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【才能はみだしっ子サポーターズ⑧】 「多様な学びプロジェクト」子どもたちがありのままで居られる場所

「多様な学びプロジェクト」は学校外で過ごす子どもたち=『free bird kids 自由な魂を持つ子どもたち』が、自由に外へ出て、地域の人々に見守られながら学び成長することができる場所である『街のとまり木』作りなどをされている団体です。

才能はみだしっ子(ギフテッド・チルドレン)たちの中にも、学校と合わないがために不安を抱えている子どももたくさんいると思います。どのような場作りをされているのか、代表の生駒知里さんに「多様な学びプロジェクト」の活動内容を伺いました。

生駒さんプロフィール

「多様な学びプロジェクト」の原点

「多様な学びプロジェクト」の活動を始めることになったきっかけは、生駒さんご自身の子育てにあります。 生駒さんの息子さんは、小学校1年生の時に不登校になりました。お子さんの姿から、生駒さんは、「たとえ親が『不登校』を肯定しても社会が否定していれば、子どもはそれを敏感に感じて、将来に希望がないと思ってしまう」と感じられたそうです。

生駒さんの周囲にも、学校に行かないお子さんのことで悩む保護者が多くいたことから、子どもたちが学校には合わないなと思った時に、<安心して休んだり学校外で活動できない>という今の世の中はおかしいのではないかと思い始めました。

様々な葛藤の末に、今では息子さんのありのままを肯定できるようになったと生駒さんは語ります。「 息子は高校1年生になって、自分で行きたいところに行き、やりたいことがあれば様々なツールを使って学び、母よりもずっと物知りで、料理や掃除が得意で、大人とも子どもとも普通に話せる男の子に育ちました。私自身も、学校以外の子どもたちの育つ場を作ったり見つけたりできたおかげで、以前のような不安を抱えなくなりました」

そんな思いが原点となり、悩んでいた頃の自分たちのような親子に「大丈夫だよ」という安心感を届けたい、学校以外で育つ子を豊かに育む場を提供したいと生駒さんは考えました。息子さんに相談してみたら「やってみたらいいんじゃない」と背中を押してくれたのだそうです。

「多様な学びプロジェクト」のはじまり

2017年4月、生駒さんはFacebookに子どもたちのためにやってみたいと考えた活動内容を投稿しました。独身時代は「川崎市子ども夢パーク」のオープニングスタッフとして働いていましたが、結婚を機に退職。その後10年間は専業主婦で、市民活動はしていたけれどもビジネスの経験がなかったことから、まず何をどう始めて良いか分からなかったのだそう。

それでも、投稿にはやってみたいこととともに「何から始めたら良いかも分からないけれど、お手伝いをしてくださる方はいませんか」と書きこみました。すると、たくさんの方がその投稿をシェアし、ご家族で入られていた通信教育の先生が代々木にある校舎をミーティング用に利用させてくれたりと協力者が次々に現れました。生駒さんは共感して集まって下さった方たちと打合せをしたり、様々な分野の方々と出会ったりしながら構想を実際の活動へと進めることができました。

活動を始めた当初は、息子さんと一緒に子どもたちの交流ができるSNSの場を作ろうと考えていたそうです。けれども色々な人に話を聞いてみると、サイトを作るのにとてもお金がかかること、そして子ども向けだと管理がとても大変だということが分かってきて進める事が難しくなってしまいました。

その時点で息子さんは、自分がやりたいことができないならとプロジェクトから抜けてしまったのですが、生駒さん自身は子どもたちが安心して立ち寄れる『とまり木』のような場を作るアイディアを実現したいと思うようになり、その活動に協力してくださる人たちとさらにつながることになりました。その一人であるNPO法人日本ホームスクール支援協会理事の北本貴子さんは、元デザイナーであったことから素敵なロゴのデザインを無償で提供してくださいました。

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生駒さんの地元、川崎市には「みやまえ子育て応援だん」という市民グループがあります。「子育てにやさしいまちの空気」を作り、宮前区や周辺のお店、企業、施設と市民をつなぎながら様々なアクション、企画をしているグループです。その活動の中には、子育てにやさしいお店や施設にステッカーを貼ってもらうということもしていて、生駒さんの知人がメンバーであったことから「みやまえ子育て応援だん」の登録をしている施設に子どもが安心して立ち寄れる場『街のとまり木』の活動の紹介をしてくださることになりました。地元の工作教室も「街のとまり木、1号店になるよ」と言って下さり、生駒さんは活動を本格的に着手することができました。

「多様な学びプロジェクト」の活動内容

ここからは「多様な学びプロジェクト」が現在提供している活動のそれぞれの内容について詳しくご紹介していきます。

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     ・「街のとまり木」への登録
     ・とまり木オンラインサロン・大人向け
     ・フリーバードキッズ オンラインサロン・こども向け
     ・街の先生コドモ農業大学
     ・コドモギルド
     ・オンライン授業

「街のとまり木」への登録

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学校で学ぶ子・学校以外で学ぶ子・おうちで過ごす子、いろんな子がいます。子どもたちが、いつでもどこでも「知りたい!」を選択できる新しい街づくり。学校外で育つ子どもや保護者が、おうち以外で利用できる「地域の居場所」や相談先、それが「街のとまり木」。児童館や図書館などの公共施設、フリースクール、オルタナティブスクール、フリースペース、プレイパーク、美容室やコミュニティカフェ、商店街の商店、無料塾、不登校「親の会」などが登録可能です。登録には審査基準をクリアする必要があります。

