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無期転換ルール見直し(多様化する労働契約のルールに関する検討会)

第4回 多様化する労働契約のルールに関する検討会

厚生労働省の有識者会議「多様化する労働契約のルールに関する検討会」(第4回)が木曜日(2021年6月24日)にオンライン方式で開催予定。議題は「有識者からのヒアリング」。また前回、前々回と非公開だったが、今回は公開で開催。

第4回「多様化する労働契約のルールに関する検討会」開催案内(厚生労働省公式サイト)

多様化する労働契約のルールに関する検討会 開催要綱

厚生労働省の有識者会議「多様化する労働契約のルールに関する検討会」開催要綱の中で検討事項は「無期転換ルールの見直しと多様な正社員の雇用ルールの明確化等の検討」と記載されいる。

つまり、労働契約法に規定されている無期転換ルールと多様な正社員制度(勤務地限定正社員や職務限定正社員等)について議論されることになっている。

多様化する労働契約のルールに関する検討会 開催要綱
1 趣旨・目的
労働契約法の一部を改正する法律(平成24年法律第56号)附則第3項におい て、同法施行後8年を経過した場合において、改正労働契約法第18条の規定に基づく無期転換ルールについて、「その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるもの」とされている。
また、勤務地限定正社員や職務限定正社員等の「多様な正社員」は、無期転換ルールによって無期雇用となった社員の重要な受け皿の1つとして期待されるところ、規制改革実施計画(令和元年6月閣議決定)において、令和2年度中に多様な正社員の雇用ルールの明確化について検討を開始することとされている。
このため、無期転換ルールの見直しと多様な正社員の雇用ルールの明確化等に ついて検討を行うことを目的として、「多様化する労働契約のルールに関する検討会」を開催する。

2.検討事項
無期転換ルールの見直しと多様な正社員の雇用ルールの明確化等の検討

3.運営
(1)本検討会は、厚生労働省労働基準局長が学識経験者(別紙)の参集を求めて開催する。
(2)本検討会においては、必要に応じ、(1)の参集者以外の学識経験者及び実務経験者等の出席を求めることがある。
(3)検討会、会議資料及び議事録については、原則として公開とする。ただし、個社のヒアリング等、公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある場合等において、座長が非公開が妥当であると判断した際には、非公開とすることができる。なお、非公開とする場合には、その理由を明示するとともに、議事要旨を公開する。
(4)本検討会の座長は、参集者の互選により選出し、座長代理は座長が指名する。
(5)本検討会の庶務は、厚生労働省労働基準局労働関係法課において行う。(第1回「多様化する労働契約のルールに関する検討会」資料より)

開催要綱には「労働契約法の一部を改正する法律(平成24年法律第56号)附則第3項におい て、同法施行後8年を経過した場合において、改正労働契約法第18条の規定に基づく無期転換ルールについて、『その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるもの』と」と記載されている

つまり「多様化する労働契約のルールに関する検討会」は、改正労働契約法附則(平成24年8月10日法律第56号)第3項(「政府は、附則第1項ただし書に規定する規定の施行後8年を経過した場合において、新労働契約法第18条の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」)の規定を根拠にした検討会(有識者会議)となる。

いずれにしても、改正労働契約法に規定された無期転換ルールについては「無期転換申込権が発生する5年の直前での雇止めに関するトラブル」が増加している中、「多様化する労働契約のルールに関する検討会」は改正労働契約法の無期転換ルール規定施行後初の「本格的な法改正に向けた議論」となる。

また、多様な正社員についても、政府のテレワークの推進政策によって注目されている「ジョブ型」議論が行われるということで、注視しなければならない検討会であることは間違いない。

多様化する労働契約のルールに関する検討会 論点

「多様化する労働契約のルールに関する検討会」で議論すべき「論点」は検討会事務局(厚生労働省)が準備した資料に列挙されている。

まず無期転換ルール関係では(1)無期転換を希望する労働者の転換申込機会の確保、(2)無期転換前の雇止め、(3)通算契約期間及びクーリング期間、(4)無期転換後の労働条件、(5)有期雇用特別措置法の活用状況、(6)その他。

