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時計の契約:第3章10時

第3章:螺旋の果て

10時:闇と光の螺旋

「・・・兄さんは、悪魔を信じる?」一体急に何を言っているんだ?
「悪魔って、ゲームや本に出てくるあの悪魔のこと?」何か知っているような気がするが思い出せない。
俺はさっき見た夢のことを伝える。じいちゃんが手招きをして時計の表紙の本を開かせ、本が光輝いたという夢のことを話した。黙って聞いていた時翔ときとだったが驚きと困惑の表情を浮かべている。そういえば、夢の最後にじいちゃんが何かを耳打ちしていた。俺はその言葉を復唱した。

「ナア・ヴィラル・ヴォ・レマ」

次の瞬間、目の前に白い煙が部屋を包み込んだ。手元には夢で見たあの本が現れ、眩しい光が俺たちの目をくらませ本から白い影がふわっと現れた。
「ずっと、待ってたんよ、、、」悪魔のような見た目の影が壁に揺れる。そして白い煙の中から悪魔のようなものが、不気味な笑顔を見せていた。二人の間には恐怖が立ち込め、緊張感が走る。
夢か現実か理解が追い付かなかった。時翔は震えながら小さくつぶやいた。
「僕の知らない悪魔だ」

その姿は恐ろしく、白い息を吐き、口には鋭い牙が見えた。不気味な笑みを浮かべこっちを見ている。恐怖で動けない。悪魔って一体何の話をしているんだ、時翔がさっき話していたことなのか?俺は何が何だかわからず、固まっていた。すると時翔が悪魔を睨みつけ叫んだ。
「お前は誰なんだ!」
白い悪魔は首をかしげている。そしてこっちを見つめ「はるー、はる、はるぅ……」と俺を呼ぶように不気味な声かけてきた。
「俺は颯空そらだ!!はるではない!!」悪魔に強く言い返す。
白い悪魔はまた首を傾げる。「はる、は、はる、、なん、よ、、、」地響きのように悪魔が泣き叫んだ。時翔は震える声で俺に耳打ちする。
「僕がみた悪魔じゃない、僕が見たのは黒い悪魔だった、これは白い悪魔だ」俺は恐怖を振り払うように悪魔に声をかけた。

「お前は黒い悪魔じゃないのか」白い悪魔はケロっとしてまた首をかしげる。俺の心臓は激しく鼓動し不安と疑念が深く心を揺さぶった。
「そ、れは、わたしで、はない、んよ……わたしはそ、いつの半、分ででき、て、るん、よ……」半分って何なんだよ。白とか黒とか一体何なんだ。俺は頭と心が追い付かなかった。
「こ、こは、そらの、世界なん、よ、入れ、変わって、るん、よ」世界が違うと言っているのか?
悪魔は悲しい顔をした。「早、く、、、はる、し、んで、、しまう、んよ、、、」


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