身体の力を一気に抜くことはむずかしい
こんにちは。気功師の佐伯です。
気功全般において「リラックスできること」は必須事項です。
リラックスはポピュラーな言葉ですが、実践していくうちに成長の壁にぶち当たります。
ちなみに、自分の心身のリラックスが不十分なまま気功に手を出すと、頭がパンパンに腫れるあがる感覚に陥ることがあります。
慢性的な頭痛に苦しむでしょう。
もちろん悪化すれば、「気を出そう」と試みるだけで頭が痛くなりますし、無理に続けると深刻なダメージを負いかねません。
どの段階であっても、どの習熟度であっても、どのゴールに気功を使うかを問わず、すべての人に当てはまると考えてください。
そう思っておいた方が、安全に気功を実践できます。
力の抜くのも少しずつ
リラックスしようとすると、身体の姿勢を大きく崩したがる人がいます。
ただ、これだとあばら骨の内側の空間や、お腹がつぶれてしまいます。
上から下、外から内への圧力をかけた状態になるので、呼吸がしづらく感じると思います。
下のように考えてリラックスを練習すると良いでしょう。
✕ 身体の力をすべて抜く
〇 最低限の力で身体のバランスを取る
例えば、肩を落としすぎると、あばら骨が上から潰されて呼吸が苦しくなります。
呼吸がしづらいと感じる時点で、集中力が途切れやすくなります。
できれば「いつの間にか時間が経っていた」と感じる練習をしてください。
そのためにも、まずは力の抜きすぎに気を配ると良いでしょう。
効率よく「自分の身体」のリラックスを深めるためには
自分の身体の筋肉と骨、関節などは絶妙なバランスで成り立っています。
初めは肩や背中を「とにかくゆるめたい!」と思いがちですが、筋肉と骨や関節でつながっている以上、他の部位に連鎖反応が出てきます。
肩を下げることに気を取られていると、あばら骨の動きを制限してしまい呼吸が苦しくなることがあるのもその一例です。
また、筋肉の繊維の長さや、骨格、体系によって、肩が下がったかどうかなどの見え方は個人差があります。
今の時点での筋肉の弾力性、柔軟性も人それぞれ違うので、「見かけ」「見た目」だけで判断するのはよくありません。
肩を下げたつもりが、肩の上側の筋肉は強引に引っ張られたのと同じ状態になって、徐々に肩の筋肉の緊張が高くなってしまう…
そして、数分程度は呼吸を深めてリラックスできたはずなのに、筋肉の緊張が臨界点に達したときに痛みとして認識する…
あちらを立てればこちらが立たず、ということもあるのが身体です。
「身体をリラックスさせて肩を落としていく」
この考え方自体は間違いではありませんが、今の自分の身体では「どこまで肩を落としても大丈夫か」を探らないといけません。
「ゆっくり呼吸をして身体から力を抜いてみよう」
→「ここまでは大丈夫みたいだ」
→「じゃあ、もう少しゆるめられないかな」
→「無理なくゆるめられたかな?」
と、上記の考えを何度もループして、螺旋を描くよう追求していく作業がリラックスです。
けっこう細かくフィードバックを取って、安全確認をしながら深めていくとスムーズですね。
今の自分とこれまでの自分のホメオスタシスが解る
自分の身体は、今の自分の気持ちや気分に大きく関わってきます。
「影響を与えてくる」といってもいいくらいです。
よっぽど太陽が嫌いな人でない限りは、今日が良い天気で「青い空」が視界に入ったら気持ちも爽快になると思います。
「爽快に感じよう」と思わなくても、勝手に感じられますよね?
身体の状態も同じように、自分の今の気持ちに自然と影響が出るものです。
さて、リラックスが難しく感じる場合、「今までの自分の身体の使い方」が妨げになっている可能性が考えられます。
誰もが「自分にとって楽だと感じる身体の使い方」があります。
それが、今の自分のふだんの行動や仕草に現れています。
「クセ」と呼ばれるものですね。
そこにもホメオスタシスが働いているわけです。
なので、ゆるめ方があまりにも性急すぎると、身体が痛みを訴えてきます。
ここで自分の反応に戸惑う人がたくさんいます。
「リラックスしようと心がけたはずなのに身体が痛くなった!」
「やっぱり首や肩が痛いんです…」
たしかに、せっかく自分の身体に尽くしたのに裏切られた気分です。
これは、先ほどの「性急にゆるめ過ぎた」という点と、今までの自分のホメオスタシスが関わっています。
今までの自分のホメオスタシスというのは、今日の自分の身体がどうあるべきか、どういう状態であるべきかに関わってきます。
日頃の自分の身体は、リラックスできていますか?
これから練習しようという人は、おそらく筋肉が緊張していたり、コリがあると感じているでしょう。
ならば、その状態がホメオスタシスなのです。
急に身体をゆるめてしまうと、反動で身体が痛みを出すことがあります。
「今日の分の緊張が足りない」とか「今日はまだ緊張してないみたいだから緊張しなきゃ」と、無意識がいつもどおりの自分に戻そうとしてきます。
これに対処するためにも、少しずつゆるめ、細かくフィードバックを取りながらリラックスを深めた方が安全なのです。
深くゆるんだ身体に詳しくない私
今までの自分の身体の状態を維持しようとするホメオスタシスに抗っても負けてしまいます。
くわしいこと、よく知っていることにはホメオスタシスが働きます。
(もちろん、それ以外の要因もありますが…)
緊張した自分の身体、コリがある自分の身体
深くリラックスした自分の身体
さて、上記の2点、どちらに馴染みがありますか?
くわしくわかる、何度も体験したことがある体感はどちらですか?
疲れた自分の身体や、緊張した自分の身体のことは、がんばって思い出そうとしなくても出てきそうですよね。
では、深くリラックスした自分の身体はどうでしょうか…?
くわしさ、馴染み深さに違いがありませんでしたか?
何となくの体感かもしれませんが「確かに異なる」ことは伝わるでしょう。
「深いリラックス状態」について未知のことが多すぎるのです。
自分の身体のリラックスが深くなっていく過程にもくわしくないのです。
だから、一歩ずつ安全確認をするように、螺旋階段を進んでいくように、リラックスは練習した方が結果的には効率的なのです。
なぜなら、少しずつゆるめて、自分の反応を確認をする(フィードバックを取る)ことで、「自分の身体のリラックス」にくわしくなれるからです。
自分の身体のことをくわしく知ることで、ようやくホメオスタシスが働く選択肢が増えてくれます。
緊張へ一本道だったホメオスタシスが二股に分かれ、リラックスにも向かうことができるようになります。
細かくフィードバックを取ると言われるとめんどうに感じるかもしれませんが、きちんと理由があるのです。
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