子供と大人の勉強法・指導の違い:RPG式楽しみ方
以前の勤務先で新入社員教育や社会人研修を担当し、この度機会があって小学生(一部中学生)に算数の勉強を教えました。
幸いにも、二つを比較できる立場でこちらも学ぶ機会があり、この度稚拙ながら、少し勉強法をゲームの様にまとめました。
自らも学び、後生に勉強を教える方々の参考になれば幸いです。
尚、このブログ・Noteを読んでいる方は高校生以上という事で書かせていただきます。
自分の子どもに勉強を教える。家庭教師をする、塾講師をする等の方に、少しでもお役に立てれば幸いです。
子供の勉強法と大人の勉強法の大きな違い
小中学生の子供の勉強、そして高校生以上の大人の勉強、両方に教えていると、大きな違いがあります。一番の違いは「基礎」か「基礎を使った応用」か?という事です。
小学生が学校で学ぶのはほとんどが「新しい事」です。そして中学生になって、その知識を組み合わせた新しい手法や技術を学びます。
新しい手法を学び、理解でき、その方法で問題が解けるようになると、レベルが上がってきます。基本ができていないと、なかなか進むことができません。
ただ、新しいことを学ぶ段階で気をつけなければならないのは「わからない所が分からない」という問題点。
新しく学んだこと(点)が点在し、点と点をどう結んでいくかを、手法を工夫して線を作っていきます。
例えば分数の割り算問題。割られる方の分子と分母をひっくり返す、という方法を学びます。
なんで?という子供の質問に「そういうものだから覚えろ」で済む子供もいますが、納得できない子供も多いです。
その「なんで?」という質問に対し、4から5種類の回答説明をしていくうち、どれかでも納得できれば、「分数の割り算は…」とコツを覚えていきます。
中学生でも基本は「和差積商」足し算・引き算・掛け算・割り算の組み合わせ。
文章問題等は可視化するようにすると、納得いってくれます。
対して、大人の勉強法。すでに出来上がっている線を組み合わせる方法が求められます。特に真新しい知識というのは少なく、今までの知識を使って理解する、という「線」を使って「面」や「立体」を作る方法を求められます。
小学生はゲームで言う「操作方法を学ぶ」
私はRPG(ロールプレイングゲーム)が大好きです。ドラクエ(ドラゴンクエスト)やFF(ファイナルファンタジー)、クロノトリガー等、楽しんでました。
小学生の勉強は、まずゲームの操作方法を教えるのに似ています。
Aボタンは決定、Bボタンはキャンセル等。それと同時に、何度も練習を重ねて、操作ミスを補正していきます。そして指を見なくても操作できるようになったら、組み合わせを教えていきます(Bダッシュ等)。
このときに、無理やり教えたりするのは逆効果。よくある「先生が嫌いでこの教科が嫌いになった」というパターンです。
逆に自分よりも年上のお兄さんお姉さんが楽しんでいるのを見せるのも結構効果があります。難しそうな問題を楽々とこなしている姿は自分の行き先を示しているようにさえ感じるそうです。
この段階での先生や親、教育補助員としては、子供心に火をつける(やる気スイッチを押す)のが大事な要素になってきます。
少しわかったら「基本問題」を解かせて、ケアレスミスを減らしつつ点数を伸ばす。基礎をしっかり固めます。
大人はシチュエーションに合わせて学ぶ「実践型」
大人の勉強の場合、多くは既に火は付いています。「やる気スイッチ」を押すこともありますが、大体にして既にやる気のある人が集まっているのが社会人。
小学生に「操作方法を教える」のに対して、大人には「攻略法」を教える事にいています。
座学も大切ですが、体が自然に覚えるように指導します。実店舗ですぐに困らないように基本を確認。そして自分が相手の立場なら?、非常事態は?等の攻略法を提示し、考えてもらいます。
基本問題中心の子どもに比べて、大人の場合は「応用問題」を解かせるようにします。応用問題で引っかかったりこの段階で「なんで?」と思う事は基礎に立ち返って学んでもらうと、すんなり理解できます。
更にもう一つ、子供と違い大人の勉強の場合、大きな違いの一つに「試験」がついてきます。
確認試験や語学試験など、様々な試験との戦いになるのが大人。勉強方法も小中学生とは違ってきます。やる気は自分で見つけられなければいけない年頃。
ただ、高校生以上の大人の場合には、自分から将来像や仲間を見つけてやる気を出したり、昇給や資格取得による収入増等外的要因でやる気を出すことができます。
