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ボードゲーム制作プロジェクト:プレイ&分析!「ブラフ」ゲーム編

こんにちは!

先日、2021年度のボードゲーム制作プロジェクトの第2回を開催しましたので、その様子を報告します。

ボードゲーム制作プロジェクトについては、こちらのnoteをご覧ください。

今回まで、インプット編と題しまして、ボードゲームを「プレイ」し、「分析」するフェイズとなっています。今回のテーマは「ブラフ」でした。子どもたちが「ブラフ」をどのように捉え、遊ぶ中でどのように分析していったかを報告します!


1、ブラフゲームをプレイ&分析しよう!

日常生活を送っていると、なかなか「ブラフ」という言葉は耳にすることはありません。子どもたちももちろんそうで、「今日はブラフゲームを遊ぶよ」という導入をしても、「ブラフゲーム?」という感じでした。

とはいえ、ボードゲームの中には「ブラフ」の要素をその中心的なメカニクスとして据えていたり、中心にはおかずとも1つの要素として扱っているものもあるため、その機能や引き起こされるプレイ体験・感情などについて学んでもらいたいという思いから、このようなテーマを扱うことにしました。

少しだけ「ブラフ」について対訳(ハッタリ)を紹介したのち(後でもう一度解説するので簡単に)、さっそく今回も3つのゲームを遊び、分析をしてもらいました。

①ごきぶりポーカー
ブラフを中心的要素として扱ったゲームとして、よく挙げられるゲームです。「ブラフ」が扱われている場面がとてもわかりやすく、その醍醐味を存分に味わえるゲームだと思います。

ブラフゲーム資料スライド4

「ごきぶりポーカー」では、自分が提示したカードの表面に描かれている害虫に関してブラフをかけることになります。うまくブラフを押し通すことができれば、自分がカードを受け取ってしまうリスクを回避することができます。

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子どもたちの分析では、「相手が出してきたカードを(ブラフなのか本当なのか)見破るのが難しかった」という感想とともに、「状況によって判断ができるときがあって、うまく当てることができたら嬉しい」といった感想もありました。このゲームの特徴や肝となる部分をしっかり捉えられているなと感じました。


②スカル
プレイヤーそれぞれがドクロの描かれたカード1枚と、バラの描かれたカード3枚をもち、自分の山にいずれかを順番に重ねるか、重ねられたカードをめくる勝負に出るかを選択します。

ブラフゲーム資料スライド5

めくり勝負に2回成功すればゲームに勝利することができますが、宣言した枚数に到達する前にドクロをめくってしまうと、自分のカードを1枚失ってしまうことになります。

自分の山の情報は確実にわかっていますが、自分にドクロしか残っていない時にいかに相手を「降ろさせるか」、いかに自分のドクロをバラに「見せかけるか」といったところにブラフの妙が問われるゲームです。

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分析シートをもとに語ってくれた感想では、「パスすることで勝負から降りることができる」ということを面白いルールとしてあげている子がいました。スカルでは、勝負から降り続けても、極端な話、自分以外の全員がめくりの勝負に失敗すれば勝つことはできます。ところが、ある程度までめくり枚数を釣り上げないと、簡単にめくりを成功させてしまうことにもつながるので、めくる枚数の「競り」で、自分もある程度は釣り上げに加担する必要が出てきます。

強気のめくり枚数は、ブラフか、それとも本当か、前回プレイ&分析した「競り」の要素も合間って濃密なプレイ体験ができたのではないかと思います。


③アニマルコレクティング
ゲームマーケット2021秋で頒布予定の拙作です。「ブラフ」の要素は、手元に「ネコ」カードがある時と限定的のため、上記2作と違って「ブラフ」はあくまで周辺要素になります。アニマルコレクティングの詳しい説明は、noteに書いていますのでよかったらご覧ください。

