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ルールではなく議論の補助線をつくる、『Mercari Culture Doc』の制作プロセス

みなさん、こんにちは。メルカリで人や組織、採用にまつわるPR/ブランディングを担当しているsaimaruと申します。2018年7月にメルカリへ編集者(インハウスエディター)として入社した4年生です。

今回はメルカリの「共通の価値観」についてまとめた社内向けドキュメント「Mercari Culture Doc(以下、Culture Doc)」について、書きたいと思います。

2021年9月13日に発表して以降、社外から想定以上の反響をいただき、正直チームはかなり驚いております……。メルカリのメンバーにも改めて読んでもらい、SNSでもそれぞれの視点でカルチャーを言葉にしていて、染みじみメルカリ組織の強さを感じました。

このnoteでは、実際のCulture Docの中身やプレスリリースではお伝えできなかった、制作プロセスやアップデート・社外公開の背景について書きたいと思います。「うちの会社でも真似したい」と言ってくださる方も多かったので、そんな方のお役に少しでも立てれば幸いです。ただ、もっと効率的な方法はあると思うので、あくまでn=1の事例としてお受け止めください。

また、このnoteですが、書き終わった頃には約1万字に達していました。自分でも長いと感じるので(編集者失格)、目次から関心領域を辿って読み進めていただけると良いかもしれません。予め、ご容赦ください。

はじめに

このCulture Docは、めちゃくちゃ多くの人の手によってできています。遡れば2019年7月。当時、執行役員VP of People & Cultureだったkaracchi(唐澤俊輔さん)やCulture & Communicationsのマネージャーだったmattildaさんたちが中心となってカルチャーの言語化を試み、社内向けに発表しました。その後、Shujiさん(経営戦略室長 SVP of Strategy)tatsuoさん(CHRO)人事企画のmochizukiさん、uttiさん、Hanさん、人事チームのマネージャーの皆さん、などなど……ここでは書ききれないほどのさまざまな方の手によって見直しが図られました。そのなかで私は編集者として主に全体のディレクションを担当。プロジェクトをリードしたり、編集したり、インタビューしたり、ライティングもやる、いわゆる何でも屋です。

特定の誰かによるものではなく、いろいろな人の想いが込められ、完成したドキュメントです。内容に入る前に、まずはこれまで関わってくださった全ての方々にリスペクトと感謝を。

Culture Docのこれまで

改めて、このCulture Docとは何か。本文にはこう書かれています。

Culture Docとは「メルカリ(会社)とメンバー(社員)が大事にする、共通の価値観」をまとめた社内向けのドキュメントです。メルカリグループが掲げるミッションを達成するためには、より多様なバックグラウンドを持つメンバーを受け入れ、認め合い、全員が活躍できる環境が不可欠です。

多様性が求められれば求められるほど、メンバー同士を結びつけ、お互いがパフォーマンスを発揮するための「共通の価値観」を持つことが大切です。カルチャーは目に見えない無形資産であり、ここに強みを持つことで、他には真似できないメルカリ独自の競争力を高められ、お客さまや社会にとって必要不可欠なサービスへと成長でき、ひいてはミッションの達成につながると私たちは考えています。

メルカリは2018年頃から、インドをはじめとした海外のソフトウェアエンジニアを積極的に採用していました。それによって社内コミュニケーションが日本語と英語の併用になったり、現場レベルでも「異なるカルチャーを理解しよう」という機運が高まりはじめました。日本語独自のハイコンテクストなコミュニケーションから、バックグラウンドを問わないローコンテクストなコミュニケーションへと意識を変えていったのもこのタイミング。ちなみに2019年時点で、既に40カ国以上のメンバーがメルカリに集結していました。

また、2019年2月にはスマホ決済サービス「メルペイ」がリリースされ、新しいビジネスモデルも拡張。言語や国籍だけでなく、専門性やスキルも踏まえ多様性が増していきました。異なるバックグラウンドを持つメンバーがいること自体は素晴らしいことです。しかし、だからといって“メルカリらしさ”は失ってはいけない。組織的に大きな変化を迎えるタイミングだからこそ、暗黙知化されていたメルカリの企業文化を形式知に(つまり言語化)する必要があるのではないか。

このようにあらゆる文脈での多様性が高まってきたという背景があり、共通の価値観を整理するためにCulture Doc(Ver.1)がつくられました。これが2019年7月のことです。