また多様な正社員関係では(1)雇用ルールの明確化、(2)その他。

検討会で議論していただく論点(第1回検討会資料、PDFファイル)

検討会で議論していただく論点
1 無期転換ルール関係
(1)無期転換を希望する労働者の転換申込機会の確保
(2)無期転換前の雇止め
(3)通算契約期間及びクーリング期間
(4)無期転換後の労働条件
(5)有期雇用特別措置法の活用状況
(6)その他

2  多様な正社員関係
(1)雇用ルールの明確化
(2)その他

3 その他
必要に応じ、適宜論点を追加

多様化する労働契約のルールに関する検討会 委員名簿

厚生労働省の有識者会議「多様化する労働契約のルールに関する検討会」のメンバーは次のとおり。

安藤至大 日本大学経済学部教授
戎野淑子 立正大学経済学部教授
桑村裕美子 東北大学大学院法学研究科准教授
坂爪洋美 法政大学キャリアデザイン学部教授
竹内(奥野)寿 早稲田大学法学学術院教授
両角道代 慶應義塾大学大学院法務研究科教授
山川隆一 東京大学大学院法学政治学研究科教授<座長>

座長の山川隆一・東京大学大学院法学政治学研究科教授の関心領域は「労働法分野のうち、労働紛争処理、国際労働関係、及び法の実現手法にかかわる領域」(東京大学Webサイトより)、また労働政策審議会職業安定分科会の分科会会長。

第1回 多様化する労働契約のルールに関する検討会

第1回検討会は2021年3月24日に開催されたが、議題は「無期転換ルールと多様な正社員の雇用ルール等に関する現状等について」。この第1回検討会については、詳細な議事録が厚生労働省Webサイトに公開(5月13日)されている。

この議事録を読むと、厚生労働省の労働基準局労働関係法課・竹中補佐が、検討会の今後の予定について「第1回は現状等ということで今日でありますが、第2回ではヒアリング等をしてはどうかと、第3回以降で、先ほど少しお話ししましたが、直近の状況というのは別途調査しておりまして、そういった結果などもお示ししつつ、その後、各論点について御議論いただくようなことで、秋以降をめどで報告書取りまとめということができればと考えています」と発言。

また、竹中補佐はヒアリングについて「ヒアリングの対象者としては、企業の人事担当者を2社程度、労働組合は2団体程度ということで考えています。主なヒアリング項目としては、団体の概要ですとか、各論点に関する事項、あとは制度面で改善を求める事項ですとか、そういったことで考えています」と、そして「留意事項としましては、ヒアリングは対象者からの説明をいただいた上で適宜質疑をする形でしてはどうかということ」と「非公開で行うことが必要ではないか」と発言している。

<竹中補佐>
まず、資料8のほうを御覧ください。タブレットでは06でございます。
こちらは「検討会のスケジュール(案)」ということでして、第1回は現状等ということで今日でありますが、第2回ではヒアリング等をしてはどうかと、第3回以降で、先ほど少しお話ししましたが、直近の状況というのは別途調査しておりまして、そういった結果などもお示ししつつ、その後、各論点について御議論いただくようなことで、秋以降をめどで報告書取りまとめということができればと考えています。
続いて、資料9のほうを御覧いただきたいと思います。今ほど申し上げました次の会でヒアリングをするということですと、ヒアリングの対象者としては、企業の人事担当者を2社程度、労働組合は2団体程度ということで考えています。主なヒアリング項目としては、団体の概要ですとか、各論点に関する事項、あとは制度面で改善を求める事項ですとか、そういったことで考えています。留意事項としましては、ヒアリングは対象者からの説明をいただいた上で適宜質疑をする形でしてはどうかということと、(2)としては非公開で行うことが必要ではないかと考えているところであります。(第1回「多様化する労働契約のルールに関する検討会」議事録抜粋)

