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サイコロ塾レッスンレポート:ゲーム制作編①コンセプトメイキング

こんにちは!
2021年の10月からボードゲームの仕組みについて学ぶ分析編を3ヶ月にわたって行ってきましたが、2022年に入りいよいよゲームの制作編に入っていきます。

まず初めにすることは「コンセプトメイキング」です。昨年度は、初年度ということで手探りでゲーム制作編を進めてきたのですが、少しずつサイコロ塾なりの年間を通した「ゲーム制作編」の進め方が見えてきたかなと思います(とはいえ6回でボードゲームを作っていくので、この時点ではうまく着陸できるかどうかわからないのでドキドキしてます)。
昨年度の進め方は、「ボードゲーム制作」の1つの方法論として、今後もどこかで実施していこうと思っています。よかったら昨年度の取り組みについてもどうぞご覧ください!

それでは1月に行った「コンセプトメイキング」のレッスンの様子をご覧ください!

1、コンセプトってなんだ?

実は「コンセプトメイキング」の話については、別のところでもしているので2回目になるのですが、こちらの子どもたちはボードゲームの仕組み(メカニクス)をプレイしながら体感してもらうことを中心に行ってきたので、「コンセプト」の定義については「?」が大きかったと思います。

コンセプトに関する説明

といっても、「ゲーム内の目的」(図の左側)はこれまでのゲームの事例を引き合いに出しながらよく理解していたので、なんとなくではありますが「ゲーム外の目的」=コンセプトはそれとは違うのだということは理解したようでした。

学研から出版されているボードゲーム

また、今回も学研様に完成したボードゲームをプレゼンしにいくことが決まっているため、学研が作成し出版しているボードゲームに関して統一されたコンセプト(「学びにつながる」)を例に出したことで、「ああ、そういうことね」と思ってくれたようです。

2、「面白いゲーム」の特徴をブレスト!

さて、2回にわたって子どもたちとコンセプト作りの活動を行いました。その1つ目が「拡散」のフェーズにあたるブレインストーミングです。

この回では、子どもたちが普段接しているゲーム、デジタル・アナログ問わず面白いゲームにどんな特徴があるかを自由に発想していってもらいました。

ブレインストーミングの基本的ルール

「ゲームを作る」フェーズは、僕としてはとても楽しいことなのですが、「テストプレイ」を除くと、どうしてもボードゲームそのものをプレイすることは無くなってしまうので、できるだけ子どもたちにとって「楽しい」活動であるようにしたいと思っています。そこで、今回はちょっとした目標、「参加者で合計いくつのアイデアを出そう!」を設定してブレインストーミングにチャレンジしました。
どうしても意見を出したりする場面で、「正解」や「評価」を意識してしまうと萎縮して意見が出にくくなってしまいますが、今回のブレインストーミングでは先に挙げた4原則を示したこともあって、荒唐無稽なアイデアも時にはありながら、自由闊達に意見が飛び出していました。

ブレインストーミングの様子①
ブレインストーミングの様子②

自分たちが好きな、面白いと思うゲームについて思い出して、言語化することは子どもたちにとっては、取り組みやすかったようでした。「マインクラフト」や「フォートナイト」「マリオカート」などデジタルゲームを多く思い浮かべていたようでしたが、「いろいろ選べる」「集める」「負けることもある」などゲームの面白さの本質を子どもたちがしっかりと捉えているんだなと感心しました。
結局5人で200を超えるアイデア、3人で80ものアイデアを子どもたちが発想してくれました。すごい!

3、マンダアラートを完成させよう!

1月2回目の活動は、ブレインストーミングで拡散させたアイデアをマンダラートというフレームに収束させていく活動です。
最終的なゴールは、「コンセプト」を作っていくことですが、その1つ前の段階として、下のようなマンダラートを埋めていく活動を子どもたちと行いました。

活動で用いたマンダラート

活動をしていく前の印象として、少し埋めていくことに苦戦をするのかなと思っていたのですが、初めてみるとマスに入りきらないくらいたくさんのアイデアを子どもたちが出してくれました。前の段階で「拡散」の体験をしていたこともあるのかもしれません。途中で僕の方が「例えば…」と口を挟もうものなら、「アイデアが出て来なくなるからやめて」と言われるほどでした笑

マンダラートを埋めていく様子

このマンダラートを埋めていく活動、もっというならその前の「面白いゲームの特徴を挙げるブレスト」は全て連動していて、この次の具体的なコンセプト作りにつながっています。

4、コンセプトを作ろう!

