ボードゲーム制作プロジェクト:試作編②テストプレイをしよう!
こんにちは!
先日、ボードゲーム制作プロジェクトワークショップの第5回を実施しました。ワークショップの前半戦もいよいよ最終回です。子どもたちのゲームは果たしてどこまでできていったのでしょうか?
この最終回では、「テストプレイ」について学び、たくさんテストプレイを子どもたちにしてもらいました。前回までの様子は、コチラからご覧ください!
個人的に、ボードゲーム制作で一番苦しいけれど、一番楽しいと思っているのが、この「テストプレイ」を繰り返している時期だったりします。
今回で、子どもたちが「テストプレイ」の重要性に気がついたり、その過程を通して自分たちの作るものがどんどん良くなっていくのを感じてもらえていればと思います。
それでは早速、様子をご覧ください!
1、「テストプレイ」を知ろう!
前回、子どもたちに「ジレンマ」についてじっくり考えてもらい、その上でミニマムサイクル、プレイヤー目標の設定というゲームのコアになる部分を考えてもらいました。
今回は、それらが本当に面白いのか?を確かめるフェーズです。まずは、「テストプレイ」について子どもたちと学びます。
昨年度のゲーム制作プロジェクトでも「テストプレイ」に関する講義はしたのですが、少しだけスライドを追加しました。
重視したのは、「とにかく何度もテストプレイをすること!」です。以前のnoteの中でも紹介していますが、「はぁっていうゲーム」の作者、米光一成さんは、「テストプレイは、最低100回やる。」と書いています。
100回というと途方もない回数だなと思うかもしれませんが、それくらいの勢いで何度もテストが必要ということ!上のスライドにも書いたのですが、いわゆる「改善」のプロセス・サイクルを何度回すことができるかによってゲームの面白さや遊びやすさ、完成度は俄然違ってきます。
もちろん1回1回のテストを意味あるものにするために、子どもたちには今回「テストプレイ計画書」なるものを事前に作って毎回テストプレイの前に書いてもらうことにしました。
ちょっとくどいかもしれませんが、意識づけとして書いてもらうことにしました(実際、後半はサイクルを回すのがだんだん早くなっていったので、補助ツールとしてあまり必要なくなってはいました。それでも変更点、それに対する反応を記録するのは大事です)。
最後に、もう1つ大事なことを。それは、「終わり(完成)は自分が決める!」ということです。テストプレイをしていると、色々な意見が出てきます。ちょっと変えただけでも感想が様々。決まったメンバーですらそうなのに、感性の違う人にプレイしてもらったら、また違った意見・感想が次々に増えていきます。そのたび変更していくと、どこで終わりにすれば良いのか?と悩むことがあります。
こういう時に判断の基準になるのが、前々回で取り組んだ「コンセプト」です。「コンセプト」にあった人に、「コンセプト」に掲げた体験を提供できているかどうか?それを、よく照らしてみて「終わり」を決めることが大事だなと思います(←自戒をこめて)。
「テストプレイ」は、基本的に何回もするのが大事。すればするほど良くなる可能性が高い…けれど、終わりは自分たちで決めよう!(これもジレンマ)
さて、子どもたちはどれくらいテストプレイのサイクルを回すことができたでしょうか?
2、レッツ、テストプレイ!
今回僕は一方のグループに付きっきりでテストプレイを見守りました。こちらのグループのコンセプトは、以下の通りです。
そして、前回考えたのが「Youtuberになって100万回再生を目指す!」ゲームです。そして、ここには「注目度の高い動画を公開すると、再生回数は伸びるけれど、炎上してBANされてしまう可能性が上がる」というジレンマを盛り込みます。
子どもたちの中で大体のゲームの概要はできつつあったのですが、今回の最初にはまだテストプレイが始められる感じではなかったです。そこで、ゲームのミニマムサイクルを再度見直します。
結局、「ハゲタカのえじき」形式でカードを出し、その結果によって再生回数が決まる、というメカニクスに落ち着きました。
骨子が決まってから、早速一回目のテスト。今回のテストでは、「ゲームとしてプレイがうまく進むか?」を確認します。
3人プレイなので、1人が「観察役」をかってでます。子どもたちは全員がゲームの流れを把握してはいない様子で、たどたどしくゲームが進行しますが、それでもなんとかゲームとしての形になってはいました。
ところが、ここでいくつか問題が発生します。「駆け引きが足りない!」
せっかく1つ前の回で「ジレンマ」ということを考えたのですが、そのジレンマを生かすための「駆け引き」の要素が足りていないということに気がつきます。子どもたちは、解決に向けて様々なアイデアを出します。
「毎回出し終わったカードを集めて、配り直したらどうかな?」
「いや、それだと駆け引きというよりは運の要素が強くなるくない」
「1枚先に選んで表向きにしておいて、残りのカードで選ぶっていうのはどう?」
良いですね!創発がまさに起こっている瞬間です。「テストプレイ」の何が好きかってこの瞬間です。誰も答えを持っていないことに、全員が知恵をしぼりあって、たどり着くというのがすごく大切な経験で、子どもたちの力になります。
「カードの出し方」のルールを変えて、いざ二回目のテスト!「駆け引きが生まれるかどうか」を確認します。
どうやら心配していた「駆け引き」は、今度は実装できていたようです。そして、今度は「コンセプト」にある「お金を稼ぐ」の程度が問題になります。
「何万回再生に行けば、大金持ちになれるのかな?」
「今回、100万回に届かなかったの問題じゃない」
「なんとか100万回には届かせたいから、倍率あげる?それとも、ラウンド数増やす?」
「倍率カードってまだ増やせる?」「大丈夫」
こんなふうに話し合いが行われて、最終的に全部で三回のテストプレイを行うことができました。
ミニマムサイクル、プレイヤーの目標設定がうまく機能するか確認したのち、最終的には「再生回数を極端に稼ぎすぎると炎上する」というジレンマも入れ込むところまで、決まりました。
チェックリストはというと、それなりには機能したようですが、途中からはどんどん出てきたアイデアを試したい!という子どもの気持ちが強く、サイクルが早くなっていきました。
ちなみに、もう一方のグループのテストプレイも大いに盛り上がった様子で、こちらは「対応人数を増やす」という「ディベロップ」にあたるステップのテストまで進んでいたようです。
終わりに
全5回にわたって実施してきた「ゲーム制作ワークショップ」の前半戦は今回で終わりです。ここまでの総括として、昨年のワークショップと比べると、子どもたちの制作したゲームに「コンセプト」「ジレンマ」という軸がしっかり存在していて、完成がすごく楽しみなゲームが出来つつあります。
後半戦は、来年1月から再開予定です。では、この間は何をするか?もちろん、「テストプレイ」です。子どもたちには、少なくとも20回はテストプレイをして改善しよう!ということを、チャレンジとして提示しています。
現段階でも十分ゲームとして「面白そう」ですが、さらに子どもたちの独創性でどのように味付けされていくのか?そして、完成から販売まで果たしてたどり着けるのか?今後もぜひプロジェクトを見守ってください!そして、子どもたちのゲームをきっと届けますので、ぜひ買ってください!
最後はここまで走りきったみんなでパチリ。
それでは、後半戦もお楽しみに!
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