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2024年7月東京散歩 ②池袋~西早稲田

夕暮れ時の喧騒の中、私は池袋駅に立っていた。
足早に歩くサラリーマン、楽しそうな学生、普段オフィスにいる時間だが世の中の人々は想像より多くアフターファイブを楽しんでいるらしい。

私は一人で浸っていた。この喧騒を第三者的目線で観察しているという体験に。
いつだって心の中は中二病だ。肉体は老化しても心は若くいたい。こういうのをピーターパン症候群ともいうらしいが。。

基本的なルール(暫定版)
・スタート地点、歩行距離はメンバーの予定を考慮し、話し合いで決める。
・スタートからの方向を16分割し、ルーレットで決める

第二回は2024年7月、池袋で始まった。
空模様が怪しい中でルーレットが止まった方向に歩き出す。


①    鬼子母神脇の焼き鳥屋(元山

池袋駅を出て本日は南に向かって進む。散歩同好会会長たる私は、東京各地に対する思い出の多さが強みなのだ。繁華街を進みながら次々ととなりを歩く同行会員に解説を入れる。
「あれだな、この先のラーメン屋がいつも混んでて有名なんだよな」
「あーそうだな知ってるわ。無敵屋ね。」
「・・・・」

「腹減ったなー。ここの先のうどん屋がこしがあってすごいのよ。絶品ゲキこしうどんとはここのことよ。」
「へーいいね。腹減ったし行きたいな。」
<営業時間外のお知らせ>
「・・・」

営業時間外だったこしのあるうどん屋「うちたて家」

雨が同時に降り出し、私のほほを伝う水が何由来であるかをわからなくしてくれたのは幸運だった。

しばらく歩き、さすがにおなかが空いてきた我々は目の前にある地元感あふれる焼き鳥屋に目をつけていた。普段であればこういう地元色の強い店は選ばない。よそ者にとっては何となく居心地が悪いからだ。だが、散歩にはこういう壁を壊す魔力がある。その時の我々も普段であれば選ばないであろうその選択をすることに戸惑わなかったのだ。

焼き鳥屋 元山

鬼子母神のすぐ近くにある焼き鳥屋元山に入った。地元感はあったが暖かい店だ。アラカルト形式で串を注文できる。ホッピーとその場で作ってもらえるポテトサラダとともに串をほおばる。巨大つくねは元山でのおすすめメニューだ。試されるといいと思う。

②    なつかしの雑司ヶ谷(鬼子母神参道)

私は大学時代、雑司ヶ谷周辺で研究を行っていた。都会にある木密地域(木造住宅密集地域)の解消についてだ。雑司ヶ谷にも多くの木造住宅が残っており、火災発生時の危険性が高い。我々はそれを建て替えるという手法を用いずに解決する策を実際に雑司ヶ谷の町内会と議論したのを覚えている。懐かしい思い出だ。
その時で一つよく覚えているエピソードがある。研究の最中、町内会との議論が終わり、私を含む研究メンバーにて鬼子母神参道沿いにある中華料理屋で打ち上げをしていた。そんな時あとからはいってきた町内会メンバーのおじちゃんが、労をねぎらってビールをおごってくれた。兄ちゃんお疲れ様と。
特段面白くもないそんなエピソードだが、私の海馬には強く記憶に刻まれている。その地元感がなんとも気持ちがよかったのだ。
そんな話をしていると、我々もこういう場所で自分の城を持ちたいという話になった。通りの一階に店を構え、二階に住む。近くにはなじみの店があり、少し歩けば友人に会える。そんな自分のコントロールできる範囲で生きていけるそんな生活にあこがれたのだ。
同行会員と自分だったらこれができるという案を言い合うが、成功の未来が見えない。どうやら簡単ではなさそうだ。
夢は夢のままのほうがいいのかもしれない。

③ 夜中の熱きボードゲーム対戦(カフェゴッタニ

雑司ヶ谷を越えて、マンションに住みたいか戸建てに住みたいかといういかにもアラサーの議論をしながら我々は西早稲田にまで足を伸ばしていた。そんな我々の前に一つの文字が目に入る。
「ボドゲカフェ」
何をかくそう我々はゲーマーだ。テレビゲーム、ボードゲーム問わず色々なゲームに取り組んできた。最近のマイブームはドメジャーだがドミニオンだ。またもや地元感のあふれる店だが、散歩中の我々は無敵だ。躊躇せずに来店を決めた。

部屋にはいると目の前に飛び込んでくるのは常連の人達6名くらいがボードゲームに興じている姿だった。楽しそうに集団で対戦をしている。新参者の我々のことは目に入っていない。少し居心地の悪さを感じながらも着席すると店長から話をかけられる。

「本日はどのようなゲームをされますか」

視界には常連の集団が次に人狼をするという話をしているのが目に入る。散歩中の我々は無敵だ。恥ずかしさなんてない。

「あ、あ、、あの二人で遊べるゲームがしたいです。」

そう、日和ったのだ。夏の暑さに浮かれ散歩している間は無敵だった我々の心は、冷房で冷えた店内に入り着席するころには冷えてしまっていた。

おとなしく二人でボードゲームをすることにした我々はロストシティというボードゲームに挑戦することとした。

ルールはシンプルなゲームだ。
最初に8枚のカードが配られる。カードは5色に分かれており、数字で1~10まで存在している。順番に場にカードを置いていき、最後に置けたカードの得点によって勝敗を決めるゲームだ。詳細のルールは検索してみてほしい。非常に簡単だ。
やれる動作は引くカードを山札から選ぶか場から選ぶかの選択、その次にカードを場に捨てるかセットするかの選択の2つしかない。
ルールがシンプル故、相手との駆け引き、そして引き運が求められる面白いゲームだ。

我々の対戦は熾烈を極めた。序盤からペースをつかんだ同行会員がリードをとる。会長たる私は額に汗をにじませながら注文したアイスティーを口に含んでいた。ちなみに散歩中に買った午後の紅茶と全くアイスティーの味が同じであり、私はその午後の紅茶を手に持ちながらアイスティーを注文したため、店長からは相当の午後ティー好きにみられていたはずだ。

そんなくだらないことを考えながら私は最終ゲームで勝負を仕掛けた。自分の引き運にすべてをかけた1点集中作戦。最後の1枚を引く、勝負は点数を計算するまでわからない。私の点数は?相手の点数は?勝負はどうなった?結果としては私の大逆転勝利で勝負は幕を閉じた。


熱い勝負を終え、店のミニマム時間単位で退店する。こういう夜の挑戦はいい。気が付けば散歩の時間は三時間がたっていた。
ノスタルジーと冒険。今回もそんな散歩ができた。仕事で得ることができていない感覚。ちょっと歩いて挑戦するだけで得ることができる。引き続き我々はこの挑戦を続けたいと思う。

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