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2017年6月の記事一覧
マウンドの陽炎【掌編小説】
僕がその男を見つけたのは町外れの草野球場だった。
野球場といっても、そこはもう随分と前に現役を引退したグラウンドで、雑草に覆われたダイアモンドには申し訳程度にホームベースが置いてあるだけだった。夏の盛りの今は雑草も伸び放題で、ただの野っ原と変わらない有様だった。
男は本来ならピッチャーマウンドのある辺りに立って、ホームベースではなく、ライト方向を眺めていた。その先に特に何があるわけでもな
僕がその男を見つけたのは町外れの草野球場だった。
野球場といっても、そこはもう随分と前に現役を引退したグラウンドで、雑草に覆われたダイアモンドには申し訳程度にホームベースが置いてあるだけだった。夏の盛りの今は雑草も伸び放題で、ただの野っ原と変わらない有様だった。
男は本来ならピッチャーマウンドのある辺りに立って、ホームベースではなく、ライト方向を眺めていた。その先に特に何があるわけでもな