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リーダーは1人じゃない?シェアド・リーダーシップとは/読書log

こんばんは、ゆあさです。
今日は修論でも参考にした論文をもとにした著書を紹介します。

「全員活躍チームを作るシェアド・リーダーシップ」
リーダーシップ・シフト/堀尾志保、中原淳(2024)

日本能率協会マネジメントセンター

立教大学大学院の博士後期課程で研究されている堀尾志保さんと、同大学院教授の中原淳先生の著書です。
こちらの本は、堀尾さんの博士論文をもとに書かれているものだと思うのですが、アカデミックな文章を分かりやすく、実践しやすい形で示されています。組織開発、チームマネジメントに興味のあるリーダー層、マネージャー、人事担当者にオススメな1冊です。

3回くらいに分けてレビューしたいと思いますので、お付き合いいただけますと幸いです!

「リーダー」と聞くと、どんな人を思い浮かべますか?

カリスマ的な存在感を持ち、決断力があり、チームを引っ張る・・・
そんな「1人のリーダー」がいる姿を想像する人が多いのではないでしょうか?

私自身、運営側として自社グループの経営者研修や合宿に入るのですが、多くの方が「リーダー」、「リーダーシップ」と語るときには、その組織のトップを指すことが多いと感じています。

しかし、現代の組織では「1人のリーダーに頼る」リーダーシップでは限界が見えてきています。むしろ、チーム全員がリーダーシップを発揮する「シェアド・リーダーシップ(Shared Leadership)」が、これからの時代に求められるスタイルの一つとして注目を集めています。

本書をもとに、シェアド・リーダーシップについて考えていきましょう。


従来のリーダーシップ vs. シェアド・リーダーシップ

従来のリーダーシップ(1人のリーダーが引っ張るスタイル)

  • トップダウン型

  • リーダーが決定権を持ち、指示を出す

  • リーダーの負担が大きく、メンバーは受け身になりがち

シェアド・リーダーシップ(全員がリーダーシップを発揮するスタイル)

  • フラットで協力的な関係

  • 状況に応じて、誰もがリーダーシップを発揮できる

  • チーム全体のエンゲージメントが高まり、持続可能な成長ができる

シェアド・リーダーシップでは、「リーダーが決めて、メンバーが従う」という従来の考え方ではなく、「チーム全員がリーダーとして機能する」ことを目指します。

シェアド・リーダーシップにはどのような効果があるのか?

シェアド・リーダーシップがもたらす効果を検証した先行研究では、主に以下の効果が示されています。

  • 業績:従来のトップダウン型のリーダーシップより、チームメンバー間でのリーダーシップの方が企業成長指標への寄与率が高いことが示されている。

  • イノベーション:メンバーが率先してアイデアを提案したり、意見を述べることでアイデアが創発されやすいことが示されている。

  • メンバーの満足度:メンバー自身がリーダーシップを発揮できることで、より主体的に参画でき、仕事の満足度につながる。

  • メンバーのリーダーに対する評価:シェアド・リーダーシップを促進しているリーダーほど、チームメンバーから優れたリーダーとして認識されている傾向があることが分かっている。

  • テレワークによる求心力の低下をカバー:テレワーク下でマネジャーなどの公式リーダーによって発揮されるリーダーシップによって業益を生み出す効果は弱まることが明らかになっている。一方、シェアド・リーダーシップが発揮されるチームでは、テレワーク下でも業績が安定している。

一見、グイグイ引っ張っていく人の方が優れていると思われそうですが、シェアド・リーダーシップを発揮する人の方が優れていると思われるそう。ここは意外に感じられる方もいらっしゃるのでは?
先日レビューした本の「頭のいい人が話す前に考えていること」でも、社会的知性の高い人が知的だと感じるとありましたが、シェアド・リーダーシップが発揮できるリーダーは社会的知性が高そうですよね。


なぜ今、シェアド・リーダーシップが必要なのか?

以下のような社会的風潮が、シェアド・リーダーシップが必要な理由として挙げられています。

  • 環境変化が激しい:組織を取り巻く環境が変化し続ける中、1人のリーダーだけがすべてを決めるのは非現実的。 

  • 多様性の時代:価値観やスキルの異なるメンバーが協働するには、全員が主体的に動く仕組みが必要。

  • 心理的安全性の向上:誰もが意見を言える環境を作ることで、チームの創造性やパフォーマンスが高まる。

「リーダーシップは1人のものではなく、チーム全員で育むもの」としています。

シェアド・リーダーシップを実現するには?

「全員がリーダーになる」と言われても、どうすればいいのかピンとこないかもしれません。

次回の記事では、シェアド・リーダーシップを実践するための5つのステップを詳しく解説します!

「リーダーは1人じゃない」時代に、私たちはどんなチームを作っていけるのでしょうか。ぜひ、次回もお付き合いお願いします。

「シェアド・リーダーシップ」について、皆さんの考えや経験をぜひコメントでシェアしていただけると嬉しいです!

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