金融業界は一旦、アインシュタインと決別したほうがいい
「複利は人類最大の発明である」
金融関係の情報をインターネットで調べていると、いつしか必ずこの言葉に出合います。そして、多くの人は深い感銘を受けることでしょう。なぜなら、これはかのアルベルト・アインシュタインによる名言とされているからです。
ためしに「アインシュタイン 複利」と検索してみてください。大手証券会社のオウンドメディア、大手出版社のマネー系メディア、なかには大手通信社の記事でも、この名言が引用されています――。
しかし、これ、本当にアインシュタインが語った言葉なのでしょうか? 実は、確たる証拠がないんですねー。
実際、検索でヒットしたコンテンツの詳細を見てみても、その名言のあとに「〜と語ったとされている」「〜と言ったとか言わなかったとか」などのセンテンスが続きます。そのためか、この出典を明記しているところは、どこもありません。
一方、ネットにはちらほら、この名言について疑う声も。出典はどこなのか? なぜ物理学者が金融のことに言及したのか? 気になる人はとても気になりますし、それに明確な答えを出せた人もいないのです。つまり限りなく黒に近い、グレーの存在。
まあ、「アインシュタインがこう言っていたら面白い」という感覚は、よく分かります。下手したら、自分も無自覚にこのフレーズを利用する可能性もあるでしょう。実際、複利のパワーは偉大ですし、誰かに不利益をもたらす内容でもありませんから。
ですが、もとより「口八丁手八丁」というのが、金融業界のイメージ。実体のない商品を売るなか、あえて自らそのレッテルを体現するような真似をしていいのか? なにやら煮えきらない、モンモンとした思いが残る、今日このごろです。
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