ボードゲーム制作プロジェクトレポート#8:試作期編その3
福岡のアフタースクールび場で行っているボードゲーム制作プロジェクトのレポート、試作期編の第3回です。前回の様子については、コチラのnoteをご覧ください。
今回は、前回テストプレイ用のモックを制作した子どもたちにむけて、前半に「テストプレイ」に関する講義を行いました。
後半は、子どもたちそれぞれの進行度に応じて、自分たちのペースでボードゲーム制作を進めました。いよいよ佳境ですね!
1、テストプレイに関するレッスン
ボードゲーム制作プロジェクトに参加している子どものうち何人かは、これまでの過程を経て、いよいよ『テストプレイ』を行える段階まで進んで来れています。
『テストプレイ』をするにあたり、そもそも「テスト」とは何のためにするのか?テストはどういうふうにするのが良いのか?誰にとってのテストなのか?などなど、いろいろなことを考えまして、ボードゲームのテストプレイに関して考えをまとめてみました。
すでにボードゲーム制作におけるテストプレイに関してまとめているnoteを参考にしましたので、ここに引用させてもらいます。
ここでは、今回のワークショップで子どもたち向けに作った資料から要点となる部分について説明をします。
これまで本プロジェクトでは、ボードゲームデザインをプロセスに沿って進めてきました。(その様子は、試作期①のnoteにて紹介しています)もちろん、「ボードゲームの作り方」といったとき、それは様々あるのですが、このプロセスにのっとって、子どもたちは着々とボードゲームのデザインを進めてきています。
上のスライドで子どもたちに伝えたかったのは、自分のゲーム制作はプロセスのどの段階にいるかを意識してもらうということです。そして、その段階によってテストプレイの目的や意味が変わるよ、ということです。
それでは、どんな目的や意味かというと大きく2つあると考えています。
1つは、「仮説検証」です。自分が生み出したゲームは、少なくとも制作者は「こういうところが面白い」と思って作っていると思います。果たしてそれが本当にそうなのか確かめる(検証)というのが、テストプレイの大きな目的の1つになります。仮説があっていたか、あっていなかったかを判断して、その結果によって、ゲームデザインのどこをどう変えるかというアイデアを得ることになります。
もう1つは、「探索・発見」です。制作してみたゲームは、まだこの世になかったものです。そのため、プレイした人は全く想定していなかった新しい体験をするかもしれません。それを「発見」するためという目的でテストプレイを行うことがあります。そのほかにも、作ったゲームの意外な面白さを「探索」するなどの目的でも行います。
ここに示した大きく2つの目的について、100対0というわけではなくて、ボードゲームデザインプロセスのどこの段階で実施するかによって、割合を変えましょう!というのがポイントです。
子どもたちにとってみれば、かなり難しい内容になったと思いますが、共にファシリテーターをしている山里さんが前職で経験した製品開発などの具体例を話してくださり、テストプレイに関してその重要性や目的に実感を伴ってくれたかなと思います。
2、いざテストプレイ!
講義の中でテストプレイの時の大切なことを話した上で、実際に子どもたちにテストプレイをしてもらいました。テストプレイをしてもらう前に、以下のようなシートに記入してもらいました。
1つ目の項目は、上で強調して書いてきた「目的」に関してです。文章化してもらうことで、テストプレイの目的をしっかり意識して取り組んでもらうことを目指します。
それから下の欄には、具体的にテストプレイで判断の基準となるチェックリストを書いていきます。なかなか、テストプレイ中のプレイヤーのどういう行動がゲームデザインのどの部分と直結しているかは判断がし難いと思いますが、チェック項目を意識するかしないかでテストプレイの正否がずいぶん異なると思います(思い知っています・・・)。
まずは、上記2つの項目を書くことに時間をしっかり使ってもらいました。
そもそも今回のテストプレイは、ボードゲームデザインにおける「ミニマムサイクル」「プレイヤー目標の設定」がうまくいき、ゲームとして成立するかどうかを確認することが主目的だと思います。その辺りを、「好奇心を駆り立てる」「みんなと自分の作ったゲームをできる(多分、成立するという意味かな?)」と設定できています。また、下のチェック項目も子どもなりにコンセプトに照らして書けていました。
さてさて、どうだったかな?
実際のテストプレイの様子はというと、実は見れていません。。。今回ほど実際に現場にいたかったと思うことはありませんでした。僕自身は、テストプレイに参加できていませんが、山里さんによればしっかりゲームとして成立していたことが確認できたそうです。
ちなみに先ほどのチェックシートの2枚目は、テストプレイを終えたのちの「分析・評価・判断」を書く部分なのですが、「意見」と「感想」の切り分けができていたり、有用なアイデアをもらえたテストプレイになったことが窺えました。
今回は、進行度の違いからテストプレイヤーとして山里さんと1対1になってしまいましたが、是非ともたくさんの人にプレイしてもらってアイデアを洗練させていって欲しいなと思います。
テスト(プレイ)は終わったあとが大事ですからね!
3、プロジェクト全体の進捗に関して
今回のレポートではここまで書けていませんが、「ミニマムサイクル」「プレイヤー目標の設定」というゲームの骨子になる部分を考えている子どもたちも、講師と相談しながら着々と考えを深めています。
全体的な傾向として、「こうしたい!」というイメージはざっくりと持ちつつも、それをプレイヤーの行動、ゲーム内のアクションというところの具体化に苦労している子どもが多い印象です。
何とか全員があと2回のうちにテストプレイ→改善というアクションに進めそうでホッとしています。次回こそ、本当に子どもたちが没頭して作業に取り組む時間になると思います。
また、進捗を報告したいと思いますので、どうぞまたご覧ください!
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