よって、大人には基礎問題をほぼ間違いないように押さえたうえでの応用問題・複合問題をいかに正確に解けるか、に重点を置きます。
以上をまとめると、
小中学生・・・やる気スイッチを探して押すのがコツ
大人・・・今までの知識の組み合わせ方法を広げるのがコツ
この方法ができて尚、部活動や生徒指導に当たられている先生方には頭が下がります。
勉強方法:試験までの長い道のりはゲーム感覚で
国家試験をはじめとして資格試験など、多くの試験には勉強が必要です。
特に、特殊職や国家資格の場合、決められた学校のカリキュラムで複数年にわたっての学習、単位取得、実習などが求められます。
その単位をすべて取得してやっと「受験資格」を得ることができます。ここまで来てもまだ合格できるかわかりません。
夢を持ち始めてから、とても長い道のりになります。あまりにも遠い目標はそれだけでもやる気が萎えてしまいます。
「無理」と思っている状態では、出来るものもできません。
ゲームに置き換えると
同じように達成するのに時間のかかるものに「RPG」(ロールプレイングゲーム)があります。ドラクエ(ドラゴンクエスト)やFF(ファイナルファンタジー)などが有名ですね。
多くの方は知っているかもしれませんが、ゲーム開始時の主人公は装備も体力もほとんど頼りないです。そこから仲間を集め成長し、装備も整えて、細かい問題(クエスト等)をこなしながら、最後の魔王(ラスボス)を倒します。
高校大学の期末試験、何かの国家試験や認定試験勉強を始めるときも、最初はほとんど知識の無い状態。学校に行き、自己学習を行い、実習を積み重ねて、やっと卒業試験・国家試験(ラスボス)に挑戦していきます。
小学生の内からこのことを教えてもRPGの意味が分かっていないので失敗。大体将来の仕事を意識する中学高校生辺りで、現在地を将来とのギャップに気がつくのではないでしょうか。
ゲームから学べる事
ゲームでも、スタート直後は城(拠点)から出る前に、大体の操作方法を学びます。「話す」「買う」や階段の使い方、開けられる扉、開けられない扉等があります。
試験対策も、学校に入る前やオリエンテーションで、卒業後の進路や試験合格率、カリキュラムや単位取得の方法などを教わります。
自分が自分の人生の主人公であることには変わりないのですが、どのように進めていくかは人それぞれの特徴があります。勉強法も同じで、得意不得意も個性によりそれぞれ。
どのような形であれ、最後にはラスボス討伐を目指していきます。
また、当初はラスボスと思っていたものが、実はその後にも更に強いモンスターやボスがいるという事はよくあります。
小中学校での勉強は城を出るまで
基本を学ぶ小中学校の勉強、これはゲームで言うと操作方法を学ぶ段階。ゲーム機のスイッチを入れ、ゲームが開始。名前登録等を行い、コントローラーで主人公を操作します。
話す、しらべる、宝物、扉を開く、開けない扉・宝箱を認識する等はスタート地点を出発する前に大体行うようにできているそうです。
学習開始:ゲーム前半
試験勉強も、最初から過去問を解くことはありません。まずは基礎をしっかりする必要があります。ロールプレイングゲームでも、最初からドラゴン級を倒すのではなく、雑魚(ザコ)と呼ばれる経験値を稼ぐモンスターを倒していきます。
前半としては以下の事が通過点となります。
ある程度の試験学習や日常会話でも、中学生までの知識で40%は理解できるようです。
日常英会話等も、高度な文法よりも中学生までの英文法が9割以上を占めます。
そして、時々進めなくなった時は、最初の本拠地・スタート地点に戻ると話が進むことが多いです。これはどの教科でもゲームでも似た所があります。
経験値を稼ぐ:基礎を固める
RPGゲームのスタート時点では、大した武器も防具もなく、雑魚レベルにも苦戦するほどです。ここでは基本となる戦い方や洞窟、時間帯によるモンスターの特徴などを、時々は全滅しながらゲームを進めていきます。レベルアップの為、時には退屈な戦闘を何度も繰り返さなければなりません。
学校でも、最初は基礎を学びます。基本的には「つまらない」です。ただ、この基礎がしっかりしていないと、応用や特殊な例を学ぶときにつまづきます。おなじ最初の1年でもここが理解できているかどうかで、その後が大きく変わってきます。
ゲームと違って勉強では途中で「呪文を覚えた」という事はありませんし、ファンファーレが鳴って「レベルアップ」などという事はありません。しかし、山を登るかの如く、振り向いたら結構高い位置にいたという事はよくあります。
