聞こえてきそうだが、そんなつもりは毛頭ない。私はこの女の肉体に溺れている溺れ果てている。セックスを我慢するくらいなら総理職を辞する。そうなればこの女もまた失職し路頭に迷う事になるだろうし、私も全てを失って同様に乞食同然の暮らしを余儀なくされ、いっそ二人で死のうか?という名曲「昭和枯れすすき」を地で行くような二人連れになってしまうのだ、いいやそんなのはいやだ。だからこの女には政治的謀略と共に私の性具活動も頑張ってもらわなければならない。
ここから先は
以前、webで公開していた作品をブラッシュアップしました。 ナンセンス小説、不条理小説です。 やや残酷、やや性的な描写が含まれます。
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?