ちなみに、社内向けのCulture DocはスライドではなくGoogle documentで運用しています。メルカリにはドキュメントで意見を集約し、全員で同期しながらブラッシュアップしていくカルチャーがあり、ネーミングもそのままシンプルにCulture Doc(document)としました。

Culture Docの社外公開

Culture Docについては、過去にいろいろなメディアで取り上げていただきましたが、あくまで社内向けドキュメントだったため社外公開はしていませんでした。

今回、社外公開をした理由は2つあります。

一つはこれからメルカリで一緒に働く仲間に「メルカリの価値観」について事前に知っていただくことで、少しでも会社の理解度を高めていただきたいと思ったからです。しばしば、(スキルフィットと対比する表現として)「カルチャーフィット」という言葉を耳にしますが、それは実際の採用プロセスのなかで知ることもできますし、そもそもそれ以前から知ることができるかもしれない。本文にも記載がありますが、カルチャーは「他には真似できないメルカリ独自の競争力」にもつながるため、特に採用候補者のみなさんには読んでいただき、メルカリを少しでも知ってもらえたら嬉しく思っています。

そしてもう一つは、多様な働き方を促進するなかで、よりカルチャー(社員と会社を結びつける共通の価値観)が必要になると考えたからです。2021年9月1日に発表したメルカリの新たな働き方制度「メルカリ・ニューノーマル・ワークスタイル “YOUR CHOICE”」の策定によって、リモート/出社の有無や働く場所など、個人と組織のパフォーマンスおよびバリュー発揮がもっとも高まるワークスタイルを、社員それぞれが選択することが可能となりました。プレスリリースの中にはこんな一文が添えられています。

新しい働き方を通じた、世界的に競争力のある組織づくりを目指し、社員同士が持つ共通の価値観である、組織のカルチャーづくりにもより一層取り組んでまいります。

働き方を自ら意思決定できるということは自由でありながらも責任が問われます。だからこそ、企業や組織のカルチャー醸成はより重要になるはず。採用候補者だけでなく、メルカリに関わる全てのステークホルダーの方々にもお伝えしたいと考え、発表することになりました。

Culture Docのプロセス

ここからはCulture Docのプロセスについて触れていきたいと思います。

2020年夏からアップデートに向けたプロジェクトがスタートしました。人事(CHROの達夫さん、採用担当、人事企画担当など)とブランディングがタスクフォース的にチームを形成。当時、カルチャーやCulture Docに課題と呼べるほどの大きなイシューはなかったものの、内容自体を構造化し、本質を失わないままに現状のメルカリへフィットさせる必要がありました。

そのアップデートの方法もトップダウンで決めるというよりも、まずはボトムから議論し、メルカリのカルチャーのピースを集めることからスタートしました。完成するまでに実施したことは、大まかに以下の通りです。STEP1からSTEP12まで、約1年間のタイムスパンでじっくり議論して進めていきました。

STEP1: Culture Doc公開までのプランニングの策定

STEP2: オープンドア(社内の意見交換の場)の実施 ※

STEP3: 過去のMVP受賞者およびManagerにインタビューを実施 ※

STEP4: カルチャーの言語化

STEP5: 再びオープンドアの実施(Draftの完成後)※

STEP6: 経営に提案

STEP7: 経営陣に個別で相談 ※

STEP8 再び、経営に提案(ここで実質、最終合意)

STEP9: 採用サイトを改修・完成

STEP10: Culture Docの映像の制作・完成

STEP11: 承認後、プレス・リリースを作成

STEP12: プレスリリースを打つ

特に印象的だったところ(STEP: 2.3.5.7)を、※でハイライトしました。そこについては、以下で詳細に触れていきます。

STEP2: オープンドア(社内の意見交換の場)の実施

先述した通り、まずはメルカリのカルチャーのピースを拾い集めることからスタートしました。まずは全体で4回ほどオープンドアを開催(半分は日本語で、もう半分は英語で開催)。現状のCulture Docを参加者全員で読み合わせ、違和感と不足している箇所に関する意見を集めました。Google documentに参加者全員でコメントをつけていき、上から一つひとつ触れながら、意見を聞いていきます。毎回のように、オープンドアが終わる頃にはコメントによってドキュメントが真っ赤になります。

