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谷野光一
2016年5月10日 14:33
がぶりと噛みついたそれは、歯ごたえは無いのに、しゅわり、と、まるで炭酸が弾けるような音が、彼女の耳に甘く響く。舌に響くは、桃に似たとろける甘さ。炭酸のような刺激が、舌をもてあそぶように跳ねては消える。恍惚とした表情を浮かべる少女は、残りの光球をぎゅう、と抱きしめた。「捕まえた。おいしい、おいしい、私だけの、ネオン。美味しく食べてあげるから」 どこにも、いっちゃだぁめ。 熱
2016年5月8日 15:31
『あの、ぴんくのひかり?』「そう、きっと綿あめみたいにふわっとした口当たりで、けれどはじけるキャンディーのように目が覚めるような刺激のあるピーチの味だわ」 つらつらと自論を展開する彗華に、イリーゾははいはい、といつものように軽く流す。『じゃあ、すいか。もっとよって』「ええ」 座っていた看板から、ぴょん、と一跳ね。猫の身体能力を存分に生かしたそれは、体を一瞬で人込みの上に運ぶ。
2016年2月22日 22:55
星峰彗華、それが私の名前。けれど私は星よりネオンを愛した。「すいか」舌っ足らずな声。ついと頭上を見ると、小さい、虹色の光。「イリーゾ」 くるくる、と色を変えながら頭上の光、イリーゾは目の前に降りてきた。「あそぼ」「ちょっと待って。もう少しだけ、この景色を見せて」 ビルの安っぽい手すりに持たれる、私の眼前に広がるのは、 赤青黄色緑白紫ショッキングピンクウルトラマリンブ