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サイコロ塾レッスンレポート:クルード編

サイコロ塾の12月のレッスンテーマは、「論理的思考」です。

まずは、子どもたちの耳慣れない言葉、「論理的思考」について、お話をするところからはじめ、そのあとで、実に70年もの歴史を持つ「クルード(CLUEDO)」をプレイして、レッスンを行いましたので、その様子をご報告します。

クルードの詳しいゲーム内容はコチラをご覧ください。

子どもたちにとって、クルードのプレイはどんな体験になったでしょうか?

それでは今回もレポート開始です!


1、「論理的思考」についてのお話

最近、「論理的思考」ってあちらこちらで耳にすること多いですよね?

なんと1年生の子どもも「聞いたことがある」ということでした。それだけ、世の中に浸透しているし、これから大切なことと理解されているのかなと思います。

一方でどんなこと?と尋ねると、答えに困ってしまう人も多いかも知れません。

今回は、子どもたちに「論理的思考」というのを、ゲームをプレイすることでなんとなく掴んでもらうことを目的に設定し、レッスンのはじめに次のように紹介しました。

「ものごと」を筋道を立てて考え、理由を持って説明すること

「筋道って何?」という子どもからの鋭いツッコミもありましたが、最初に捉えてもらう定義としてはこれくらいが良いかなと思います。

クルードnote用画像1

その後、「クルード」は、「論理的思考」を使って推理するゲームであることを子どもたちに紹介しました。クルードの背景(ストーリー)を話すと、子どもたちは興奮気味に目を輝かせていました!


2、クルードの準備をしてみよう!

前回から、子どもたち自身でルールが書かれた説明文を読んでもらい、ゲームの準備をしてもらうことにしています。今回も同じように子どもたちに準備をしてもらいました。

<ゲームの準備>のページが2ページに渡っていたため、前半が終わったら、きちんと準備できているかどうか確認をし、できていたらさらに後半の準備をという進め方をしました。

今回、この準備の部分について、子どもたちがしっかり読解できずに誤ってしまうことがありました。

クルードnote用画像2

上は実際に子どもたちに読んでもらった文章ですが、どのように理解して準備をすれば良いでしょうか。

前半は、数枚ずつある「どうぐカード」と「ようぎしゃカード」、「へやカード」を同じ種類ごとにそれぞれよく混ぜることを意味しています。さらに、後半は、それぞれ混ぜたカードの中から1枚ずつを抜き出して、封筒に入れるというのが正解です。

ところが、子どもたちは、「どうぐカード」「ようぎしゃカード」「へやカード」をすべて一緒くたにして混ぜてしまっていました。さらに、「1枚ずつとり」の部分については、「(各プレイヤーが)1枚ずつとり」と拡大解釈をしてしまい、誤った準備をしていました。

ルール記述の難しさを感じるとともに、「ルールを読んで自分たちで準備する」という活動の、学習面における有用性を感じる一幕でした。今回は、自分たちで正しい準備の状態にたどり着くことは叶いませんでしたが、今後も続けていって、いつか初見のゲームでもプレイできるようになっていければと思います。

いったん、誤っていた部分については訂正をしてなんとか準備完了できました。


3、クルードをプレイ!

さて、詳しいゲーム内容は冒頭にリンクを貼らせていただきましたが、今後の説明のため、大まかに概要を紹介します。

クルードでは、「容疑者」「道具」「犯行現場」という3つの要素があり、カードにはそれらの中の1つが描かれています。ゲーム開始時に、それぞれから1つずつ「今回の事件の真相」が選ばれることになります。これをゲームを進めることで推理し、特定することが、それぞれのプレイヤーの目標です。

では、どのように推理を進めるか?それは、子どもたちが各自で持つことになるカードをヒントに行います。ゲーム開始時に設定された3つについては、それらが描かれたカードを全員が確認できないように封筒に入れられます。すべてのカードはユニーク(ゲーム中に同じものが1枚も存在しない)であるため、子どもたちが持っているカード(に描かれている「容疑者」「道具」「犯行現場」)は、「今回の事件の真相」と無関係である、ということなのです。

そして、他のプレイヤーが持っている(かも知れない)カードを尋ねて、情報を整理し、絞り込んでいくことで、他のプレイヤーも、自分も持っていないカード=封筒に入れられているカードを特定する、という仕組みです。

ちょっと難しそうな感じがしますか?実際、子どもたちもルールを聞いた時点では「???」という表情だったのですが、デモンストレーションをやってみせると、なんとなく要領を得たようでした。結局自分の番ですることは、「容疑者」「道具」「犯行現場」を宣言して、他のプレイヤーに順番に持っているかどうかを聞いていくことだけなので、なんとなくプレイの形が成り立っていたようです。

クルードnote用画像3


4、クルードのプレイの様子

これは、僕が見ていたグループの様子ですが、子どもたちは特定の部屋に移動して「推理」をする(上であげた3つの要素を他のプレイヤーに尋ねる)ことに消極的でした。

どうやら、どのように「推理」をしていけば良いかわかっていないのかな?という感じが見て取れました。それでも、手元のメモの使い方(自分が持っているカードや見せてもらったカードは印をつける、印がついていないものが「今回の事件の真相」の候補)がわかってからは、少しずつ他のプレイヤーに尋ねることが増えていました。

