ボードゲーム制作プロジェクト:アートワーク制作編②内容物をデザインしよう!
こんにちは!
2021年10月から第二期が始まったボードゲーム制作プロジェクト、いよいよ2022年に入り後半戦です。
これまでの様子は、サイコロ塾のnoteにその経過を書いていますので、よければどうぞそちらからご覧ください。
ちょっとだけ振り返りますと、これまで子どもたちと次のような流れでプロジェクトに取り組んでみました。
ボードゲームをプレイして、分析しよう!
自分たちの作るゲームのコンセプトを決めよう!
ゲームのコアとなるメカニクスを決めよう!
テストプレイをしよう!
「1.」では、「競り」や「ブラフ」といったボードゲームの特定のメカニクスに注目して、それぞれが表現されているボードゲームをプレイし、それぞれの違いや仕組みを理解しました。
「2.」では、ブレインストーミングなどの手法を用いて、アイデアからコンセプトを作ることをしました。
「3.」では自分たちの作るボードゲームの核となるメカニクスを決めました。このとき、「ジレンマ」をルールによって生み出すことがゲームにとって重要であるということから、ジレンマからゲームのメカニクスを決めていくということをしました。
「4.」では、自分たちの作ったゲームが「本当に面白いのか?」「プレイしている時に不都合がないか?」などを確かめるためのテストプレイをしました。
実は、「テストプレイ」に関しては、2021年の年末から2022年の年始にかけて子どもたちにワークショップ外で集まってもらい、自分たちが作ったゲームをこれまで体験していない他の子どもたちに体験してもらうなどして、デザインの改善を行うことをしていました。
「テストプレイ」の結果を経て、2つのゲーム(今回、2つのグループでそれぞれ異なるゲームを制作しています)それぞれ課題点が見つかっているようでした。
さて、2022年いよいよゲームマーケット2022春への出展も決まり、子どもたちの制作したボードゲームを形にしていくタームです。
今回は、これからしていくことを子どもたちに紹介した上で、「アートワーク」の制作に取り組みました。
それでは、その様子をどうぞご覧ください!
1、ゲームマーケットまでにすること
初めにお伝えしておく大事なことがあります。そう、この度無事ゲームマーケット2022春への出展が決まりました!
「ゲームマーケット」は国内最大規模のアナログゲーム・テーブルゲーム・ボードゲームなどの即売会です。東京で年に2回、大阪で年に1回行われています。今回は、春開催に応募をし、「サイコロ塾」名義で出展となります。日程は2022年4月23日(土)、4月24日(日)です。子どもたちのゲームは、主に24日(日)に頒布する予定です。
いよいよ具体的な日程が決まりました。そこで、改めて子どもたちに出展までのロードマップを大まかに示しました。
図にあるように大まかに「①アートワーク」と「②PR・宣伝活動」、「③販売」の3つに分けました。
これらの活動の重要性、当日の頒布数への影響などは別のnoteでまとめているので興味ある方はぜひ読んでみてください。(ただ、とても長いです笑)
書き出してみると、たくさんあるなと改めて思いました。ワークショップでは、この活動の全てを子どもたちに体験してもらうわけではなく、いくつかにしぼって行います。(それ以外は黒子作業ですね!)
