映画感想文「キッキンから花束を」50年続く店の秘訣は客とのコラボである
50年に渡り、行列のできる店。
南青山の骨董通りにある、中華風家庭料理の店「ふーみん」のドキュメンタリーである。
日本と台湾のハーフである店主の斉風瑞(さいふうみ)氏が女手ひとつで立ち上げた中華料理や。舌の肥えた近隣の著名人たちに鍛えられ磨かれた味。
そういう意味では「ふーみん」は今で言う、コラボレーションがうまく行った事例である。ある種、素人であると言うスタンスのママの人柄も素晴らしかった。
進化する人というのは永遠に素人かもしれないという謙虚さを持ち続けることのできる人なんだと思う。
「ふーみん」という場は、店と客が共に作り上げるサードプレイスである。そしてメニューは客との合作といえる。
そんな時代を先取りした店、「ふーみん」。
イラストレーターの和田誠氏、料理研究家の平野レミ氏夫妻、絵本作家の五味太郎氏など、多くの著名人に愛されたお店でもある。
メニューができた秘話とか、店主であるふーみんママの思いとか、いろいろな熱いものが登場する。
結局、良いものを作り出すのは多様な人のコラボレーションである。それがしみじみと理解できるドキュメンタリー映画である。