如何にして彼らを本屋にいざなうか
最近はお中元でもらったジュースで飢えをしのいでいます。
こんにちは、嫁です。
「本を買うならアマゾンか楽天」
こういう人、多いと思います。
わかります、私もよく使ってました。だって便利ですし。
あの「おすすめリスト」みたいなの、優秀ですよね。参考になります。
でも本屋としては、それを仕方がないでぼんやり見過ごすなんてしたくない。どうにかして本屋に引っ張り込みたい。ウェルカムトゥ本屋!
普段本をあまり読まない人をどうやって本屋に入店してもらうのか、読まないジャンル・作家の本をどうやって手にとってもらうのか、ちょいと考えてみました。
◇◇◇
嫁 『火車』ですよ、かしゃ。
夫 『火車』ですか、宮部みゆきの。
嫁 そうそう、それです。いや、まだ頭の方なんですがこれが面白いんですよ。火車、かしゃ、カシャ、KASHA。ああ早く続きを。
夫 黙って読めよ(笑)。
嫁 ああ、みんなも読めば良いのに。私もこんなに読むのが遅くなったけど。やっぱ、宮部みゆきってすごいなあ。『理由』も面白かったし。
夫 ふうん。じゃあ宮部みゆきを読んだことのない人に読んでもらうためにはどうしたらいいと思う?
嫁 そおねぇ。まあ確かに私もあとは『誰かーSomebody』くらいしか読んだことないし、「宮部みゆき=ミステリー」ってイメージがあるからミステリーが苦手な人はちょっと敬遠しちゃうかも。
夫 俺も苦手だわ。死ぬためだけの登場人物っていうのがちょっとね。
嫁 そういう人のためにどうするか、っていうことですよ。よくあるのは、「人の死なないミステリー」とか意外性を打ち出す、というか敷居を下げるみたいなのがあります。「そのイメージをぶっ壊せ!こんな本も書いてるよフェア」とかどうですか。
夫 ははあ、なるほど。
嫁 あと定番化しているのは、人気のタレントに推薦文を書いてもらうとかオリジナルの限定カバーをかけるとか。映像化とか。映像化の写真入り帯とかカバーは本当に入荷を心待ちにしていた記憶があります。人気の俳優やアイドルの場合、それだけで売れ行きが変わります。
夫 そうね。乃木坂46とか、EXILEとかあったよね。本屋に普段来ない人に訴求力のある人選が大事なのかな。
嫁 あとは、プロモーション映像とかどうでしょう?映画やドラマの映像化ではなく、音楽でいうところのミュージックビデオ的な。安藤祐介の『本のエンドロール』の動画なんかは私好きでしたよ。まだ読めてないけど。あとは若手だけどセンスのあるクリエイターと一緒にやるとか。
夫 んー、ただお金かかるよ。若手つったってプロなんだし。そんなこと無理でしょう今どき。映画化やドラマ化したら予告編流すのが関の山じゃない?
嫁 じゃあ、我々がやるしかないか。そう、我ら書店員が。スマホで撮って編集する。該当の書籍の熱々ポイント(!)をインタビューして回る、とか。白熱する著者と担当編集のやりとり、燃える担当営業に密着したりとか。
夫 燃える営業(笑)、それ会いたいな。
嫁 要は「なにかやってくれそう感」です。この本屋ならいいプレゼンテーションをしてくれる。行けばきっとなにかある。そういうお客さんとの信頼関係を築く。これではないかと。
夫 たしかに知らない偉い人なんかより、仲の良い友達とかお世話になってる先輩とかに勧められた方が「読もうかな」ってなるしね。
嫁 そう!そのポジションになれたら大成功です。
夫 まぁ、それが大変なんだけどね。配本がほとんどだから金太郎飴状態になっちゃうし。
嫁 前途多難とはこのことか。ああ、私にセンスがあれば勝手にPOPとかつくるのに。しかし残念ながら、生まれてくる途中で落としてきたらしい。
夫 なにを詩的に言ってごまかしてんだ。
◇◇◇
結局、答えはでませんでした。理想を語るのは簡単ですね。
このテーマはこれからも話す余地がありそうです。
ぜひ、現役書店員のみなさんには独創性を爆発させていただきたいと思いますが、くれぐれも身体だけは大事にしてくださいね。
ではここで、夫に代わりますね。
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どうも、夫です。この問題については、まだまだ課題が山積ですね。広告の手法と予算で解決できる面もあれば、現場が汗をかくしかない所もあります。私は業界の構造にも問題がないでもない、と深く突っ込んで考えていたこともあります。その話をすると妻は面倒くさがるので面倒くさい話なんだと思います。
引き続き、「本屋の奥のほう、平台だけでなく差棚までどうやって来てもらうか」の話をしていきたいです。
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