AWESOME Choices Issue no.020 外資メーカーの経験を活かし、未経験の経営戦略コンサルティングで様々な企業の経営や事業にチャレンジするというキャリア
もこさん
現在はコンサルティング会社で様々な企業の経営や事業に携わっているということですが、高校・大学時代の進路選択時のお話について聞かせてください
高校に入る頃には自然に理系と決めていました。文系理系という概念をあまり理解していなかった頃からいわゆる理系科目が好きで、小学校の理科の先生からも”お前は理系だな”と言われ、”リケイ?はて?”と思った記憶があります。中学の頃は祖母の病気がきっかけで、薬の研究をしたい、と言っていたのを覚えています。
高校入学後の初めての物理の授業で力学の概念を知り面白すぎて衝撃を受け、夢中で問題集に向かって一日過ごした日があった記憶があります。生物よりも化学、化学よりも物理が好きでした。大学時の進路選択は、高校の頃に知ったある教授の研究や研究室の活動に惹かれたことが1番のきっかけです。その影響で、この先生の研究室に入りたい!この人のような研究者になりたい!と機械科一択で受験しました。ですが、その先生に出会わなくても多分、機械科が第一候補になった気がします。建築やデザイン工学も、受験はしませんでしたが少し検討したことがありました。おそらく、目に見えるモノが好きで、仕組みや成り立ちに面白さを感じるからかなと今になって思っています。
外資メーカーを経て、現在はコンサルティング会社に勤務されているということで、これまでに経験したお仕事を選ばれた理由について教えてください。
新卒で就職活動をしているとき、私は“科学技術に関わるアプローチで、人々の生活にポジティブな変化をもたらす架け橋になりたい“とよく言っていました。外資メーカーでは、多様な技術基盤を活かしてそれが実現できるなと思い、新卒で入社しました。今でもそこにギャップは無かったと思っています。あとは、社員との交流を通して、アメリカ企業のカルチャーや働き方が自分に合いそうだったこと、技術者からマーケティングや営業などの職種に変えられる為、多様なキャリアパスが柔軟に選択肢としてあったことも決め手でした。
結果的にメーカーの技術者としてキャリアのスタートを選びましたが、就職活動中に、商社、外資系企業、ベンチャーが向いてるのでは?などと複数の人から言われたのがきっかけで、理系就職以外も選択肢として検討しました。実際に文系職種にも内定もしましたが、やはり科学技術に関わることをエンジニアの立場としてやってみたいという気持ちが捨てきれず、技術職に決めました。今思うと、せっかく修士まで取ったし、というサンクコスト的な気持ちも少しはあったかもしれません(笑)。
研究者ではなく企業の技術者になりたいと思ったのは、大学の研究室を選ぶ時でした。実際に研究者や研究室について知る中で、“研究者と会社の技術者は全然違うんだ” ということに気づきました。特に、目的や時間軸の違いが大きかったです。当時の私の理解では、企業は事業のための研究開発であり例えるなら短距離走、一方で大学研究のようなアカデミアは未知の解明・発見のための研究であり長距離走でした。私は子供の頃から何事も短距離走派だったので、1年単位、また中長期といってもせいぜい10年くらいのスパンで物事に取り組む方が合っているなと感じました。また研究室の先生や活動のタイプも同様に、企業ライクな研究室とアカデミックな研究室があるように思えました。自分の興味関心のある科学技術との関わり方やそれを通して何をしたいか、研究者と技術者どちらの働き方が自分には合うかを考えた結果、研究室で博士まで進むのではなく修士卒で企業に就職することを前向きに考えて研究室を選択しました。
高校時代出会った憧れの教授のいる大学・研究室に入るのは叶わなかったのですが、大学入学後も引き続き教授とは親交があり、変わらず“研究者になる!”と言っていました。なので、人生20年ちょいの自分にとって5年ほどの片想いに終止符を打つのは、個人的にはちょっとした大きな決断だったように思います(笑)
お仕事の中でご自身が「理系が出ているな」と感じることなどはありますか?
メーカーの研究開発や製造の現場にいると、仕事そのものがいわゆる理系で、特に意識することはありませんでした。むしろ比較論ではありますが、理系っぽくないな、と思うことがありました。職場には、理系っぽいどころかザ・理系な人(例えば、細かい数字に強かったり、ロジックを展開することが好きだったり、何かにのめり込んで周りが見えなくなったり、人と関わることがあまり好きではなかったりなど)が大半なので、そういう方たちと比較すると、自分は細かい数字や緻密なことにこだわることなどはあまり得意ではない一方で、大きな流れや大枠を捉えて進めることが得意だったり人との関わりが好きだったりします。ただ、日常生活では、理系っぽいと言われることも、自分で思うこともあります。例えば、身の回りの現象に対してのリアクションが、"綺麗・素敵・怖い・気持ち悪い"などの感情よりも、"これはこうなってるからだな、とかこれは●●の現象だな"とか、科学的な視点から受け止めることが多いです。
「理系を学んだこと」や「リケジョ」に対して何か思うことなどあれば、教えてもらえますか?
あまり理系と意識して学んだことは無かったですが、”理系を学んだことに対して思うこと”といえば、理系以外のことも学んでおけばよかったなというのがいちばん先に思い浮かんだことです。”リケジョ” に関しては、現状マイノリティではあるけれども、特性を活かして何かできる、リケジョならではの価値がある、というAWESOMEの想いに共感する部分は大きいです。
一方で、リケジョという言葉が無くなるほど一般的になる未来もまた良いんじゃないかな、と思ったりもします。高校生の頃、”猿橋賞(女性の研究者に贈られる賞)”の設立のモデルとなった猿橋さんが”私の願いは、この賞がなくなることだ”とおっしゃっていて、すごく共感したのを覚えています。リケジョという言葉に出会ったときも、同様の感情、男女で括る違和感のようなものを感じて、”いつかリケジョという言葉がなくなると良いかも”と思ってきました。
最後に、これからの進路を考える女子中高生に向けて、アドバイスをお願いします。
1番は、何事も最後は自分の意思で決めてみよう、ということです。かっこいいストーリーや、キラキラした理由が無くても全然良いです。どんな進路を選択しても、なんとなーくで選んでも、たとえ進んだ道を途中で変えても、想定外に迷ってしまって遠回りしても、自分で決めたことならばまた自分で考えて進むことができます。とにかく、自分の人生なのだから、誰かのせいにせず、”自分で決めたこと”の連続で作られるのが良いと思います。
もうひとつは、”学生という立場は無敵です、臆せず思うままに動いてみてください!”ということです。例えば私が高校生の頃、弟子入りしたかった教授とメールでコンタクトを取ったり研究室に出入りさせてもらったり、ということは、学生の立場だったからこそ怖いもの知らずで飛び込め、また 先生も受け入れてくれたのだと思います。もちろん先生はオープンで柔軟な方なので社会人になってもスタンスは変わらないとは思いますが、そのハードルは学生さんの方がはるかに低いです。社会に出ると、出来ることももちろん増えていくのですが、一方で、多くの人が所属や立場、肩書きにより、学生の頃より難しくなることもあると感じています。
最後に
学生時代に研究や力学に興味を持ったことから理系の世界に入り、多様な選択肢から自分がやりたいことをやってみたことで、“科学技術に関わるアプローチで、人々の生活にポジティブな変化をもたらす架け橋になる“という夢を叶えられたことがよくわかりました。自分の考えで意思決定をし、積極的に物事に挑戦していくもこさんの更なる活躍を応援しています!貴重なお話、ありがとうございました。
あとがき
いかがでしたか?
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