STEP3: 過去のMVP受賞者およびマネージャーにインタビューの実施

メルカリにはもっともValueを出したメンバーに贈られるMVP賞という名誉ある賞があるのですが、歴代の受賞者の方々とマネージャーを中心に20名ほどへインタビューを実施しました。「メルカリの組織の魅力や現状の課題について伺います」とだけ書き、あとは以下のような切り口で1人1時間、みっちりインタビューしていきます。

1. 業務内容について
- 最初に、あなたの業務内容について教えてください
- そこにはどんなやりがいや挑戦がありますか
- 日々、大変なことや辛いこと、思うようにはいかないことも多いと思いますが、なぜ踏ん張れると思いますか

2.ミッションについて
- メルカリ(or メルペイ)のミッションについてどのように捉えているか自由にお答えてください
- メルカリ(or メルペイ)のミッションを達成するために何が必要だと思いますか

3. バリューについて
- ミッションを達成するための行動指針として、メルカリには3つのバリュー(Go Bold, All for One, Be a Pro)がありますが、あなたが考えるそれぞれの意味(解釈)を教えてください
- 業務をするうえで「この方の行動はメルカリらしい行動だ!」ともっとも感じたシーンはありますか。それは誰のどんな行動でしょうか。具体的に教えてください
 - 上記の理想の姿に、他のメンバーが近づくためには何が必要だと思いますか。また、もし今あなたが実践しているアクションがあれば教えてください

4. 野望や目標について
 - 最後にメルカリにおけるあなたの野望や目標を教えてください

インタビュー後は、印象的だった箇所を項目ごとに、スプレットシートに(ひたすら)文字起こし。重要なフレーズをハイライトし、言語化のエッセンスにしていきます。これが地味に大変でしたが、一人ひとりにじっくりインタビューすることで、カルチャーだけでなく会社や事業の課題や挑戦について深く知ることができ、よりメタな視点を得ることができたと思います。

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一部のインタビューの模様は、ダイジェスト映像としてまとめました。こちらは本文のDocにもプレスリリースにも反映されています。

STEP5: (Draftの完成後)再びオープンドアの実施

オープンドアとインタビューを終えたら、Draftを引っさげ、再びのオープンドアへ。こちらも日英で4回実施。前回のオープンドアから得たヒントとインタビューをもとにブラッシュアップされたDraftを読み合わせ、参加者全員から意見をもらいます。

STEP7: 経営陣に個別で相談

メルカリグループと言えど、事業部ごとにカンパニーが分かれているため、それぞれの経営陣にヒアリングし、それぞれにフィードバックを求めました。グループCEOのshintaroさん、JP版メルカリCEOのtamoさん、メルペイCEOのnaokiさん、そしてUS版メルカリCEOのJohnさん。内容のみならず、社外へのデリバリーの方法やメッセージングなども踏まえ、多角的にフィードバックをもらい、よりブラッシュアップしていきました。メルカリの経営陣はとても協力的なので、空いている時間であればスケジュールを抑えることができます。個別で相談できる時間は本当にありがたかったです。

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ところどころは割愛しましたが、以上のようなプロセスを踏み、アップデートの箇所をしっかりと見極め、言語化を進めていきました。

Culture Docのアップデート

オープンドアやインタビューなどを踏まえると、述べ800人以上の方々と約1年間にわたり議論してきました。その結果、アップデートの箇所として決定したのは以下に点に絞られました。

1. Foundationsを新たに追加し、Mission/Values/Foundationを含めてCultureと定義する

今回もっとも苦戦したのが、この構造化です。「カルチャーとは何なのか?」「MissionやValueはカルチャーと何が違うのか?」など、私たちのチームでさえも、言葉にできていない状況でした。他のメンバーや経営陣からもそのような違和感を共有され、改めて位置づけや関係性を整理しました。

Culture
メルカリとメンバーが大事にする共通の価値観

Mission
会社の使命


Values
個人の行動指針

Foundations
組織の土壌となる価値観

これまでメルカリのカルチャーといえば「Trust & Openness」(信頼を前提にしたオープンなカルチャー)でしたが、カルチャーとはMissionやValueを含む全体的な概念ではないか。そう考えると「Trust & Openness」とはValueを後押しするための組織が持つ土壌と言えるのではないか……。

