ミュトスの雨<神へ捧げるソネット>#80
佐佐木 政治
同じ感度のアンテナを持ち 共鳴する言葉の中で
他者であり得る 無数の未知なる肉体
神よ 言葉は あなたの意見のまま 地上に繁茂している
ぼくらの肉体の林を 霧のように埋め尽くす 雨のように濡らす
あゝ その土地土池の草の陰に実を結ぶ出生の秘密
その土地土地から できるだけ彼方にむけて ひとは声を発する
一つの固有名詞が叫ぶものを ぼくらは見逃さない
あの消滅寸前の山奥の村落が受け持つ 一つの地名
辺境の腰に結ばれる異却と いつでも用意されている存在
つつましやかなあの峠の一本の桜よ
神よ そこから発すべき世界へのメッセージは久しく忘れられている
手も切れそうな新しい札束が 価値の代表として用意されているというのに
千切れる雲をみる峠の桜よ 神よ あなたが五十億年の歳月をかけて
作り出した楽園を じかに発せられる声と共に 夜の月が照らす
>>>>>>>いつもフォトギャラリーから素敵な写真を使用させていただいています。感謝してます。ありがとうございます。<<<<<<
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亡父の詩集を改めて本にしてあげたいと思って色々やっています。楽しみながら、でも、私の活動が誰かの役に立つものでありたいと願って日々、奮闘しています。