眩しくて、静か
うん。大丈夫だ。大丈夫になった。
前に比べて大丈夫になった。
恋が終わった瞬間は、全てが空っぽにしか見えなかった。私も空っぽ。世の中の物理的に存在するもの全て、大したことのないものに見えて仕方がなかった。あれだけキラキラ見えていたのになあ。
でも好きだった時の感情を思い出せる。
これをよく一緒に食べたなとか、こんな服を好んで着ていたなとか、こんな顔をよくしていたなとか。それは、好きな気持ちが蘇るのとは違って、彼を好きだった時間に私が彼に抱いた優しくて温かい空気みたいなものがふっと胸の辺りを走るのだ。その一瞬が静かで波のない湖みたいに私の心を"しん"とさせる。
悲しいと言う感情とは少し違った、もっと割り切れない複雑で不確かなもの。
だけど、それは同時に美しくも映る。
今はもう泣かない。
でもこれから先泣く時があると思う。
でも私は、きっとまた大丈夫になれる。
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