意識的であることによって発揮されるValueに対し、Foundationsは特定の一人ではなく組織全体で育み、大切にする空気のようなもの。組織としての共通認識を持つことで、メンバー同士のコミュニケーションや意思決定が円滑になるはず。

そのような議論を経て、今回新たに「Foundations」という概念を設け、以下のような関係性に整理しました。


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実はFoundationsのなかにも「Trust & Openness」に加え、新しい言葉が3つ入っています。「Sustainability」「Diversity & Inclusion」そして「Well-being for Performance」です。

一見、耳馴染みのない言葉が並ばれているように思われるかもしれませんが、Sustainabilityは2018年のIPO後、会社として特に力を入れていた分野であり、先日発表したSustainability Reportにもあるように、メルカリは「プラネットポジティブ」という言葉を掲げ活動しています。

Diversity & Inclusionについても、2019年にメルカリで初となる「D&i statement」を発表したり、2021年1月にはグループCEOのshintaroさんをチアパーソンとした社内委員会「D&I Council」を設立するなど、直近のメルカリの最たるフォーカスポイントと言えると思います。

またWell-being for Performanceについても同様、2016年から開始したメルカリの福利厚生制度である「merci box」をはじめ、心身の健康におけるサポートには力を注いできました。今年発表した、卵子凍結や0歳児保育支援制度もその一環とも言えます。

これらも3つも含めて、メルカリのカルチャーとして、これからも大切にしていきたい。そんな想いで今回、Foundationsとして追加しています。

ちなみに、Foundationsは他にも色々な候補があり、最後まで論点として残ったのは「All for products」「All for customer」といった内容のものでした。メルカリの特徴は全ての事業がメルカリというワンプロダクトに集約されていること。言わずもがな、全てのメンバーがこのプロダクトを成長させるために仕事してます。ただし、プロダクトはあくまで手段であり、その先の達成したい世界観(=ミッションの達成)の方が重要ではないか?などの議論を経て、あえてプロダクトに関する文言は入れないことに決めました。

また「All for customers」についても、お客さまを大切にすることは当然変わらないものの、全てを迎合すると、世の中の期待を超えるサービスはうまれないかもしれないので、あえて入れる必要はないかもしれないと考え、お客さまに関する文言も入れないことに決めました。

2. 「How」の内容は全て削除し、「Why」「What」を明記する

今回のアップデートでは、無意識になんとなく大切だと思っている内容も、しっかりと言及することを意識しています。なぜ、MissionやValues、Foundationsが大切なのか。それをしっかり伝えるため、「Shin’s Message」「Why do we need the Values?」そして「Why do we need the Foundations?」を追加しました。

Missionについては、あえてValuesやFoundationsと同じような解説はせず、メルカリの創業の原点を通じて解説。グループCEOのShintaroさんにメルカリの創業背景を伝えてもらいました。

また、ValuesとFoundationsについては、以下のように解説しています。決してルールのようにしたくなかったので、余白を残しつつ、あえて曖昧さを残し、議論が生まれるような補助線となる文章を心がけました。

Why do we need the Values?
メルカリはミッションを達成するための行動指針として、創業1年目に3つのバリューを策定しました。メンバーの採用基準から、人事評価、日々の業務、そして経営判断まで、メルカリに関わる全ての意思決定はこの3つのバリューをもとに行われています。 個人や組織に共通のバリューがあることにより、意思決定を加速させ、全員が同じ方向に歩むことができています。

また、あえて言葉の定義に余白を残し、シンプルな表現に留めていることにも理由があります。それは、メンバーの一人ひとりがバリューを自分なりに解釈し、自らの意思や判断を取り入れながら行動してほしいためです。「今の事業にとってのGo Boldとは何だろう?」「All for Oneなチームとはどんなチームだろう?」「Be a Proであるために自分には何が必要だろう?」。そんな問いを一人ひとりが持ち続け、自分の言葉にするだけでなく、他のメンバーと積極的に共有し、議論を繰り返し行うことで、メルカリは強い組織となり、ビジネスの成長を加速することができると考えています。
Why do we need the Foundations?
メルカリにはミッションを達成するための行動指針として3つのバリューがありますが、個人がバリューを最大限発揮するためには、組織の土壌となる価値観が大切です。意識的であることによって発揮されるバリューに対し、ファンデーションは特定の一人ではなく組織全体で育み、大切にする空気のようなもの。組織としての共通認識を持つことで、メンバー同士のコミュニケーションや意思決定が円滑になると考えています。Sustainability、Diversity & Inclusion、Trust & Openness、Well-being for Performance。これらの考え方が組織に空気として流れることで、メルカリは強い組織となり、ビジネスの成長を加速することができると考えています。

