シナジーを生み出すことにのめり込むことのリスク
シナジーを生み出せ、とはさまざまなビジネス本に書かれており、私たちも日々、自分たちの仕事、経験から得たものを活かして新しいものを生み出すことを考えていますが、
事業の分散化においてはシナジーにこだわると逆効果になるケースがあります。分散化できていなかった結果になったケースの話。
私の知り合いで飲食店オーナーを務める方がいます。複数の軽食店とバーを運営していますが、自分のスキルを活かして他の事業に挑戦してシナジーを生み出すんだ!みたいなことを言い出して、居抜きビジネスを始めました。最初は居抜きによる流行もあって、効果は上々。それ相応の結果が出たことで、知り合いの店舗まで購入して、かなり羽振りがよくなっていました。
対して私の妻の話ですが、私がしているビジネスで人手が足りなく、エンジニアスキルもある妻に手伝い、もしくは育休中の仕事を辞めてこちらのビジネスで働くことをお願いしたことがあります。答えはNO。
手伝いをするなら良いが、今の仕事を辞めて働くのは断ると。私の会社やビジネスが頓挫とたときに共倒れになるのは御免、娘のことも考えるならリスクを分けたい、収入源は別にしておきたいとのことで、私も納得しました。
私の知り合いオーナーは、飲食店経営から居抜きビジネスに広げ、気がつけば居抜き先を貸し出す対象を中心とした飲食店のコンサルも始めました。完全にイケイケ状態。正直、調子に乗りすぎている印象もあり、私も含め、私以上に親交のあった友人たちまで離れていく始末。周りももう好きにして状態になり、離れていったようです。私もその頃からもうその方とは会っていません。
妻は育休から復帰して勤めの会社に戻りました。時短で保育園の迎えをしてくれながら、給与は前より減りながらも安定した収入を稼いでくれています。育児が忙しいですが、合間で私のビジネスに関わる動画制作の手伝いをしてくれています。安定して収入を稼いでくれるおかげで我が家の収入は若干増えてきています。
しばらくして、友人とリモートで飲み会(私はノンアル一本でしたが)をする機会があり、そのときにあのオーナーさんの話を聞きました。
それが今回のコロナにより壊滅したとのこと。飲食店への影響は皆さんご存知の通り、居抜きでしているところはあっという間に撤退して、残ったのは膨らませた居抜き店舗の空き家、コンサルビジネスも投資した教材やら活動資金が契約解除で水の泡となったそうです。その方とは今では友人たちも去っていたこともあり、連絡もとれなくなっていました。私からのLINEも未読です。
オーナーさんのとった戦略は失敗だったかもしれませんが、シナジー効果を起こして事業拡大をすることは間違いとは思いません。むしろ私たちが日常的に行っていることです。ただ、リスクの分散化を考えたとき、私の妻が言うように共倒れにならない分野で行うことは必要なことになってきます。共倒れになることになります。そのオーナーさんについては、周りもいなくなったことで一人で倒れた状態ではありますが、助けてくれたり、周りの人のことを考えずにビジネスをするといざと言うとき本当に一人で潰されてしまうことになります。もしかしたら、どこかでうまくやっている可能性もありますが。そうあって欲しい気もします。
シナジー効果を狙って事業を拡大していくことも重要ですが、分散化させるなどのリスク管理もまた必要不可欠と今の時代からは感じます。
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