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【映画感想】静かなるドン(一章~四章)

静かなるドンを見終えたので個人的な感想を書き留めておく。


※以下ネタバレあり。



おすすめ度 ☆☆☆☆☆
祐輔が死ぬシーンだけでも良いから見てくれ、頼む。


上記記事でも言っているのだが、私は今までVシネに触れた事がほとんどない。
マジで日本統一のおかげで今ハマり始めた真っ最中だ。
てか自分の性癖を鑑みたら、むしろ何故今までVシネに手を出さなかったのかと疑問にすら思っている。

そして上記記事に書いた通り、私は基本的に俳優さんを知らない。
マジで知らない。
だってドラマとか映画とか全然見ないから。
知っているのは本当に老若男女誰でも知っているような、超が何十個と付くようなレベルの人くらい。
なので本作に出ている人でちゃんと知っているのは、本宮さんと寺島さんくらい。
あとは多分、見た事はある・名前を聞いた事はあるかもしれないが、全然分からんってレベルの知識だ。
もしかしたら静かなるドンに日本統一に出ていた人がいるかもしれないが、多分いても気付いていない。
顔の系統が似ていると大体同じ顔に見えてしまうタイプなので、そこに演技や衣装が加わると本当に気付けない。申し訳ない。

つまり、本宮さん繋がりで見始めたと言う事だけは先に留意点として書いておく。
あと私は原作未読勢なのでその点も頭の片隅に留めておいてほしい。


本作はヤクザの息子に生まれながらも、カタギとして生きている静也が主人公だ。
私はずっと静也を坊ちゃんと呼んでいるので、ここからは坊ちゃんと書く。

坊ちゃんは今までヤクザの息子であるが為に苦労をしてきた。
なのでもちろん組を継ぐ気など更々ないし、ヤクザが嫌いである。
ただ総長である父親が死んでしまった事と、坊ちゃんの働くデザイン会社の同僚がホストにハマってしまい、風俗店に沈められている事を知り、「裏社会を束ねる人間が必要だ」と決心して組を継ぐ。
ヤクザとサラリーマンの二刀流の完成だ。

とまあ、これだけ書けば伝わると思うのだが、マジで坊ちゃんはクソ甘人間。
私は本作をとても面白いと思うし大好きだが、一章から四章まで通して一度たりとも坊ちゃんに感情移入していないし、マジで出来ない。
「マジで坊ちゃんほんとお前さあ゛!」と見ている最中に何度も思った。
まあそう言うキャラクター性なので、それが耐えられない人は見るのがキツイかもしれない。

ただその坊ちゃんを支える側に鳴戸猪首(本宮さん)がいて、この二人がめちゃくちゃにカッコイイので安心して見てほしい。
鳴戸は坊ちゃんの優しさを信頼しているし、猪首は坊ちゃんが小さい頃からの世話係。
うーん、カッコイイ……。
「最近競馬で勝ってるんですよ」とか言っちゃう鳴戸のギャンブル好きなところがカッコイイなと思うし、猪首のあの絶妙な「融通の利かない昔気質のヤクザ感」もたまらない。
この二人が坊ちゃんの側についていてくれなかったら、坊ちゃんがあの性格なので結構手前の段階で見るのをやめていたかもしれない。
それくらい坊ちゃんはゲロ甘人間。でもそれが坊ちゃんなんだ。

そして私は本宮さん繋がりで見始めたので本当に猪首のあの、「融通の利かない昔気質のヤクザ感」がたまらなくてたまらなくて。
坊ちゃんが小さい頃から三代目に世話係を命じられて、どれだけ坊ちゃんが嫌がろうが「総長の息子扱い」をしてきたんだろうな。
望まぬ形ではあれども組を継いだ坊ちゃんがどれだけ嫌がろうが「総長扱い」するんだよな。
それが全部伝わってくるあの、「"融通の利かない"昔気質のヤクザ感」が本当にたまらねぇんだ見てくれ。