特に、「Why do we need the Values?」の一文に「〜自分の言葉にするだけでなく、他のメンバーと積極的に共有し、議論を繰り返し行うことで、メルカリは強い組織となり、ビジネスの成長を加速することができると考えています。」とありますが、これはメルカリがValueをつくった2014年から大事にしている解釈の方法です。

図らずも、Netflixの共同創業者で『NO RULES』の著者であるReed Hastingsは、シリコンバレー史上、最重要な資料と呼ばれている『Culture Deck』のことについて以下のように話しています。

文化の基準を守るためというより、共有して議論する為です。書いて求めるということは。それで議論できるようになる、ということです。

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詳しくはこちらの動画をご覧ください。「コントロール(規則)ではなくコンテキスト(条件)」を伝えることを最優先としているNetflixは、まるで社員をプロアスリートのように接します。ただし「カルチャーとは守るものではなく、議論を通して育まれるもの」という考え方は(まったくスケールが異なるNetflixとメルカリでも)どこか似ているようにも思えました。

3. Guidelines for people and organizationsの大幅アップデート

今回、Guidelines for people and organizations(人と組織のガイドライン)も大胆に公開をしました。採用、オンボーディング、評価報酬、人材の成長、働き方・福利厚生、退職という、Employee Experience(従業員体験)の観点から整理しています。これについては、主に人事組織のマネージャーと文言の一つひとつを詰めていき、各項目に沿ってObjectとPolicyを言語化していきました。

メルカリのカルチャーのコアとなる、Mission、Values、Foundationsが、実際のHRガイドラインに反映されていることが大切なので、今回同時にアップデートを図ることにしました。

社外公開して、実はここが一番取り上げられていたように思います。特に、「Resignation(退職)」の箇所。元メルカリの髙橋京輔さんが以下のような投稿をしたところ、多くの方からリアクションされ、話題となりました。

メルカリを退職したかどうかに線を引くのではなく、退職したとしても、一緒にメルカリのカルチャーをつくっていく同志なんだなと、めちゃくちゃ嬉しくなりました。まさに「インターネット村」の解釈と似ているのかもしれません。

まとめ(られるか)

ここまで主にCulture Docの制作プロセスとアップデートの内容について触れてきました。既に9,000字を超えてますが、最後にこの1年間で気づいたことを書いて終わりにしようと思います。

それは「一人ではなく、仲間がいることでカルチャーは育まれる」ということです。「いやいや、ここまで長く書いといて、めちゃくちゃ当たり前なこと書くな、オマエ!」と思われるかもしれませんが(笑)、これが今回のプロジェクトを通じてて得た、最大の資産でした。

例えば……黙々と机に向かい言語化するよりも、仲間との対話のなかで言葉は生まれる。メンバー、マネージャー、経営など、あらゆるレイヤーを問わず、何度も何度も議論を重ね、納得感を得ることによってコトが前に進む。カルチャーは特定の個人やチームが担うものではなく、全員で担うべきものである……などなど。

これらを集約すると「一人ではなく、仲間がいることでカルチャーは育まれる」という言葉に尽きるのではないかなと思います。Culture Docはドキュメントでありながら、終わりなきプロジェクトです。

Each of us helps to create Mercari
by nurturing the growth of this culture.

一人ひとりがメルカリを創るというオーナーシップを持つことで、このカルチャーを育んでいく。Culture Docの末尾に書かれた、このコピーを忘れることなく、完成でも完全でもないカルチャーに、これからも向き合っていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

追伸(採用情報)

現在、メルカリグループは積極採用中です!私と同じチームで働いてくれるメンバーも募集中ですので、気兼ねなくご連絡ください。

また、Culture Docのコアメンバーとして一緒に突っ走ってくれた、mochizukiさん、uttiさんの #meety も貼っておきます。つまりは、全員採用強化中ということです(笑)


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Ryo SAIMARU
Editor / Mercari, Inc.(People Branding / Corporate Communications) ← CINRA, Inc. ← Smiles Co., Ltd. ← The Master of Public Policy