Tokyo散歩 本
今日は天気が良い。明日もいいらしい。いいというか、少し歩くとちょっと暑いくらい。これはもう初夏。だからリアルな散歩ではなく、本の森を散歩してみるのはいかがでしょう。
ということで、最近読んだ本を3冊ご紹介。
📗 コーヒーにミルクを入れるような愛 / くどうれいん
群像の中で一番好きな『日々是目分量』。毎月楽しみにしているエッセイ。こんなに楽しみな月刊誌は小学生の時に毎月買っていたコロコロコミック以来だ。あの時は月のお小遣いが500円で、コロコロコミックも500円だった。お小遣いをコロコロコミックに全額投入して『爆走兄弟レッツ&ゴー‼︎』を読んでいた。そうか、群像は大人のコロコロコミックなのかもしれない。(またはコミックボンボン)
ほとんどの話は一回読んだことがあるはずなんだけどすっかり忘れていて、どの話も超面白かった。身の回りにあるものや出来ごとに対する感受性とそれを言葉にする筆者の能力の高さにただただ脱帽。まだ読んだことがない方は1話だけでも読んでみてください。きっと顔がずっとニヤニヤしてしまうので、電車の中で読む時はご注意を。
子どもの頃に犬に手を噛まれた話が一番好き。
📘 羅生門・鼻・芋粥・偸盗 / 芥川龍之介
吉祥寺のとある古本屋を物色していたら思いの外時間が経っていて、その間中ずっと店主のお爺さんの視線を僕の後頭部やほっぺた辺りにじわじわ感じていたのだが、ついにその熱いようで生温い眼圧に耐えられなくなり、なんでもいいから一番安い文庫本を買って平和的にこのお店から立ち去ってやろうと思って買った一冊。動機が不純すぎて申し訳ありません芥川龍之介さま。
芋粥のお話で、利仁の家に招待された五位が見た、早朝の朝靄と芋粥を作る釜の中から湧く湯気が一つになり庭一面に広がる描写が美しい。
📕 壁 / 安部公房
50年以上前の本。その当時に作られた物語にしか作り出せない話や雰囲気が新鮮で面白く、少し暖かい。魔法のチョークのお話でアルゴン君が生み出した物の中で一番役に立ったのは財布だと思う。
古いパリパリした紙の手触りと50年前の香りを感じながら、空想小説を読んでみたい方に。
以上、初夏の陽気の中でする読書散歩のご紹介でした。