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霧島はるか
2021年2月3日 22:39
うだるオレンジに包まれた緑の海。湿り気を帯びた夏の風に漂う緑の肌の腐臭。吐き気を催すほどの蝉の声。終わらせるべきだったのだろうか。あの日、あのゲートボール場で。否定の中を生きてきた。否定され続けるのが怖くて、必死に仮面を被り続けた。そのくせ僕も心の中で、全てを否定した。僕を否定し続ける世界は、否定し返してやるのが一番楽だった。でも同時に、受け入れられることも望んでしまった。だか
2020年12月3日 21:27
あの日、息をするのも困難なほど高密度な暗闇の中にいた僕に、あの二人は優しく、それでいて力強く、手を差し伸べてくれた。学校帰り、いつものように図書館に寄った。本が好きだったというのもあるが、思いつく限りの時間を潰す手段を実行してからでないと、僕の体も心もあの家に向かおうとはしなかった。ぶらぶらと本を物色していると、色使いが印象的なひまわりの絵が背表紙にあしらわれた分厚い本が目にとまった。美術