新鮮組がなくなってしまうかもしれないとなった時に、「こうなったのは世話係である自分の責任です。なので俺が指を詰めて事の重大さを坊ちゃんに理解してもらいます」とか言い出して、マジで指詰めようとするところとか。
鳴戸に止められながら「放してくださいカシラ!俺は新鮮組がなくなるなんて耐えらんねぇんだ!」って言うところとか。
状況と本宮さんのガタイがあるからこそ、鳴戸が結構ガチで力込めて止めにいっている事で、猪首は喧嘩が強い設定が演出されているところとか。
そしてちゃんと坊ちゃんが手も足も出なかった相手を倒しちゃうところとか。
うーん、たまんねぇなあオイ……。
噛めば噛む程味が出てくんじゃねぇかよこいつ……。
もっと噛ませろ味わいてぇんだ。

鳴戸は鳴戸で、「もうヤクザの居場所はどこにもない」と現実的に理解しているからこそ、ヤクザとカタギの二刀流が出来る優しい坊ちゃんを信頼しているところがたまらない。
何があろうと基本的には坊ちゃんを全面的に信頼している。
だからこそ鬼州組との戦争が始まってしまった時にも「返しはしない」と言う坊ちゃんに、「やるやらないじゃない」「もう戦争は始まってるんです」「じゃあうちのもんは死んでも構わないって事ですか?」って理詰めするところは鳴戸がガチで怒っているのが感じられて最高。
特に「じゃあうちのもんは死んでも構わないって事ですか?」の部分にかなりの怒りが入っている。
もちろん坊ちゃんがそんな事を思っている訳がない事は重々承知しているが、実際問題坊ちゃんの選択は「そういう事なんですよ」を突き付けている感じ。
感情型と見せかけて実はゴリゴリの論理型思考の人間でたまんねぇなあオイ……もっとだ、もっと寄越せェ……!

そして一番最初に書いた祐輔なのだが、まあ所謂下っ端の若い衆。
親がいなくてまともに教育してくれる人間もいなくて、だからこそヤクザになって初めて人間らしくなれたような社会から弾かれた若い衆。
坊ちゃんが総長になってからは主に運転手をしていて、ヤクザ社会を変えようとしている坊ちゃんを心から慕っている可愛い奴。
でも死ぬんだなぁコレがよぉ……。

この祐輔が死ぬ流れが私は本当に大好きなんだ。
「今度子供が誕生日なんすよ!」って特大死亡フラグを立てて、坊ちゃんの人間的な甘さ・総長としての自覚の薄さ・ヤクザへの真の意味での理解の低さが巡り巡って祐輔の死に繋がる。

チープなラッピングの誕生日プレゼントを持って、家賃の低そうなボロアパートに帰ると、鬼州組の連中に嫁と子供を人質に取られている状況。
この狭いアパートの中は100円ショップで買ってきたようなチープな飾り付けがいっぱいで、お金がなくても子供の誕生日パーティーをする幸せでいっぱいな家庭である事をまざまざと見せつけてくる。
そんな中で多数のヤクザが嫁と子供に銃を突き付けて、祐輔はなす術もなく殴られ続けて、最終的には家族の目の前で「うちの総長舐めんなよ」と言って銃で自死をさせられるし、もちろんその後家族も殺される。
しかも祐輔が殴られる間、坊ちゃんは別の場所で楽しそうにしている画を挟む。
音声なしで優雅な音楽だけが流れて、祐輔は殴られ坊ちゃんは楽しそうにの画を交互に見せられる。
そして事態に気付いた坊ちゃんがやって来て、どう見たってもう死んでいる祐輔に「おい、これどう言う事だよ」と問いかけてしまう。

本当にここの演出が反吐が出そうなくらいキツくて、土下座してお礼を言いたいくらい大好き。
本当に好き。
もう大好き。ありがとう。
この単なる胸糞展開で嫌な思いにさせてくるんじゃなくて、反吐が出そうな程綺麗な演出で胸をそっと確実に抉ってくるの大好き。ありがとう。
これを見てこの気持ちになる為に、今までの坊ちゃんのゲロ甘さがあったと言っても過言ではないくらいにここ本当に大好き。

静かなるドンで一番好きなシーン、マジでここ。


あと個人的には沢木が凄く好きなタイプのヤクザで、端的に言えと言われれば龍が如くの錦山みたいな感じ。
原作の時系列的に言うとむしろ、錦山が沢木みたいな感じなのかもしれないが。
本当に純粋で愚直が故に、全てを失って闇堕ちしてしまうタイプ。
坂本に対して、「だって親父病気やないですか!医者に通ってるん知って俺調べたんです!もう時間がない事も知ってます!俺は親父に日本一になってほしいんや!その為なら俺の手なんかいくら汚れてもええ!親父が綺麗ならそれでええ!」って言っているシーン、本当に沢木の人間性が全て出ていて好き。
それで坂本も腹括るからカッコイイんだよなあ、沢木もついていきたいと思えるんだろうなあとちゃんと感じられるのも良かった。