また、強い敵と当たって全滅した際も、元の所に戻って再スタート。この場合も、勉強で少し前の段階に戻って基本を学び直すことに似ています。
仲間を集める:友達を作る
最近のRPGゲームはオンラインで仲間同士でも戦えるとのこと。しかしながら、現実社会では感染症によってオンライン授業、同級生の顔をみることや友達を作ることができにくくなっていました。
ゲームであれば、仲間の存在によって、自分の得手不得手がわかります。それによって、戦士と魔法使いでは戦い方が違う事で役割分担、強敵相手にも立ち向かうことができます。
現実社会・実店舗の職場でも、仲間や友達がいることで、自分自身の強みや弱み、得意分野を洗い出すことができます。不得意な事が相手の得意であれば助け合い、考え方の違いなどから正解への道筋が一つではない事がわかることもあります。
最終的には同じ試験を受けるにしても、そこに達するまでの道のりは十人十色。一人で進むよりも仲間がいた方が進みやすいのは明らかです。
成長の遅い・速いなど個人差があります。社会人に私が教えていて「成長速度が鈍い人の共通点」は別記事にあげてあります。
試験まで:ゲーム後半
基礎が終わって、応用や試験対策。ゲームでいえば、船や飛行艇を得て、魔法や敵によって戦い方が違ってくる段階から中ボス、ラスボスです。
過去問や模擬試験:中ボス~ラスボス
基礎が終わり、応用段階。徐々に科目が増えてくるとともに、最後の試験問題に照らし合わせた回答の仕方を学ぶ段階です。
試験対策であれば、過去問や模擬試験、問題集などを行います。自分の間違えた所を解析して、何故間違えたのかを解きましょう。また、特別講義や試験対策等で得られる情報も集まり出す時期です。
これはゲームでも、中ボスに行くまでの洞窟や塔を攻略するのと同じ。どのようなアイテム、魔法が必要か。体力温存にはどうしたらよいか?遠回りしてまで取りに行く特別な宝物はあるか?
大人の勉強法でも、不安な場所があれば、少し前に戻って基礎を学びなおす選択肢を取る事も必要です。
試験:ラスボス
大きな試験の実施は、年に1回から多くても2回です。その場で最大の力を発揮する必要があります。ゲームでも、セーブした場所からすぐにボス戦になることは稀で、ラスボス戦に備えてプレーする方も、時間的な余裕がないと遊べません。
攻略法:ノーダメージ、満点にこだわらず合格を目指す
何度もプレーして、レベルも必要以上に上げている(Lv99等)のでは別ですが、通常ラスボス戦は何かしらの攻略法があります。まずボス周りの雑魚を片付け、ボスの弱点や攻撃パターンを見つけて、それに対してダメージを受けながらも攻撃していきます。
最強のボスをノーダメージ(無傷)で攻略するのは、資格試験で正解率65%合格のところを100%目指すのも同じ。そこまでのエネルギーは必要ありませんし、限られた時間内では難しい。それよりも見落としやケアレスミスを減らし、取れる点数は確実に取ることで、合格点越えに結び付けます。
そして、ボス戦も試験も、その戦いの場に到達しなければなりません。試験会場へ行く前に体調を壊しては、ボス戦前にコンセントを引き抜くのと同じ。試験前は特に体調管理に気をつけましょう。
まとめ
小学生から続く、長くてつらい学習。大人になってからも試験などが続きます。
子供も大人もRPG等のゲームに例えると、レベルアップを感じるほど楽しくなるのと同時に、現在地や自分の得意不得意がわかりやすくなります。
教える立場とすると、小中学生の内は「やる気スイッチを押す」「楽しさを伝える」事に重点を置きます。そして高校生以上の大人には1つではない攻略法を教えて冒険を進ませるようにします。
自分のことが分かれば、対策や仲間の助けを得られやすく、また仲間を助けやすくなります。
ゲームでも試験対策でも序盤・中盤・ラスボス対策でやることが違います。
途中で同じ目標の仲間がいることで、自分の得手不得手やお互いを高めるころができます。仲間を集め基礎を固めるのが前半。そしてレベルアップをしながら中ボス戦へ。
ラスボスは、大体攻略法があります。しかし、ノーダメージは不可能。効率よく点数を稼ぐためにも、本試験前にも模擬試験や過去問などが良い教材になります。
そのうえで、毎日教壇に立つ先生方、教科を教えるだけでなく生徒の生活指導や部活動、進路指導等本当に頭が下がります。
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