サイコロ塾レッスンレポート:お気に入りのトランプゲームを見つけよう!編
こんにちは!
さて、いよいよサイコロ塾のレッスンの中で子どもたちオリジナルのボードゲームを作っていくわけですが、レッスンスケジュールの都合上、今回の実施を含めてあと4回である程度まで形にする必要があります。
そこで、サイコロ塾のレッスンでは、「何もないところから作る」ではなくて、既存のゲームを「改造」することで、新しいゲームを作ってみようという方法でチャレンジをしていきます。
「既存ゲームの改造」については、1月に「大富豪のルールを改造しよう!編」として、子どもたちに1度体験をしてもらいました。
「改造」することでプレイする感覚が変わることを体験してもらった上で、今度は自分たちが好きな=お気に入りのゲームを元に、それをやってみようというのがここからの展開です。
そこで、その出発点として、子どもたちにこれまで知らなかったトランプゲームをプレイしてもらい、お気に入りを見つけてもらうことを今回のレッスンの目標としました。
プレイ後には、どれが一番面白かったのか?なぜ?どういうところが?ということについて、ちょっとした分析もしてもらいました。なかなか面白い感想が出てきたのかなと思います。
それではレポートスタートです!
1、様々なトランプゲームをプレイしよう!
子どもたちに、今回も含めて4回でゲームを作るということを説明すると、「えー、むりー」「できなくない?」と不安の声がたくさん上がってきました。
不安はどこからきているかなと考えるに、これまで「ゲームを作った体験がないこと」からではないかと思います。未体験であるために、そこに確かな実感・記憶がなくて「無理」となってしまうのかなと。
でも、子どもたちは自分たちの遊びの中で簡単にルールを変えて遊ぶことがあります。それは、もう「ゲームを作る」段階の第一歩を体験していると思うので、あとはその体験の意味づけをきちんとしたり、他者からのフィードバックによって子どもたちの中で「新しいゲームを作った」という実感をもつが必要なのだと思います。
ここからの4回、講師側こそ自信や革新を持って子どもたちに「できるよ!」と伝えたり、その確かな感覚を持ってもらうお手伝いをしていき、3月の末には、「作ることに対する不安」が少しでも払拭され、あわよくば自信を持ってもらえるようになればと思います。
さて、本題のトランプゲームですが、まずは子どもたちに知っているゲームを挙げてもらったところ、ババ抜きやスピードなど、よく普及しているトランプゲームの名前が出てきました。
実は講師自身もそこまで多くのトランプゲームを知っているわけではないのですが、世界には何百種類というほど多くのトランプゲームが存在していて、たくさん面白いルールが存在するそうです。
今回は、「夢中になる!トランプの本」という本の中から、『ブタのしっぽ』『ダウト』『ドンキー』『ゴーフィッシュ』『ゴルフ』の5つのゲームを紹介し、子どもたちにプレイしてもらいました。本当は、あと1種類『スリートリックス』というゲームも準備していたのですが、時間が足りませんでした。
『ブタのしっぽ』
紹介される文献によって、ルールが複数あって、同じマーク(もしくは色)、同じ数字を真ん中に出したら、カードを全て引き取るというルールもあれば、出したら一斉に全員がカードの山に手を出していき、一番遅かった人がカードを引き取るというルールもあります。今回は、後者のルールでプレイしました。カードを正確に見る力、反射神経が大切になるゲームですね。
『ダウト』
自分の番に1枚以上のカードを出していき、カードをなくした人が勝ちというゲームです。カードを出すときには、「1」→「2」→「3」→・・・というように回ってきた順番に応じて、数をカウントして該当するカードを裏向きに出していきます。ただし、該当する数字のカードを持っていない場合には、「ウソをついて」カードを出すことができます。
「ウソをついている」ことがバレないように、カードを出していくという体験は子どもたちには新しい体験だったのかなと思うのですが、中には「1」と言いながら4枚を同時に出したり、見え透いたウソをつきながらカードを出すなど大胆なアクションをとる子、うまく他の子から「ダウト」を引き出せて喜ぶ子などいて面白かったです。いかに本当のことを言っているように見せるか、という演技力や胆力が試されるゲームですね。
『ドンキー』