上記の①〜③は明確に順番が決まっているというわけではなく、同時進行で進めなければならない部分もあるのですが、まず1月は「①アートワーク」に取り組んでいくことにしました。
2、アートワークについて
「アートワーク」という言葉が子どもたちにあまり馴染みがない、というか一般的にもボードゲームのそれとイメージが重ならないのではないかと思いましたので、まずは子どもたちに何のことかを話しました。
「アートワークを何のためにするのか?」については、ボードゲームのアートワークをたくさんされている長谷川登鯉さん(@bodogedama)の勉強会で教えていただいたことを参考にさせていただきました。
そして、アートワークを大まかに「イラスト」と「ユーザーインタフェース」にわけて説明をしました。
「イラスト」はイメージがつきやすいのですが、「ユーザーインターフェース」は少し子どもたちに説明するのが難しかったです。最終的には、「見た目」や「操作性(使いやすさ)」に関わるデザインのこととしました。
子どもたちに伝えたかったのは、単に「イラスト」を描くことがボードゲームのアートワークではなくて(もちろんイラストはとっても大切!)、それ以外の使いやすさなども合わせてデザインすることがアートワークであるということでした。これらを踏まえて、今回デザインすべき内容物についてそれぞれ説明をします。
今回子どもたちが制作するボードゲームの仕様は決まっていますので、それぞれの内容物について考えるべき観点について話しました。子どもたちがイメージしている遊び方、その遊び方の中でカードがどういうふうに使われるのかを具体的に想定しながらカードの各部をデザインするということを伝えます。
拙作「アニマルコレクティング」の事例を出して説明しました。各部がどういう意図で設計(デザイン)されているのかを、プレイ場面を子どもたちに思い出してもらいながら説明していきました。子どもたちに「アニコレ」を遊んでもらっていてよかった!イメージもつきやすかったようでした。
この後、これまで子どもたちがプレイしてきたゲームのカードデザインを実際に手に取りながら、「どんな意図があるか?」「どんな工夫がされているか?」を発見してもらうことをしてみました。
「ハゲタカのえじき」では、勝利点となる「ハゲタカ」のカードに書かれた数字が大きくなるにつれ、ハゲタカのイラストも大きくなることや、自分たちが「いっせーの」で表にして参照しなければならないカードは、どの方向から見ても数字が見やすくなっていることなどを発見していました!
後半に「箱」のアートワークに関してもカードと同じように子どもたちにどんなことが重要であるかということを考えてもらいました。
さて、アートワークで気をつけなければならないこと、工夫すると良いことを学んだ上で、次は実際に子どもたちにアートワークの制作に取り組んでもらいます。
3、アートワークの指示書を作ろう!
先に書きましたが、子どもたちにゲームマーケットまでに必要となる工程全てをしてもらうのではなく、その一部をしてもらいます。
その一部というのが、「アートワーク」のデザインの大枠を決め、デジタルデータ化する担当の人に対して指示を出すことです。
ボードゲームのデザインにおいて、ルールのデザインからアートワーク、宣伝まで全てを1人でやってしまうスーパーマンもたまにいますが、協業、分業をして完成までたどり着く場合が多いです。
今回、アートワークの下書き、ラフについては子どもたちが決め、そして作ってもらうこととしましたが、そこから先の入稿までの作業はプロフェッショナルにお願いすることとしました。
そこで、子どもたちが今回のワークショップで達成するゴールを「アートワークに関する指示書を作る」こととしたわけです。
具体的には下のような指示書を埋めていくということにしました。
1枚目はアートワーク全体に関することで、デザインすべき内容物が何点必要になるのかなどをプロに伝えるものです。2枚目は、それぞれの内容物のユーザーインターフェースに関する項目を事細かく書くものです。
協業、分業していくつかの作業を分担する場合は、コミュニケーションの齟齬が起きにくいように伝えることが必要だよ、ということを山里さんにフォローしてもらい、子どもたちに実際に上記2つを作ってもらいました。
以下は、実際に子どもたちに作成してもらったアートワーク指示書です。
ここで紹介したのはほんの一部なのですが、段々と子どもたちの作りたいものが具体化していっています。いよいよ形になる時が近づいてきてワクワクしますね。
もう一方のチームも今回、具体的なフレーバー(ゲームの世界観、テーマのようなもの)が練り上げられてきていました。こちらも完成が楽しみです!
それぞれのチームが作った指示書を元にデザイナーさんに依頼をして、完成まで持っていきます。またイラストが上がってきたらご紹介できるかな?と思いますので、どうぞお楽しみに!
次回予告
次回は、ゲームマーケットまでにすることの②で示した「PR・宣伝」について、具体的に子どもたちが自分たちのゲームをどういうふうにアピールしていくか、キャッチコピーを考えたり、伝え方をどうするかを考えていきます。
「モノ」としてゲーム自体が出来上がりつつありますが、「売る」ということにつなげるために、もう少しだけしなければならないことがあります。(むしろココが大事です!)
その部分を子どもたちに知ってもらって、一緒に考えたり、取り組んでいきたいと思います。
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