実は、一番初めに子どもたちに2回の活動の最終的な目標地点を示していました。それは以下のようなものです。

コンセプトメイキングの達成目標

これまでのブレストやマンダラートは全てここに繋がります。正直なところ、一般的な企画において「コンセプト」を作るためにはもっともっと綿密な調査などが必要になるし、それを子どもたちに作ってもらうのはすごく苦戦するのではないかと思っていたのですが、意外とこのプロセスはすんなりと進みました。

1つ目のグループでは、最初に「誰に」というところを考えることからしてみました。
「小中学生」「スポーツ好き」「受験生」「社会に出る前の人」・・・
先にマンダラートに埋めていった体験があるのですんなりと候補が出てきます。
そして、ここからもう少しだけ深掘りする質問をします。
「じゃあ、スポーツ好きの人ってどんな特徴がある?」
これまた、子どもたちが自分たちなりに考えて、それぞれの対象について意見を出してくれます。
最終的に、一番詳細を描けて、自分たちとも繋がりが考えやすい(!)「受験生(中学校受験)」を対象にすることが決まりました。

次にその対象に対して「どんな」体験をしてもらうか?を考えてもらいます。すると今度も「絶対できる!という気持ちになる」「自分を認められた気持ちになる」など、なるほどなるほどと唸るような意見が出ました。

最終的にこちらのグループのコンセプトは、次のように決まりました。

「私たちの作るゲームは、受験生(中学受験)向けのゲームです。受験生は忙しかったり、疲れていたりします。そこで、ゲームを通して自信を持つことができるようにします!」

「受験生」という像が出てくるのがまず素晴らしいですし、ここの子どもたちならではだなと感心します。「ゲームを通して自信を持つ」をどう実装していくか気になるところですが、実際このコンセプトが実現できるボードゲームが作れたなら、きっと学研さんもうなってくれるはず!

ボードゲームで「どんな」体験をさせたい?

さて、もう1つのグループは「誰に」からではなく、「どんな」体験をするかというところからコンセプトづくりを進めていきました。
「どんな」体験に関しては、事前のマンダラートでいくつか面白いモノが出ていて、例えば、「スッキリする」や「やさしくなる」「元気になる」など実に子どもたちらしくって良いなあと感じていたのですが、この中から「チームワークが良くなる」「満足する」という2つに絞りこまれました。

すると、「誰に」について決まるのは本当にあっという間。「小学校低学年」と子どもたちの意見が一致して決まりました。サイコロ塾に参加しているある女児は、自分たちに対して「チームワークが良くない」と問題意識を持っていたのかもしれないです。自分たちを含むようなターゲットを設定したことはある意味で、面白いことだなと思いますし、ぜひ実現させてあげたいところです。

最終的なコンセプトは次の通りです。

「私たちの作るゲームは、小学校低学年の子ども向けのゲームです。この子どもたちは自分勝手でチームワークについてまだよく知りません。そこで、ゲームの中で協力してチームワークを育てる体験をします!このゲームをして満足して、協力することが楽しかったと思えるようにします!」

こちらのチームのコンセプトも素敵だと思いませんか?そしてなんとなくゲームの構造(協力ゲームかな?)が見えるような気がします。

2チームともすごく順調に「コンセプト」を決めることができたように思います。あとはこれをどう実現するか?ですね!踏ん張りどころはまだまだ続きます。

次回予告

今回なんとか子どもたちそれぞれのチームが作っていくゲームのコンセプトを決めることができました。

コンセプトはゲームづくりの核となります。ゲームデザインに迷いが出た際に翻ってみることで、自ずと正しい選択ができるようになるためのものだと思います。それが子どもたち自身の手によって完成したことは本当に素晴らしいですね!

次回からは、ゲーム内の目的をルールやゴールの設定などによって作っていくことになります。大体2回ほどでゲームの大枠を決めていくことになりますが、子どもたちと一緒にドキドキワクワクしながら進めていければと思います。

それでは次回のレポートもどうぞお楽しみに!

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