多様化する労働契約のルールに関する検討会 主な意見

第1回「多様化する労働契約のルールに関する検討会」での主な意見については、第2回検討会資料として公開されている。

第1回検討会における委員の主なご意見
【無期転換ルール関係】
○ 無期転換をした場合や多様な正社員になった場合の労働条件について規定を整備していないことにより不明瞭であるということが、労使双方にとっての課題の一つである。これは、労働条件の設定に関する点と周知に関する点の双方において重要。
○ 無期転換に係る周知については、労働者が、無期転換を希望するかしないかを考える機会を提供するという意味での情報提供も必要。
○ 無期転換申込権とそれに関する制度について、労働者に認知されるような施策について検討することは重要な論点である。
○ 無期転換後について、正規雇用労働者よりも労働条件に劣っている部分があったとしても、同一労働同一賃金の対象とはならない。無期転換によって、別段の定めに基づき労働条件が下がるということについても、整理する必要がある。

【多様な正社員の雇用ルール関係】
○ 多様な正社員を有期雇用者の無期転換先としてだけ捉えるのではなく、正社員から多様な正社員になる動きも踏まえて、多様な正社員の雇用ルールの明確化について整理していかなければならないのではないか。
○ いわゆる正社員であっても、何らかの限定があると言える部分もありえる中で、無限定の働き方であることを前提に議論することやそれを肯定するような形で議論することはいいのだろうか。多様な正社員だけを念頭に置くのではなく、いわゆる正社員についても念頭において議論していくべきではないか。
○ 正社員や多様な正社員は、法制度で定められている概念ではないので、広めに色々視野に入れた上で検討することになるのではないか。
○ 多様な正社員の制度があるということと、制度が活用されている、運用されているということは、必ずしも一致していないことに留意が必要。また、事業所閉鎖等の場合、多様な正社員にも正社員と全く同じ雇用維持努力を行うという企業がおよそ半数だが、実態も同様になっているのかは確認が必要。
○ 正社員として採用された場合、一度限定社員になったとしても、正社員に戻ることは多くの企業で可能かと思うが、限定正社員として採用された場合、正社員になるためには、求められている水準に違いがあるなどの理由で試験や面接などがある可能性がある。そのため、どういう形で採用されたのかによって、正社員と多様な正社員間の移行の可能性や容易さに違いがあることに留意が必要。

第1回「多様化する労働契約のルールに関する検討会」における委員の主なご意見(第2回検討会資料、PDFファイル)

第2回 多様化する労働契約のルールに関する検討会

第2回「多様化する労働契約のルールに関する検討会」は4月20日に開催された。議題は「企業及び労働組合からのヒアリング」だったが、残念ながらヒアリング対象者の勤務企業名も所属労働組合名も非公開だった。

非公開の理由
「検討会公開の取扱について」(第1回検討会資料2)の⓶「特定の個人等にかかわる専門的事項を審議するため、公開すると外部からの圧力や干渉等の影響を受けること等により、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるとともに、委員の適切な選考が困難となるおそれがある」場合及び⓸「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当するため。

なお、資料『「多様化する労働契約のルールに関する検討会」事務局ヒアリング概要』は第3回検討会資料として公開されている。

「多様化する労働契約のルールに関する検討会」事務局ヒアリング概要(PDFファイル)

第3回 多様化する労働契約のルールに関する検討会

第3回「多様化する労働契約のルールに関する検討会」は5月27日に開催されたが、議題は第2回と同様に「企業及び労働組合からのヒアリング」。また、第2回と同様に非公開。

なお、6月24日に開催される第4回「多様化する労働契約のルールに関する検討会」での有識者からのヒアリングは公開される予定。

多様化する労働契約のルールに関する検討会(厚生労働省公式サイト)

追記:第4回 多様化する労働契約のルールに関する検討会 資料

2021年6月23日、明日(6月24日)開催される「多様化する労働契約のルールに関する検討会」(第4回)配布資料が厚生労働省公式サイトに公開された。

資料1 峰弁護士提出資料(PDFファイル)

資料2 嶋﨑弁護士提出資料(PDFファイル)

第4回「多様化する労働契約のルールに関する検討会」資料(厚生労働省公式サイト)