#54 自分の等級以上の仕事はやらなくていい?
多くの会社には、階級制度(昇給制度)があると思います。それぞれの階級では求められる仕事のレベルが違い、その分、給料も違います。僕の所属組織ではそれを「等級」と呼んでいます。
自分の等級に見合う仕事をこなして、その対価として給料をもらうのが本来の姿です。しかし、人財の不足や年齢構成のアンバランスなどで、必ずしも等級に見合う仕事内容にならない場合があります。むしろ、その方が多いかもしれません。
では、自分の等級以上の仕事はやらなくてもよいのでしょうか。
結論を先に言います。
やるべきです。
その方が自分のためになるからです。
僕はそう考えています。
入社して3年目くらいまで、等級以上の仕事はやらなくても良いと思っていました。言われたことをこなしていけばそれで良い。そう思っていました。
一方、当時の上司には「1つ上の階級の仕事をやっていかないといけないよ」と言われていました。当時は意味が分かりませんでした。だって、それに見合う給料もらってないじゃん。
それからしばらくして、ダム工事の監督員になったときです。ダムの基礎の岩盤評価や透水性の判定に主担当として従事しました。恐らく、大学で地質学を学んだことや、入社して数年間地質関連の業務に従事した経験を買われたのでしょう。慢性的な人財不足も一因だったかもしれません。
従来、主担当になるのは40歳くらいの人で、その下に20〜30代がついて補佐をするのが一般的です。僕が主担当になったのは、27歳のときでした。等級で言えば、2ランク上の仕事です。
でも、それを嫌とは思いませんでした。自分の強みを存分に発揮できるポジションですし、強みを伸ばせるまたとないチャンスだと思えたからです。
自分で現場を見て、自分で資料を作り、課長や所長、その上の本社の担当者や管理職にも自分で説明しました。ときには、国交省の所長クラスの方に、岩盤状況を説明することもありました。
思うように工事が進まず、苦しい時期もありましたが、この経験が僕を大きく成長させてくれたと断言できます。主担当に求められる、全体の掌握と調整・説明能力は、任せてもらったからこそ、磨くことができたものです。
課長との面談で、「等級以上の仕事をこなしていて、良い評価ができます」と言われた時には、本当に嬉しかったです。悩み、苦しみながら何とか前に進めようとする様子を課長は見ていてくれたんですね。
この経験から僕が学んだことが1つあります。
自分と同じレベルの仕事をしていては成長しない。
上のレベルの仕事に取り組み初めて成長する。
端的に言えば、立場が人を成長させるということ。
等級の話に置き換えれば、上の等級の仕事ができるようになると昇格するということです。
自分の等級以上の仕事はやらなくても良いと思っていた過去がありました。
しかし、今ならはっきり言えます。
等級以上の仕事を任されたらやるべきだ。
自分を1つ上のレベルに上げるチャンスなのだから。
より上のレベルで仕事をやることで、自分の視野は広がります。全体の中の自分の位置や役割を理解して動くことができます。結果的に自分の成長にもなりますし、会社にとってもプラスになります。
自分の守備範囲を守るだけでは、成長のチャンスを逃します。もったいないです。チャンスは身近なところに転がっています。より高いレベルにいきたければ、上の等級の仕事を任された時に進んでやるべきなのです。またとないチャンスなのですから。
最後までお読みいただき、
どうもありがとうございました。