審査基準には下記のような誓約事項があり、学校へ通う事が難しい子どもたちへの配慮があります。

◎ 「学校外で育つ子どもを迎え入れるお気持ちがある」
◎ 「学校復帰」を前提としていない。
◎「何で学校行かないの?」「学校で今何をしているの?」といった話題で子どもを不安にさせない。 (※一部抜粋)

現在全国で、約400箇所の登録があり、利用希望者はホームページで検索が可能で、「とまり木」の詳細情報やタグから自分に合った場所を探すことができます。

※街のとまり木(地域の居場所)全国都道府県別リスト(2021/10/29現在)はこちら。山梨県、奈良県、和歌山県、鳥取県、大分県、宮崎県内の居場所や相談先(親の会も可)の登録を募集中です。
※とまり木の登録に関心のある方はこちら

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とまり木 オンラインサロン・大人向け

とまりぎオンラインサロン

不登校、ホームエデュケーション家庭の保護者、「多様な学び」に興味のある教育関係者やフリースクールスタッフ、親の会運営者など現在300名以上の方が参加されています。

オンラインサロンでは、次のような活動を行っています。
①支援者・保護者向け多様な学びプロジェクトのキーパーソンによる実践・対話的な講座(月2回、アーカイブ視聴可能)
②多様な学びプロジェクト代表の生駒さんやホームエデュケーション歴が長い運営メンバーと、オンライン(Zoom)で話せる「保護者おしゃべり会」(月2回)
③支援者向けオンライン交流会「スナックミチシルベ」(月1回)
④ 「父の会」や「シングルペアレントの会」、「フリースクールオルタナティブスクール交流会」、「学校やりとり部」「手芸部」「18才以上の子をもつ親の会」など共通のテーマや趣味をもったメンバーによる部活動(現在月5回)

フリーバードキッズ オンラインサロン・こども向け

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チャットツール(Slack)を使って、写真や文字で家庭の遊びや学びを投稿し、他の仲間やファシリテーターと交流をします。2022年6月時点では下記の7つのチャンネルがあります。

01_なんでも投稿
02_植物栽培部
03_生き物研究所
04_動画とゲーム
05_クラフトクラブ
06_料理クラブ
07_音楽

また月に1回Zoomでのおしゃべり会も開催。現在約10家庭が参加しています。
※詳しい情報はこちら

街の先生コドモ農業大学

「コドモ農業大学」は、多様な学びプロジェクトの萩原裕子さんが主催。学校に行かない選択をしたその先に、「仲間との出会い」 と 「体験の機会」 を提供し、平日の昼間をもっと楽しく、おもしろく!をモットーに活動をしています。

子ども農業大学

コドモギルド

子どもギルド

こちらも萩原さんが企画・運営をしている子どもたちの学びの場所です。学校外で学ぶ子どもたちが集い、興味のあることをとことん調べたり、ときには自由な時間を満喫したり、その子の歩幅に合わせて過ごせます。
コドモギルドでは、「とまり木」に一人では行きにくいという子どもが参加しやすいワークショップを週に1回ほど開催しています。活動場所は埼玉県のさいたま市子ども家庭総合センターあいぱれっと、埼玉大学の学生の皆さんとの共同運営で、対象は小学校1年生~中学校3年生です。
※詳しい情報はこちら

オンライン授業

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「オンラインこども哲学カフェ」「ここから世界へワークショップ」など月に1回テーマを決めて開催しています。8人程度の少人数でzoomを使って対話形式で学びます。ファシリテーターが基本的なルールを説明し、参加者でテーマに関して疑問や意見を出しあいます。
※詳しい情報はこちら

運営はご寄付や助成金を活用


「多様な学びプロジェクト」は、運転資金を助成金や事業収入、寄付でまかない 、とまり木の登録者から登録料を頂いていません。子ども対象の活動も人件費が賄えていないながらも、参加しやすい参加費用にするために皆さんからの寄付や助成金を活用しています。多くのボランティアの協力者の方々もお手伝いをされているそうです。

※現在、「多様な学びプロジェクト」では活動を支援して下さる寄付を募っています。寄付の受付はこちらから。

「多様な学びプロジェクト」は「街を学び場に!」を合言葉に、「すべての子どもたちが豊かな子ども時代を送ることのできる社会の実現」がビジョン。そのために「身近に気軽に行ける場所と周りの理解、両方を広げること」をミッションに積極的に活動をされています。生駒さんの思いから始まった活動が多くの方の共感を得て全国へと広がっています。

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【インタビュー後記】

生駒さんにお話を伺った日は、たまたまご家族全員がお家にいらっしゃった日でした。兄弟姉妹がみな和気あいあいと仲良くにぎやかに過ごしていらして、自然体で淡々と子どもたちに接していらした生駒さんがとても素敵でした。

今回は長男の息子さんのお話から活動へのいきさつを伺いましたが、好奇心旺盛で自分のペースを大切にする息子さんの子育ては生駒さんにとってそれまで持っていた子育て観を大きく変えることとなりました。合わせるべきと思っていた世間一般の常識から徐々に距離を置き、子どもひとりひとりの個性に寄り添われた生駒さん。その思いをご自分のお子さんだけではなく、日本全国へ伝播されていった活動力をとても素晴らしいと思いました。

発足当初のご縁の広がりを「何かに導かれるようだった」とおっしゃる生駒さん。今、日本全国に学校に合わずに「ほっとできる場」を求めている子どもたちが実はたくさんいると感じています。より多くの子どもたち、保護者の皆さんに「多様な学びプロジェクト」の活動を知っていただきたいと思っています。(酒井由紀子)

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