アゾランさきこ

南フランス田舎暮らし歴8年。なにかと巡ってくる日仏交流ミッションに挑戦中。自然の中で生…

アゾランさきこ

南フランス田舎暮らし歴8年。なにかと巡ってくる日仏交流ミッションに挑戦中。自然の中で生き物の写真を撮りながらぼーっとするのが何よりの楽しみ。

最近の記事

歌い踊る。鳥のように、太古の時代のように。

ヨーロッパオオライチョウ、フランス語でGrand tétras グランテトラといいます。こんな鳥↑。(写真はWikipediaより) 寒い地域の鳥で、フランスではジュラやヴォージュ地方などの、雪の多い森林地帯に生息しています。本来、年6ヶ月間は雪が必要な鳥だそう。 けれど、温暖化による雪の減少、森への観光客の激増、行き過ぎた狩猟などが原因で、この30年間で激減してしまったとのこと。 私の大好きな野生動物写真家のお父さんで、ヴォージュの森*の中でこの鳥の生態を約50年追い続

    • 満月のあかりだけの夜

      獅子座満月。 この冬からフランスの多くの自治体では、23時以降、街灯を消しているので、真っ暗な星空の美しい夜になります。 田舎のほうはもともと灯は少なめですが、華やかになるクリスマスシーズンでさえ電飾を控えていました。 電力不足と電気代高騰のため、節電が第一の理由ではあるけれど、同時に虫や鳥、動物たちの生活を乱さないためというもの大きな理由です。 東京生まれのわたしには、真っ暗な夜というのが初めての体験。 でも一度この本来の夜を経験すると、もう街灯や電飾はいらないと思え

      • ものを作っているときに、わきあがってくるなにか

         偉大なアーティストでなくても、好きでなんらかの創作活動をしている人は、その最中に、わーっと、こう自分のなかからわき上がってくる、情熱や集中力、インスピレーションといったものが、大きなエネルギーとなって自分を無心に没頭させているのを感じるのではないでしょうか。  わたしは長年、DTPデザインやロゴ制作などの仕事をしてきました。最近はほかのことに集中していたため、しばらくお休みしていたのですが、ここ数日また少し創作の機会があり、デッサンをしたり、Illustoratorに向き

        • オリーブの木と暮らす一年

          1万本のオリーブの木 オリーブオイル、オリーブの実、タプナードというオリーブペースト、オリーブの木で作られたキッチン用品、オリーブをモチーフにしたテーブルウェア、石鹸などなど、南フランスの人々の生活と切っても切りはなせないオリーブ。  モンペリエから北に10分ほど車を走らせたところにも、1万本もの木を有する、広大な有機栽培のオリーブ園があります。  実がたくさんなるように4月ごろに剪定をするのですが、そのオリーブ園で剪定方法を教えてくれるアトリエがあったので、この春に参加

        歌い踊る。鳥のように、太古の時代のように。

          大の字になって星をみる、のすすめ

           一週間ほどまえ、友達家族の家に夫とお邪魔して、みんなで晩ごはんを食べました。  その日はちょうど、流星群(l'étoile filante)の日ということで、庭にでて星をみようとさそわれました。  地面にクッションをおいて、みんなであおむけにゴロンと寝っころがり、ひたすら夜空をみるひとときは、大地と夜空に、同時につつまれる不思議な感覚。  たいせつな人たちがそばにいるありがたさを感じる、穏やかな時間。遠い国にいても、日本の家族や友達ともつながっている感じ。  子供の

          大の字になって星をみる、のすすめ

          月の満ち欠けとワイン。ビオディナミ農法その2

          ビオディナミのワイン生産者訪問 先日書いた記事のビオディナミ、その農法でワインの生産をおこなっているシャトーを訪れました。  フランスに住んでいながら、わたしはあまりワインを飲まないので、まったく詳しくありません(日本酒のほうが好き...)。  ですが、わが家のまわりはブドウ畑だらけで、当然あちこちに生産者がいるので、美味しいと思った地元のワインだけはときどき飲みます。  訪れたのは、モンペリエから約35キロ北のヴァキエールという小さな村にある、シャトー・ド・ラスコー。

          月の満ち欠けとワイン。ビオディナミ農法その2

          月の満ち欠けとワイン。ビオディナミ農法その1

          ビオ(オーガニック)について  ビオディナミの前に、すこしフランスのビオ事情についてお話ししたいと思います。  なぜならば、ビオディナミというのは、ビオよりもさらに厳しい究極の自然リスペクト農法だからです。  フランスでは、オーガニックのことをビオといい、厳格な認証制度があります。農作物、畜産物、加工食品、飼料などに関しては、この基準をパスすると、AB(Agriculture Biologique)認証ラベルがつけられます。  さらにEUの基準に準拠することが求められて

          月の満ち欠けとワイン。ビオディナミ農法その1

          フランス人と本

           バカンスシーズン真っ只中の今、コロナ禍にあっても南フランスは観光客でいっぱいです。少なくとも2週間くらいは休みをとるフランス人、貸し別荘でもビーチでも、欠かせないのが本。荷物の中に入れる本のおすすめリストがメディアで発表されたり、街の本屋さんの飾りつけや店頭に並ぶ本も、そんな夏の楽しい雰囲気で満ち溢れています。 紙の本か、電子書籍か  先日、長年出版界でご活躍されている、ある翻訳家の方とお話させていただく機会があり、「日本では(特にマンガ)は、多くの若い世代はスマホで読む

          フランス人と本

          フランス語翻訳家への道

           フランスに移住して5年半。地中海沿岸の陽光あふれる都市モンペリエから、車で30分の小さな村に住んでいます。モンペリエというところは大学都市で若者が多く、人口も年々増え続ける活気ある街。  私はフランス人の夫と、日本から連れてきた犬一匹と一緒に、当初モンペリエ市内のマンションに住んでいましたが、庭付きの家を探していたところにコロナ禍となり、最初のロックダウン明けのタイミングで運良く家が見つかって、バタバタと少し離れた田舎に移ってきました。そこで猫と出会って、家族も一匹増えま

          フランス語翻訳家への道