人数と同じだけの数字のカード(4人だったら「1」〜「4」の4枚×4つのマーク分)を全員に配り、同時に1枚ずつ交換していき、手元に同じ数字のカード4枚を揃えるゲームです。手元に同じ数字のカード4枚が揃ったら素早く全員に公開し、テーブル真ん中に用意した人数より1少ない個数の碁石を素早く取りにいきます。誰かが揃ったら自分は揃ってなくても構わず碁石を取りに行く、というのがポイントで、取ることができなかった人が1人負けになるゲームです。
やることがとても単純ながら、交換の瞬間の度に緊張が生まれ、わあっという声が子どもたちから上がっていました。自分の手元のカード4枚を揃えることに夢中になりすぎるばかりでは、真ん中の碁石を取るのに遅れを撮ってしまいます。周辺視、反射神経が鍵のゲームです。
『ゴーフィッシュ』
こちらも、「ドンキー」と同じく手元に同じ数字のカード4枚を集めるゲームです。他のプレイヤーに「〇〇(数字)をもってますか?」と聞いていき、持っていたら該当する数字のカードを全てもらえる、持っていなかったら山札から引く、ということを繰り返していきます。
今回は時間が足りず、最後までプレイできませんでしたが、うまいこと誰に何を聞いたのかを覚えていて、いくつもリーチを作っている子どもがいました。記憶が重要なゲームですが、山札から欲しいカードを引いていくるという運も重要なゲームだと思います。
『ゴルフ』
手元に伏せた6枚のトランプカードに書かれた数字の合計をできるだけ小さくするように、山札か捨て札のカードと手元のカードを交換していくゲームです。カードは写真のようにタテ2枚、ヨコ3枚のように並べますがタテに並んだ2枚が同じ数字の場合、合わせて「0」になるというルールがあります。いかに次の順番の人に有利になるようなカードを捨てないようにするかという戦術はもちろん、山札から良いカードを引いてくるかという運も大事なゲームです。
誰かが6枚全てを表向きにすると、ゲームが即座に終了し点数計算に入り、裏向きのまま残ってしまったカードは表を確認できないままで点数計算に入れられてしまうため、どこまで粘って自分の6枚の合計を小さくするのか、いや思い切って(他の人の伏せたカードが大きな数字であることを願って)ゲームを終わらすのかというジレンマが発生します。
子どもたちも自分の6枚のカードを気にしていたら、いつの間にかゲームが終わっていたということがあったようで、うまくタテ2枚で「0」を作れた子が勝利していました。
2、お気に入りのトランプゲームを見つけ、分析!
たくさんのトランプゲームをしてもらったあとで、その中から特に「楽しかった!」「面白かった!」と感じたゲームについて、そのゲームの内容の分析をし、感想を書いてもらいました。感想を書くにあたっては、下のようなシートを準備してみました。
次回以降で、「改造」していくことを念頭におき、それぞれの項目では改造のヒントに繋がる質問を具体例として書いておきました。右上のダイヤグラムは、新しいゲームとして作りたいゲームのプレイ感を考える上で足掛かりになるかもしれません。
書く時間が短くなってしまったので、じっくりと子どもたちが考えて書くということができていないグループもあったのですが、それでも最低限今回お気に入りのゲームが見つかったようでしたので、その点は安心しました。
子どもたちの書いてくれたシートをいくつか。
こちらは1年生の男の子が書いてくれたシートです。素直で率直な感想が書かれていることはもちろんとても素晴らしいのに加えて、「目が僕の(カード)を見ていたから外(=他の人のカード)が見えなかった」「目が遅すぎて取られちゃった」と『ドンキー』の核をつく部分を指摘していて、すごいなと思いました。
こちらは2年生の女の子が書いてくれたシートです。面白いと思ったところで、『ゴルフ』で点数を低くする鍵である「タテに同じ数字を揃えたいところ」を指摘しています。ゲームの面白さの肝を捉えられたのだなと思いました。そして、その部分に関する「改造」の方針が見えてきています。正直、ここまで書けているので、次回以降がスムーズに進む気がしてきます。
3、次回にむけて
本当にたまたまなのか、子どもたちが口裏を知らぬ間に合わせたのか、子どもたちがシートに書いてくれたお気に入りのゲームが『ゴルフ』と『ドンキー』の2つに集中しました。次回以降は、この2つのゲームを原型にして、オリジナルゲームの制作に取り掛かります。
アイデアをどうやって広げていくか、広げたアイデアの何を採用し、最終的に収束させていくか、試行錯誤しながら子どもたちに「作り上げていく」体験をしてもらえるようにファシリテーションしていければと思います。
ぜひ次回以降のレッスンレポートもお楽しみに!
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