先にも書きましたが、アニマルコレクティングにおいて、「ブラフ」は「ネコ」カードが手元にあるときに限定的に使うことができます。どのようなものかというと、あるプレイヤーが他の人から特定の動物を持っているか尋ねられた際に、尋ねてきた本人には「本当は持っていないけれど、持っているように見せかけ」、当事者(尋ねてきたプレイヤーと尋ねられたプレイヤー)以外のプレイヤーには、「尋ねた対象の動物カードがプレイヤー間で移動したように見せる」というものです。ちょっと直感的に理解しづらいと思いますので、よかったら下の動画の1:48あたりを見ていただけるとわかるかなと思います。

実はアニマルコレクティングを子どもたちにプレイしてもらうのは初めてのことでしたので、「ゲームのルールを理解してもらえるか?」「ゲームの本質を楽しんでもらえるか?」というのは不安でした。果たして・・・

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そんな心配をよそに子どもたちはアニマルコレクティングを楽しんでくれました。懸念していた「ネコ」カードを用いたブラフですが、分析してもらったときに「楽しかったところ」に「ネコカードを早く持ちたい」といったことを書いてくれていた子どもがいて、楽しんでくれたようで何よりでした。

せっかく子どもたちが遊んでくれたのでその様子をたくさん載せておきます。

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寄せてくれた分析(ゲームについて考えたこと)の中では、6年生の子が「ネコカードがあるときに、(他のプレイヤーからは絶対に嘘をつかれないので)他のプレイヤーが持っているカードの情報を集めやすい」という、このゲームの本質に迫る分析をしていて、1回のプレイでそこまで気づいたことに驚愕しました。


2、「ブラフ」要素の取り入れ方、効果を学ぼう!

3つのゲームをプレイしたのち、いったん「ブラフ」について自分の方から簡単な解説を行いました。

ブラフゲーム資料スライド7

ポイントは、どんな理由で「ブラフ」を用いるかということです。

今回はそれぞれ「ブラフ」の要素の取り扱い方の違う3つのゲームを遊んでもらったので、上記のブラフの説明も踏まえて、次の2つの問いについて各グループで話し合ってもらいました。それぞれ「どんな時に」がブラフがゲームにどのように取り入れられているか、「どんないいこと」がブラフのゲームにおける効果を考えてもらう質問になっています。

ブラフゲーム資料スライド8
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分析シートに書いた内容をもとに、付箋に考えを書いていきます。

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「ブラフ」がどんなときに使われるか?については、子どもたちもプレイの中で体感してよくわかっているようでした。

一方、「ブラフ」を使うとどんないいことがあるか、については、「相手をだますことができる」という、ブラフそのものについての理解はあったのですが、その先(なぜだますことがいいことなのか?)はなかなか考えが深まらなかったようでした。

ではその先とは何か?というと、それは、「ブラフをかけた相手になんらかの行動を取らせ、特定の状況を回避すること」です。例えば、ごきぶりポーカーでは、ブラフが成功することで、「自分が害虫カードを受け取ること」を回避することができますし、スカルでは「不利な状況でめくりを実行すること」を回避することができます。そして、アニマルコレクティングでは、「自分が特定のカードを奪われる対象から外される」ことになります。

いずれにしても、ブラフを行った結果として、本来起こっていたかもしれない特定の状況を回避することにつながります。こういったことを最後にまとめのスライドを示して子どもたちに伝えました。

ブラフゲーム資料スライド9

また、山里さんが「ブラフ」の効果を第二次世界大戦の話と結びつけて話してくださり、単にゲームの中だけでの現象ではなく、自分たちの社会や生活とつながっているということが子どもたちに伝えられたのではないかと思います。

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最後に、子どもたちに今回のワークショップについての感想を言ってもらいました。「それぞれのゲームでブラフがどういうふうなものなのかわかった」「ブラフってどういうものかわからなかったけど、わかってよかった」「ブラフの効果もわかった」といった感想をもらいました。

「ブラフ」に伴う気持ち(バレるかバレないかドキドキする)を分析や感想で述べている子どももいて、今回もゲームのメカニクスとそのプレイ体験を結びつけることができたと思います。

次回からはいよいよ「作る」フェイズに入っていきます。これまでゲーム作りワークショップに参加した子どももいますが、大半は初めてのゲーム作りになると思います。子どもたちの情熱を形にする、自分にとってもチャレンジです!

ぜひ次回もこのnoteを見にきてください!



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