赤いお坊さんのおはなし
赤いお坊さんは、美しい山並みの切り立った頂にそびえ立つ
伝説の建物の中に住んでいるわけでもなく、
森の奥深くにひっそりと佇んでいる一角獣の湖のほとりに
秋分の満月の夜、霧とともに現れるのでもなく、
田んぼと平屋に恵まれた田舎町の、腕ききで心の優しい誠実な男、
正光さんの家にいらっしゃいました。
正光さんは、もともとたいそう人間味の厚い方で、
赤いお坊さんがやってくる日を今か今かと
心待ちにしていらっしゃいましたので、
ついに赤いお坊さんが現れなさった時には、
歓喜のあまりに