とはいえ、子どもたちは「当てずっぽう」「行き当たりばったり」の推理をしていたようでした。お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、実はこのゲームは時間をかけて情報を集めることができれば、誰でもすべての情報を統合して、真相にたどり着く(持っていない、見ていないカードが残り3つになれば、それが事件の真相)ことができます。しかし、「論理的思考」を用いた推理をすることで、他のプレイヤーに先んじることもできるのです。

そのあたりを子どもたちにヒントとして説明をしていきます。


5、クルードのプレイに関するヒント

クルードで、他の子どもたちに先んじて推理を成功させるためのヒントとして子どもたちに2つのことを紹介しました。

ひとつは、「メモの取り方を工夫すること」です。

ゲーム中、自分の持っているカードについてメモをすることを子どもたちに伝え、また、誰かから見せてもらったカードもメモすることを伝えましたが、実はメモの活用の仕方はそれだけではありません。

ゲーム中はいつでもメモを取ることが許されているので、「自分が見せてもらったカードは誰から見せてもらったか?」や「誰が、誰に、何を見せてもらっているか?」、もっと基本的には、「自分はなんと聞いたのか?」までメモを取ることで様々な情報が得られます。これらの情報を論理的に組み合わせれば、自分の推理の番でなくとも「今回の事件の真相」の候補を絞り込むことができるのです。また、こうすることで、余計な情報を得てしまう(一度見せてもらったのに、もう一度同じカードを見せられる)ことも防ぐことができます。

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子どもたちに伝えたもうひとつのヒントは、「自分の持っているカードを活用して推理の宣言をすること」です。

具体例で説明をします。例えば、自分の手元に「容疑者カード」の「スカーレット」と「道具カード」の「ロープ」を持っていたとします。ゲームが進み、容疑者と道具については徐々に絞り込みができてきました。ところが、「犯行現場」の情報が集められていないという状況です。このような場合、今回の方法をうまく使うことができます。

自分が推理をする際に、あえて自分が持っている「スカーレット」と「ロープ」を宣言し、そこに知りたいと思っている情報である「犯行現場」のどれかを組み合わせて宣言します。例えば、「バスルーム」としてみます。

他のプレイヤーにカードの所持を聞いていくと、「スカーレット」「ロープ」は自分が持っているので、誰かに見せてもらえるとしたら必然的に「バスルーム」のカードになります。

もし誰かが持っていれば、「バスルーム」は今回の事件の真相とは無関係であることがわかりますし、もし誰からも見せてもらえなければ、まさに「バスルーム」こそが今回の事件の「犯行現場」であると特定できるのです!

この方法、何度かゲームをプレイしていると気づくことができる方法なのですが、初回ではさすがになかなか活用は難しいです(実際、自分もこの方法に気づくのに時間がかかりました・・・)。

さてさて、子どもたちは2つのヒントを活用して推理できたでしょうか?


6、その後のプレイの様子

具体例を用いながら、子どもたちに2つのヒントを授けましたが、その後のプレイはどう変化していたでしょうか。

実際には劇的に変化した!という感じではありませんでしたが、子どもたちのとったメモを見ると、子どもたちなりにメモの取り方を試行錯誤していた様子がうかがえます。

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これはあと数回やれば、子ども独自の最適化されたメモの取り方をマスターするのではないかな?と予感を感じさせるものでした。


一方、「推理」における尋ね方の工夫ですが、2年生の女の子がそれっぽいことをしているところがありました。レッスン終了後に、「あの時、消去法の方法使ったの?」と尋ねると、使ってみたことを教えてくれました。

今回のレッスンの中では、子どもたちがヒントを理解してすぐに使ってみる、ということは難しかったようですが、繰り返しのプレイの中で、より論理的で効率的な尋ね方ができていったかも知れません。


さて、ゲームの進捗はどうなったかと言うと、僕が見ていたグループでは、ある子どもが「スカーレット」「鉄パイプ」「ガレージ」と尋ねると、誰も見せるカードを持っていないということが発生しました。

宣言した子どもは「スカーレット」と「鉄パイプ」が今回の事件の真相であることをすでに突き止めていたので、あとは「犯行現場」と思って、当てずっぽうで聞いてみたら、ずばり「ガレージ」だった(誰も持っていない=真相)、ということが他の子どもたちにも知られることになってしまいました。

結局、そのあとの順番の子どもが3つを当て切って、ゲーム終了となりました。また、もう1つのグループもなんとか事件の真相にたどり着けたようでした。


7、プレイの感想と学んだこと

今回は、クルードをプレイすることを通して、「論理的思考」をなんとなく体験して、それを掴んでもらうことを目標としていました。

そこで、「どんなところで論理的思考を使ったと思うか?」をプレイ後に子どもたちに尋ねてみました。

・推理(宣言)をするときに使った

・メモをするときに使った

これらの感想を見るに、推理や情報を整理するときに、論理的思考というものが使われるものであるということは子どもたちに伝わったのかなと思います。

今回のクルードのプレイは、子どもたちが要領を掴むのになかなか苦労したのかなと思いますが、「事件の真相を突き止める」というシチュエーション自体の持つ面白さに、子どもたちが楽しくプレイしてくれたという印象です。

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次回予告

次回は、同じく「論理的思考」というテーマで、シークレットムーンをプレイします。

こちらのゲームは、「正体隠匿系」と言われる、自分の正体を隠しながら進めるチーム戦になっています。

うまく自分の情報を秘匿しながら、論理的に推理し、チームを勝たせる動きができるか?その辺りを子どもたちに体験してもらえればと思います。

次回のレポートもどうぞお楽しみに!

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