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満月のあかりだけの夜

獅子座満月。

この冬からフランスの多くの自治体では、23時以降、街灯を消しているので、真っ暗な星空の美しい夜になります。
田舎のほうはもともと灯は少なめですが、華やかになるクリスマスシーズンでさえ電飾を控えていました。

電力不足と電気代高騰のため、節電が第一の理由ではあるけれど、同時に虫や鳥、動物たちの生活を乱さないためというもの大きな理由です。

東京生まれのわたしには、真っ暗な夜というのが初めての体験。
でも一度この本来の夜を経験すると、もう街灯や電飾はいらないと思えてきます。

夜のなかで活動している生き物の躍動や、眠っている鳥たちの安らかな呼吸。
そこは立ち入っていけない世界、精霊たちや魑魅魍魎の幻想世界が広がっていることを感じます。
だから人は夜、扉を閉ざして眠るものなのだということ…。

そして、月の明かりというものが本当に明るい。
庭の白っぽい砂利や石が、ぼうっと光って浮かび上がっているのを見て、石たちが喜んでいるように感じます。
よく満月の夜には月光でパワーストーンを浄化するけれど、庭の砂利だって同じ石。

そんな光景に見惚れながら、月明かりの枯山水がどんなに美しいことかと想像しました。

陰翳礼讃。

電気のない時代の昔の人は、現代と全く違う幻想的な世界に住んでいて、美しいものをたくさん生み出していったんですね。


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