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【メモ】『これだけ!生化学 第2版(稲垣賢二・生化学若い研究者の会)』
ダイエット界隈では、一般的にカロリー計算とPFCバランスが重要と言われている。まず疑問に思うのは「そもそもカロリーとはなんぼものんじゃい。」ということである。調べてみると、1キロカロリーとは標準大気圧下で水100gを10度上げる熱量とある。
脂肪や炭水化物を体の中で燃焼させるわけでもあるまいし、ダイエット界隈で、どういう論理でカロリーやPFCバランスが重要とのたまっているのか知りたくなった。
論文の引用が多く信頼できそうな下記サイトの記事に
まずは我々の身体が脂肪を使ったり、合成する仕組みについて大まかに理解します。
細かいことを言い出すとキリがないのですが、より詳細に知りたい方は生化学の教科書を読んで下さい。
まずはモデルを理解することが肝要です。
とあり、「生化学」というキーワードをもらった。
また、代謝の仕組みをネットで調べても日本語ではあまり詳しいサイトにであえなかった。
![](https://assets.st-note.com/img/1716720834579-gYxvORym5g.jpg?width=1200)
には、代謝の概略図が載っているが、もう少し詳しく知りたかった。
というわけで、本書を読んでみたというわけだ。
目次は以下。
第0章「 生化学」という学問とは
第1章 高校化学の復習
1-1 化学知識の習得
1-2 原子と分子
1-3 化学結合
1-4 化学式と化学反応式
1-5 立体異性体
1-6 原子量、分子量、濃度
1-7 生物を構成する原子の種類
1-8 官能基
1-9 活性化エネルギーと化学反応
1-10 酸と塩基
1-11 酸化と還元
第2章 細胞の構造
2-1 細胞ってなに?
2-2 真核生物と原核生物
2-3 細胞小器官の種類と機能
2-4 生体膜の役割
2-5 生体膜の構造
2-6 生体膜での輸送
第3章 生体分子の構造と機能
3-1 生体成分
3-2 糖質
3-3 脂質
3-4 タンパク質
3-5 核酸
3-6 ビタミンとミネラル
3-7 ホルモンと神経伝達物質
第4章 タンパク質の構造と機能
4-1 タンパク質の構造
4-2 酵素
4-3 酵素以外のタンパク質
第5章 エネルギー代謝
5-1 代謝とは?
5-2 生きるために必要なエネルギー
5-3 エネルギーの基本
5-4 ATP
5-5 ATPの生産工場
5-6 ミトコンドリアの構造
5-7 電子伝達系
第6章 物質代謝(糖代謝・脂質代謝)
6-1 物質代謝ってなに?
6-2 糖代謝
6-3 解糖系
6-4 解糖系の調節機構
6-5 クエン酸回路
6-6 クエン酸回路の調節機構
6-7 エネルギー生成
6-8 糖新生
6-9 ペントースリン酸経路
6-10 脂質代謝
6-11 中性脂肪の貯蔵と運搬
6-12 脂質代謝のバランス
6-13 脂肪酸の分解① ~β酸化まで~
6-14 脂肪酸の分解② ~β酸化からあと~
6-15 脂肪酸の生合成
第7章 物質代謝(アミノ酸代謝・核酸代謝)
7-1 アミノ酸代謝
7-2 アミノ酸の分解
7-3 尿素回路とは
7-4 アミノ酸炭素骨格の代謝
7-5 アミノ酸の生合成
7-6 アミノ酸から合成される生体物質
7-7 核酸代謝
7-8 プリンヌクレオチドの合成
7-9 ピリミジンヌクレオチドの合成
7-10 プリンヌクレオチドの代謝分解
7-11 ピリミジンヌクレオチドの代謝分解
第8章 核酸の生化学
8-1 そもそも遺伝子ってなに?
8-2 遺伝子の発現
8-3 DNAの複製
8-4 DNAの複製の仕組み
8-5 損傷を受けたDNAの修復
8-6 DNAの転写とは
8-7 転写の仕組み
8-8 遺伝子の転写調節
8-9 翻訳に登場する分子について学ぼう
8-10 翻訳の仕組みについて学ぼう
8-11 翻訳後修飾
8-12 エピジェネティクスとは
8-13 組換えDNA技術とは?
一般的に、炭水化物は1g/4kcal、タンパク質は1g/4kcal、脂質は1g/9kcalと言われている。
本書を読む前は、「脂はよく燃えそうだな。」ぐらいのイメージしかなかったが、いかに自分がモノを知らなかったかが良く分かった。
具体的には下記のような結果になっているとのこと。
・脂質の代謝:1分子のパルミトイルCoAから108分子のATPが得られる
・糖質の代謝:1分子のグルコースから32分子のATPが得られる
1位の炭素の結合の向きによって、α、β 2種類の立法異性体ができます。
ビール醸造の時の麦芽に含まれているαアミラーゼとかβアミラーゼっていうのはそういうことだったのね。
セルロースとキチン:骨格を保つ多糖
多くの植物細胞を取り囲む固い細胞壁の主要な成分は、多糖の一つであるセルロースです。 セルロースもアミロースと同じように糖のグルコースがたくさん結合してできています。 この結合は、β1,4結合と呼ばれますが、ヒトは、このβ-1,4結合を分解する酵素を持っていません。そのため、ヒトがセルロースを食べても、エネルギーにはなりません。
また、エビやカニの硬い殻は、 N-アセチルグルコサミンという単糖がたくさん結合してできたキチンという多糖が主成分ですが、こちらもβ-1,4結合で結合しているため、ヒトは体内で分解することができません。
植物の細胞壁であるセルロースも糖質なんだな。。
リポタンパク質による脂質の運搬
水と油は混ざりません。 腸管から吸収されたり、肝臓で合成されたりした中性脂肪はどのようにして体の中を移動し、目的地に向かうのでしょうか?
水分に富む体の中で、多くの脂質はアポタンパク質と結合したリボタンパク質という形で存在しています。 リポタンパク質は、中性脂肪やコレステロールに代表される脂質を、あたかも積み荷を扱うトラックのように運搬する役目を担っています。 リポタンパク質は体の中を巡り巡ることで、 貯蔵用の倉庫 (脂肪組織)や、必要とするお客さん(末梢の細胞)に積荷(脂質)を配送しているのです。
リポタンパク質は密度によって異なる名前があり、その役割も少しずつ異なっています。 たとえば、LDL (低密度リポタンパク質)は肝臓から肝臓以外(末梢)への、HDL (高密度リポタンパク質)は末梢から肝臓への脂質輸送を担当し、キロミクロンと呼ばれるリポタンパク質は、腸管で吸収した脂質を体内に運んでいます(図6-11-1)。
健康診断の血液検査などで、LDLとかHDLとか見たことはあったけど、意味は知らなかった。思わず結果を引っ張り出してきて自分の値を眺めてしまった。
最後に感想としては「やはり体系的な知識を得るにはネットではなく書籍」だなと。
代謝の仕組みやキーワードがぼんやりと頭に入っているだけでも、今後各種論文や記事を読む手掛かりになると感じた。
また、この複雑な代謝系の仕組みを解明した先人の化学者たちに畏敬の念を抱かずには居られない。