でも結局坂本が死んでしまって、実の姉同然だった龍子も死んでしまって、闇堕ち完了ほんと悲しいけどカッコイイ。
汚田に対して「誰が画描いてるんか考えたんです。結論聞きたいですか?」って言ってからの即撃ちからの、「誰がやったかなんかどうでもええねん。関わった奴全員殺す」で闇堕ち完了ほんと悲しいけど、死ぬ程カッコイイ。

そして坊ちゃんにちゃんと「お前が争いの火種なんや」って言ってくれるのは、視聴者側からすると凄くすかっとするので有難かった。
坊ちゃんにそんな気はなくても、実際問題坊ちゃんの行動で争いが起きている・激化しているのは間違いないからな。
祐輔が死んだのも坊ちゃんの行動が巡り巡ってな訳だし。
いやでもうこうして振り返ると本当に沢木はただただ可哀想だったなあ……救いはないんか……なかったわ……。

龍子に関しては「もう全てが遅いんよ」って感じがして、好きな死に方だった。
立場上「姐さん」と言われているだけで、実際には慕われている訳でもなければ、ヤクザ社会の知識がある訳でもないし、もちろん組織を動かす力もない。
最後の最後で坊ちゃんがしたい事・守りたいものに触れて、自分がしたい事・守りたいものは何かを理解した、自我が解放されて自分自身の判断で親子盃を拒否した。
でもそれはもう何もかもが遅過ぎたから、そんな判断をした後で汚田側の人間が運転する車に何の疑いもなく乗ってしまう。
本当に「鬼州組としてもただのお飾り」で「沢木を闇堕ちさせる為だけのお飾り」だったって言うのが無情で好き。


・総評
めっちゃ面白い。
祐輔が死ぬシーン本当に見てくれ、反吐が出る程キツくて美しい。

そしてヤクザものだけどグロ度は低め。
ギャグシーンもあるし、テンポも良い。
坊ちゃんの会社の同僚が風俗に沈められたり、拉致られたりするシーンもあるが、直接的に暴力などを受けているシーンはないので、個人的にはかなり優しい範囲内の描写かなと思う。
死体もあまり映らないし、指詰めるシーンもない。
ただ当然だがヤクザものなので、殴る蹴る斬る撃つはゴリゴリにある。
それが大丈夫ならむしろ日本統一よりも描写としては優しい範囲じゃないかな。
龍が如くシリーズよりも優しいと思う。
「ヤクザものを初めて見ます」って人でも見やすいようにされていると思う。

ただ祐輔が死ぬシーンだけは本当に反吐が出そうなくらいキツくて美しいから、マジでそこだけ覚悟してくれって感じ。
マジであのシーン好き過ぎてしんどくなるのにまた見たくなるんだよ。
癖になってんだ……自分からそっと胸抉られに行くの……。



ところで静かなるドン2に山口さんが出てるって本当ですか?
本当ですよね?
公開発表の動画見ましたよ?
本当に出てるんですよね?
しかも発言的に坊ちゃんの敵側っぽいですよね?
て事は鬼州組側って事ですか?
あの四章ラストで名前が出た出所して来た奴ですか?
伊藤さんへのアクション指導もあったとお聞きしましたが?
つまり山口さんもアクションシーンがあると言う事ですよね?
ねぇ!!!???
山口さんが!!!敵で!!!出て来て!!!アクションしてくれるって事ですよねぇ!!!???
ふざけんなよクッソ見てぇじゃねぇかよ!!!
無理……見たいが過ぎて煙草吸う本数増える……煙草代がかさむじゃねぇかどうしてくれんだよオイ……。
龍が如く7外伝→日本統一の流れで完全に山口さんのファンになっちまったんだよどうしてくれんだよオイ……。
ネトフリさんお願いします……値上げしたんだからお願いしますよ……!!!
私に山口祥行を摂取させろ!!!!!!!!!

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藤堂佑
「ほら餌の笹代だ」的な感じでチップをよろしくお願いします! ポチって貴方に谢谢させてください!!! 笹を食べながら谢谢します!!!