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サイコロ塾レッスンレポート:TEAM3(チームスリー)編

9月2回目にサイコロ塾で取り上げたボードゲームはTEAM3(チームスリー)です。


「見ザル」「聞かザル」「言わザル」のいわゆる「三猿」をモチーフにした協力コミュニケーションゲームです。


このゲームを使って、レッスンを行った様子をレポートします。


1、チームスリーのルールを知ろう!

チームスリーは、3人1組になってプレイします。

3人で協力して、設計図カードに描かれた通りに、建築資材(ブロック)を積み上げたり、組み合わせたりして、完成させるのが目標です。


そして、なんといってもポイントは、プレイに参加する3人がそれぞれ、役割を持って、独自のコミュニケーションを取らなければならないことです。

設計士

設計士は、言わザル、喋ってはいけません。

唯一、お題となる設計図カードを見ることができますが、その内容を伝えるためには、身振り・手振りなどのジェスチャーを用いなければなりません。

現場監督

現場監督は、聞かザル、身振り・手振りでのメッセージしか受け取れません。

そして、唯一喋ることができます。

言語を使ったコミュニケーションで、指示を出します。

建築士

建築士は、見ザル、設計図カードの内容はもちろん、建築資材(ブロック)も見ることができません。

設計士と現場監督が繋いできたメッセージを受け取って、手探りでブロックを探し、建物の完成を目指します。


これら3つの役割について、それぞれ子どもたちに読んでもらった上で、ゲームの具体的な進め方を区切りながら一緒に読んでいきました。

ルール読みについては、今しばらくはこのスタイルで進めていく予定です。

詳しいゲームの進め方についてはコチラをご参照ください。

子どもたちは、目の前に現れたブロックをいち早く使ってみたい気持ちで、たくさん触れていました。

2、3年生の子どもについてはルールの理解も十分できているといった様子した。

チームスリー2


2、チームスリーをプレイ!

ルール読みが終わったら、役割を決めて1回目のプレイを行いました。

すると、さっそく問題に直面しました。

「設計士」の役割になった子どもがTの字型のブロックを置くことを伝えようとするのですが、それをジェスチャーでどうやって伝えればいいか苦戦していました。

なんとか両手を使って、Tの字型のブロックを使うことは伝わったものの、今度はそれを正しい向きに置いてもらうことを伝えなくてはいけない。

今回の場合は、ちょうど「凸」の字のようにブロックを置かなければならなかったのですが、建築士がT字ブロックを取ったはいいものの、それをどうジェスチャーで伝えれば良いか困ってしまいました。

これは、表現をする側(=設計士)とそれを見て、理解する側(=現場監督)に共通の認識、つまりお互いが分かり合える表現があれば解決しそうですが、ここではまだそれがない状態でした。

1回目ですので、少し講師も含めた周りが、直接ブロックを教えてあげるなどのサポートをして、なんとかプレイを進行し、完成一歩手前まで作り上げました。

チームスリー1

が、このままでは、プレイ自体がすごく困難な様子でした。

というわけで、1回目のプレイのあとすぐに作戦会議をすることにしました。


3、チームスリーの作戦会議

ゲームプレイをそうそうに切り上げて、「伝える側、受け取る側の共通表現を確認する」作戦会議を行いました。

これがまさにチームスリーで子どもたちに学んで欲しいことの一端でもあります。


まずは、「各ブロックをどう表現するか」について、子どもたちに具体的な形を示しながら、考えを出してもらいました。

チームスリー3

チームスリーに使われているブロックは5種類ありますが、そのどれもおおよそ呼び名が想像できる形になっています。

とはいえ、同じものを指していても、その呼び名が異なれば、違うものを特定してしまうという行き違いが起こってしまいます。

そこで、ここでは、まず子どもたちに呼び名を考えてもらった上で、どの呼び方をするかをみんなで決めました


チームスリー4

呼び方が決まったら、今度はそれをジェスチャーでどうやって伝えるかを実際に体を動かしながら決めていきました

ここでの目的は、「どのブロックかを特定する」ことに加えて、「ブロックをどの向きに置くか」も含まれていたので、ブロックをいろいろな向きで置いた場合のジェスチャーについても確認しました。


チームスリー5

最後に、現場監督が使う言葉の中で特に重要と思われるものについて、子どもたちと一緒に確認していきました。

これらの言葉は、「場所」や「位置」を表す言葉ですが、こうした具体的な指示が重要であることを子どもたちが感じ取ってもらえればと思います。


4、チームスリーに再挑戦!

さて、作戦会議を経て、いざ2回目に挑戦です。

今回のお題のポイントは、十字のブロックをバランスよく一番上に置くことでした。

チームスリー7

設計士が手全体を使って「かいだん」のブロックを表現して、それを現場監督が読み取って、建築士に伝えていました。

1回目とは様子が違って、「右下に」「左に回転」など、学んだことをさっそく使えていました

また、十字ブロックの場所を具体的な位置を示す際には、設計士が「かいだん」を手で作った後、それを崩して、先ほどの「かいだん」の残像の上に指で指示するといった、高度な伝え方にもチャレンジしていました。

そして完成したのが下の写真です。

チームスリー6

建築士役の子どものなんとも言えない表情がとても良いです!

絶妙なバランスで「十字」も置けて無事完成できました!


5、ゲームプレイを振り返って。

チームスリーをプレイした感想を子どもたちに聞いてみました。(今回は忘れずに)

目隠しをして組み立てるときに、形を手で触って理解することが難しかった

確かに。作戦会議の際に、目隠しをした状態で各ブロックを触って、特定してみるということをしてみても良かったかもしれないですね。


他の人の視点に立って言葉で伝えることが難しかった

これは、「自分から見た右」と「相手から見た右」が逆になってしまうことですね。

「相手から見た方向」を考えることは大人でも難しいですよね。不意に言われると、どっちだっけとなってしまいます。


組み立てる人のとき、見えないがために崩れるのではないかと心配になった

そうか、バランスゲームとしての要素もありますね。

特に建築士は「見えない」中でプレイするので、見えている時よりもっと慎重になって、ドキドキしたかもしれません。


6、終わりに

さて、チームスリーのプレイを通して学んで欲しかったことは、コミュニケーションの手段は複数あって、それぞれに特徴がある、ということでした。

そして、各手段で共通の認識を持つことで、それらのメッセージのやりとりがスムーズにいくことを体験してもらいたかったです。

子どもたちに、ゲームの中で行っていたコミュニケーション手段を上げてもらいました。

「身振り・手振り」→見る「話す」→聞く、そして「触れる」

この中で、遠隔のコミュニケーションで難しくなったものは何か?

そう問いかけると、子どもたちはとてもよくわかっていました。

もちろん、「触れる」コミュニケーションですね。

子どもたちは、ますます遠隔のコミュニケーションが主流の時代に生きていくことになりますので、使える手段でどうやって、相手に正確に伝え・受け取るコミュニケーションをしていけるかを考えることが大切だよ、と最後に伝えました。


次回は10月第2週にレッスンの予定です。

取り上げるゲームは「ヒトトイロ」(予定)。

十人十色の感じ方をゲームを通して体験、学びます。


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