サイコロ塾レッスンレポート:かたろーぐ&適当なカンケイ編
こんにちは。5月のサイコロ塾では、ボードゲームを通して、「自分と相手のことを知ろう」というテーマでレッスンを行いました。
取り上げたゲームは、かたろーぐと適当なカンケイの2つです。どちらも、自分自身の好き・嫌いといった嗜好や、モノ・コトを見るときの自分や他の人の着眼点を知ることができるとっても素敵なゲームです。
子どもたちの意外な側面や、子どもたちならではの面白く、ユニークな着眼点を知ることができました。
今回はそこまでゲームが複雑ではないので、ルールの説明も簡単に書いています。それでは今回もレポート開始です!
1、かたろーぐのルール説明
今回は2つのゲームについて、その遊び方も含めて説明をしていきます。
かたろーぐは、カタログを使って出題者の「好き」なモノ・コトを当てていくゲームです。
まずは、カタログからランダム(ここではあまり好き・嫌いを考えない)で7つを選び、その7つに出題者が順位をつけます。
出題者は、手元のマークが描かれたカードをカタログの前に順位が良い順番に裏向きに並べますが、真ん中の順位(=4位)のカードだけ表にしておきます。
1位から順に他の人が「当てる」ターンです。そのものが何かを当てるための質問タイム!「はい」か「いいえ」で答えられる質問を出題者に次々していきます。
みんなが一斉にダイヤル式になった予想ディスクで予想をし、答え合わせ。見事当てることができたら、ハート型のトークンをもらえる、といったゲームです。
2、かたろーぐで他の人の好きなものを知ろう!
さて、実際にかたろーぐをプレイした様子を写真でご紹介します。
「どれにしようかな?」
カタログに置かれた選択肢を見ながら、カードを選んでいます。「好き」なもの上位7つに順番をつけるのはなかなか普段はしないことなので、子どももじっくり考えて選んでいます。
一緒にプレイするお友達の「好きなもの」を当てることにみんな必死です!「それは、ご飯ですか?」「それは、よく食べますか?」など、質問タイムには我こそ当ててみせる!という意気込みの鋭い質問が飛んできます。
結局、1位は「カレーライス」でした。みんなも好きかな?と尋ねると、これまた色々な意見が出てきます。
1位を「カレーライス」にした子ども本人も、実は他のもの全般がそこまで好きではないということを話してくれました。
「好きなものを語った」り、「好きなものを当ててもらう」という体験は、なんだかくすぐったいような、恥ずかしいような、でも嬉しい体験になったのかなと思います。
出題者を変えての2回目は、「アクテビティ」のカタログを使ってプレイしてみました。
ここでは、なんと意外にも「山登り」を1位に選んでいました。普段のその子どもの様子からはなかなか伺えない「好き」だったので、驚くとともに色々と訊きたくなりました。意外な一面を知れるのもこのゲームの良いところですね。
「かたろーぐ」は、それぞれの子どもたちの「好き」をテーマにしたゲームです。子どもたち同士で、「好き」が同じであること、違うこと、どちらもあったと思うのですが、大切なのは「お互いの好きなものを否定しない」ことだと思います。子どもたちに少しでもそれが伝わっていたら良いなと思います。
3、適当なカンケイのルール説明
「適当なカンケイ」は奇数枚(本来は11枚)並べられた写真カードから、2枚ずつのペアを作り、そのペアを他の人と比べて、ペアが一致していたら点が得られるというゲームです。
子どもたちとは、5枚の写真カードから2ペアを作るところからスタートしました。
ペアの作り方は「適当」でよく、自分なりに写真の共通点を見つけて作っていきます。5枚なので2ペアを作り、残った1枚は傍に避けておきます。
全員が準備ができたら、ペアを公開していき他の人とペアが一致していたら得点になります。このとき、どうしてそのペアを作ったのかを尋ねると、盛り上がります!
4、適当なカンケイ。でも、そんなところに共通点が!?
最初は下の写真のような5枚が選ばれました。皆さんだったら、どんなペアを作りますか?
早速、ペアを作った子どもが、何番の写真と、何番の写真をペアにしたかを教えてくれます。
「1」と「2」のペア!?
正直、写真をよく見てなかったので、その発想はなかったと驚きましたが、子どもたちからは「僕も!」「私も!」と声が上がります。
みなさん、どういう共通点かわかりましたか?最初にこのペアを発表してくれた子どもに聞くと、「どちらも開くもの」ということでした。
最初からユニークな着眼点に驚きました。てっきり、「形」や「色」など目に見える特徴から共通点を導き出してくるかと思っていたのですが、「使い途」という目に見えない性質を頼りにペアにしていて、とても感心しました。
他の子どものペアにした理由を尋ねたときに、また面白いことが起こりました。それは、「1」と「2」をペアにした理由が違っていたことです。別の子どもは、「形が似ている」からそのペアを作ったということでした。
まさにこのゲームの醍醐味が出た瞬間でした。このゲームでは、理由が違っていても最終的にペアが一致していたので得点になるのです。着眼点の違いが明らかになって、「なるほどそっちか!」「そういう考えもあるか」と気づく体験になりました。
他の写真のペアで言うと、「3」(さくらんぼ)と「4」(タコ)をペアにした子どもがいました。
ちょっとその理由(共通点)を考えてみてください。(きっとアレかな?)
・・・
・・・
・・・
はい、ではその子どもに聞いてみましょう!
「3」と「4」は、「どちらも分かれている」
なるほどねー確かに、とうなずくばかりです。子どもたちが写真の細かい部分をよく見て、よく考えてペアにしてくれたんだなということがよくわかりました。
そのほかにも、「3」と「5」をペア(食べ物、丸、赤い)にしたり、「4」と「5」(赤い、食べ物)のペアを作ったりと、子どもたちならではの視点で共通点を見つけてくれました。
ここでも大切なことは、「人によってものを見るときの視点や着眼点が違う」ということですね!「1」と「2」のペアを作ってくれた子どもはたくさんいましたが、それをペアにした理由、共通点が子どもごとに違っていました。これをきっかけにモノゴトを見るときの、視点が広がる体験に繋がったのではないかと思います。
今回は「適当なカンケイ」を、「自分と他の人の視点の違いに気がつく」体験をしてもらうためにプレイしましたが、「共通点を見つける」こと自体が「抽象化」というとても大切な力を使う必要のあることです。「形」「色」などはいわゆる知覚できる特徴ではありますが、そこから一歩進んで「使途」「まつわる感情」など知覚から呼び起こされる認知や感情にまで抽象的思考を使って至ることできるようになる(一部の子どもはすでにできていましたが)と、もっともっと子どもたちの世界が豊かになるのではないかと思います。
とっても良いゲームでした!
次回予告
次回も「自分と相手のことを知ろう」というテーマでゲームをプレイしていきます。取り上げるゲームは、「ウェーブレングス」です!
ボードゲームらしい、ギミックが楽しいゲームです。
次回も子どもたちそれぞれのユニークな感性が発揮されるのが楽しみです。
次回のレポートもどうぞお楽しみに!
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