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つながらない権利を否定する労働基準関係法制研究会(厚生労働省)
厚生労働省の有識者会議「労働基準関係法制研究会」の第13回研究会は本日(2024年9月11日)開催されます。議題は「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇について」ですが、資料には「つながらない権利を労働者の権利として構成することには違和感がある」と「つながらない権利」法制化に対して否定的な労働基準関係法制研究会メンバー(構成員)の意見が書かれています。
つながらない権利は労働者権利として違和感?
本日(2024年9月11日)開催の厚生労働省「労働基準関係法制研究会」の第13回研究会『資料1 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇について』7ページには「つながらない権利について、労働のON/OFFをはっきりさせた上で、OFFについては基本的に使用者が介入しないものであるのが本来なので、つながらない権利を労働者の権利として構成することには違和感がある」と「つながらない権利」法制化に対して否定的な否定的な労働基準関係法制研究会メンバー(構成員)の現実をみていない酷い意見が書かれています。
資料1 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇について(PDF)
厚生労働省 労働基準関係法制研究会とは
厚生労働省「労働基準関係法制研究会」は、「新しい時代の働き方に関する研究会」につづいて開設された厚生労働省(労働基準局)有識者会議になります。
「労働基準関係法制研究会」の目的は「今後の労働基準関係法制について包括的かつ中長期的な検討を行うとともに、働き方改革関連法附則第12条に基づく労働基準法等の見直しについて、具体的な検討を行うこと」とされています。
また「労働基準関係法制研究会」の検討事項は「『新しい時代の働き方に関する研究会』報告書を踏まえた、今後の労働基準関係法制の法的論点の整理」と「働き方改革関連法の施行状況を踏まえた、労働基準法等」とされています。
厚生労働省 労働基準関係法制研究会 メンバー
厚生労働省「労働基準関係法制研究会」のメンバー(構成員)は、荒木尚志・東京大学大学院法学政治学研究科教授(座長)、安藤至大・日本大学経済学部教授、石﨑由希子・横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授、神吉知郁子・東京大学大学院法学政治学研究科教授、黒田玲子・東京大学環境安全本部准教授、島田裕子・京都大学大学院法学研究科教授、首藤若菜・立教大学経済学部教授、水島郁子・大阪大学理事(兼)副学長、水町勇一郎・早稲田大学法学学術院教授(元 東京大学社会科学研究所比較現代法部門教授)、山川隆一・明治大学法学部教授 (50音順)。
追記:労働基準関係法制研究会 報告書(案)
労働基準法などの見直しを議論している厚生労働省・有識者会議「労働基準関係法制研究会」の第15回研究会が本日(2024年12月10日)開催されましたが、議題は「労働基準関係法制について」ですが、資料は「労働基準関係法制研究会 報告書(案)」となっています。
この「労働基準関係法制研究会 報告書(案)」に記載された「つながらない権利」に関する記述は次のとおりです。
つながらない権利
本来、労働契約上、労働時間ではない時間に、使用者が労働者の生活に介入する権利はない。しかし現実には、突発的な状況への対応や、顧客からの要求等によって、勤務時間外に対応を求められる状況は容易に発生し得る。このような場合に、実際にはなし崩しに対応を余儀なくされている場合もある。私生活と業務との切り分けが曖昧になり、仕事が私生活に介入してしまうことになる。
欧州等では、「つながらない権利」を行使したことや行使しようとしたことに対する不利益取扱いの禁止、使用者が労働者にアクセス可能な時間帯の明確化や制限、「つながらない」状態を確保するための措置の実施(より具体的には労使交渉の義務付け)等を内容とした、「つながらない権利」が提唱されている。例えば、「つながらない権利」を法制化しているフランスの例を見ると、具体的な内容の設定の仕方・範囲は労使で協議して決めており、その内容は企業によって様々であるが、労使交渉で合意に至らない場合には、つながらない権利の行使方法等を定めた憲章を作成することが使用者に義務付けられている。
また、実際に勤務時間外に労働者に連絡をとる必要が生じる際は、労働者と使用者の関係だけでなく、顧客と担当者の関係等も含めた複合的な要因が生じていることが多いと考えられ、当該連絡の内容についても、具体的な仕事が発生して出勤等をしなければならないこともあれば、電話等での対話を行わなければならないもの、メール等が送られてくるだけといったような、様々な段階のものが存在し得る。
こうした点を整理し、勤務時間外に、どのような連絡までが許容でき、どのようなものは拒否することができることとするのか、業務方法や事業展開等を含めた総合的な社内ルールを労使で検討していくことが必要となる。このような話し合いを促進していくための積極的な方策(ガイドラインの策定等)を検討することが必要と考えられる。(労働基準関係法制研究会 報告書 案より抜粋)
労働基準関係法制研究会 報告書(案)(PDF形式)
労働基準関係法制研究会(厚生労働省サイト)
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