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観劇 劇団☆新感線『ミナト町純情オセロ〜月がとっても慕情篇』

キャスト

亜牟蘭オセロ 三宅健/亜牟蘭モナ 松井玲奈/三ノ宮一郎 粟根まこと/汐見丈 寺西拓人/沙鷗アイ子 高田聖子

スタッフ

作 青木豪/演出 いのうえひでのり/音楽 岡崎司
原作 『オセロー』/ウィリアム・シェイクスピア

東京公演

東京建物 Brillia HALL 2023年3月10日(金)〜3月28日(火)

東京公演・千穐楽を観てきました。

あらすじ

1950年代、関西の港町。暴力団沙鷗組の若頭・牟蘭オセロは、町医者の娘・モナに恋をしてカタギになることを決意する。物語は、オセロがモナにプロポーズするところから始まります。
二人の関係を知った先代組長の未亡人・アイ子は、オセロを二代目組長にと考えていた矢先の出来事に動揺する。さらには、組長が射殺された現場でオセロは組長ではなくモナを庇ったのだという噂話を聞き、嫉妬はやがて怒りへと変わっていく。アイ子は市議会議員の三ノ宮や経営するクラブのホステスたちを利用しながら、オセロへの復讐を企てる。

純粋でまっすぐなオセロ

アイ子の策略で疑心暗鬼になり、モナや仲間たちを信用できなくなっていくオセロ。
インタビューなどで、初演でオセロを演じた橋本じゅんさんとは風貌も違い、身体の線も細いから不安があったと話していた健くん。いのうえさんからは「今回は全く違うオセロにしたい」と背中を押されたと言います。
私は初演を観ていないので比較することはできませんが、健くんの華奢で身軽なオセロには、純粋さや人を信じやすい危うさが表れていたと思います。アイ子の奸計に陥っていく様は、側から見れば滑稽とも言える。真っ直ぐで目の前のことを信じて突き進む、良くも悪くもオセロというキャラクターゆえに自ら悲しい結末に向かっていく姿を、客席の私たちはただ見守るしかなく苦しい。儚くもろい愛と絆。作中に漂うそうした切なさを、健くんがただ真っ直ぐにオセロを演じているからこそ感じることができたような気がします。聖子さんが演じる重厚なアイ子とのコントラストもよかったです。

物語をけん引するアイ子

主人公はオセロですが、物語を動かすのはアイ子です。巧みな話術としたたかさで、登場人物たちを操っていく。その圧倒的存在感で、舞台をぐいぐい引っ張る聖子さんがとにかくかっこいい!アイ子の初登場シーンでは客席から拍手が起こりました。
1幕から2幕へ繋ぐのもアイ子。ここをどう繋ぐかって、観劇では結構楽しみなポイントなのですが。本作ではアイ子さんが一人舞台に立ち、その先の怒涛の展開を予感させる台詞で幕が降りる。もうアイ子さんの舞台と言っても過言ではないくらい魅力されます。
アイ子は悪役として描かれますが、視点を変えれば、彼女もまた純粋に先代組長を愛し、彼が残した組を守りたかっただけなのだと思えます。中盤、アイ子が心情を歌った『テネシーワルツ』では、客席が本当にシーンと静まり返りました。

劇団員さんたちの活躍

会見でいのうえさんがおっしゃっていたように、本作はがっつりとお芝居を堪能する作品。台詞中心のストレートプレイに近く、かつ悲劇。ですが、お馴染みの劇団員さんたちの活躍で、歌、小ネタ、笑いどころも散りばめられ、劇団ファンが楽しめるポイントがしっかり用意されています。カナコさんのソロ歌唱、エマさんとさとみさんのコーラスもあり(しかも衣装がセクシーで可愛い!)、こんなに歌があると思っていなかったので嬉しい驚きでした。
個人的にツボだったのは、中盤しばらく出番のなかった三ノ宮さん(粟根さん)が「みなさん僕のこと忘れてたでしょ?」と嘆き、アイ子さん(聖子さん)がこれからの作戦を伝えながら「ここからあなたの出番あるから!」と煽るという。ここは普通に粟根さんと聖子さんでした。笑
ただ、シリアスな展開の中にさりげなく小ネタを差し込むので、あ、ここ笑わせてるんだろうなってところでもあまりお客さん笑ってなかったり・・なんて瞬間もありました。(それもまた劇団新感線w)
もちろん、劇団員さんの活躍は物語の重要な場面でも光っています。モナとチエ(山本カナコ)、エミ(中谷さとみ)で歌う『柳の歌』は、その先に待ち受ける結末がわかっているからこそ切なく響きました。

エア煎餅まき

この日は東京千穐楽ということで、恒例の煎餅まき(エアー)がありました。
悲劇の余韻も残る中、健くんが客席へ挨拶してくれました。
今作は43周年公演、健くんが「僕と同い年で縁を感じている」と話すと、ザワつく劇団員のみなさん。横で ほぉっ!となる聖子さんと粟根さん。笑
健 「ここからの説明は粟根さんにしていただきます」
ということで、エア煎餅巻きの説明は粟根さん&合いの手(?)に聖子さん。

粟根「数年前までは煎餅まきをしていましたが、今は”エアー”です。投げるフリをしますから、皆さんも受け取るフリを」
会場「笑」
聖子「イマジネーションでね。お目当ての方から受け取ってください」
粟根「でも安心してください。お帰りの際にお一人ずつ、お渡ししますから。寺西くんの『〜(曲名聞き取れず)』に合わせてやりたいと思います。じゃあ誰に音頭取ってもらいましょうか?聖子さん決めて」
聖子「私?」
粟根「あ!(なにか思い出したように)じゃ、考えといてください」←塩対応な言い方ツボったw
粟根「特に2階席、3階席の方、身を乗り出すと危ないですから。落ちたら下の人も死にますから。気をつけてください」
会場「笑」
粟根「では聖子さん決まりましたか?」
聖子「そうですね〜 ここは純白のモナちゃんに!」
玲奈「はーい♡」
ということで、松井玲奈ちゃんの掛け声でエア煎餅まきスタート。

寺西くんが歌い終わると、ぬるっと煎餅まきも終了。微妙な沈黙になったところ、聖子さんの
「以上ですっ」
で締め括られました。
その後カーテンコールは2回?かな。
最後は健くんが客席に投げキス。それを見た聖子さんが粟根さんにも やってやって と煽り、ええっ? と戸惑う粟根さんw
さらに健くんのチューを手でどうぞどうぞーと客席にばらまく聖子さんw
最後はたくさん笑わせてもらってほっこり。悲劇を見届けてやや緊張感の残る客席を和ませ、ほぐしてくれる聖子さんと粟根さん。息もぴったりで素敵でした。

劇場エントランス

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