映画感想文「シュリ」韓国映画の元祖にして王道な作品。リバイバル上映は必見
大袈裟なんだよ、と思う。
剥き出しの喜怒哀楽。常に誰かと争う(北と南、政府と国民、貧しい人と富める人。だいたいこんなバリエーション。よって、いつも怒鳴り合ってるか泣き叫んでるか、だ)。
そう、時々赤面しちゃうくらいに激情型。
そこも含め、いかにも、な韓国映画だ。2000年に日本公開の本作、元祖なのかもと思う。記憶にある限り、映画好きの素人から見て、日本で韓国映画がメジャーヒットした最初の作品だった。
南北の対立を背景に男女の恋愛を描く、古くはシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」。から続く定番、自らの出自が対立している相手との恋。
北朝鮮のスパイ、イ・ミョンヒョン(キム・ユンジン)はある使命をもち、ソウルに潜伏していた。
彼女の婚約者ユ・ジュンウォン(ハン・ソッキュ)は韓国の情報部の人間だ。愛し合う2人とも、互いの背景は知らない。いや、知ろうとしない。
そんな状態での恋愛。当然ながら2人の運命や、いかに。という感じだ。
キム・ユンジンは本作でメジャーになり、その後米国のテレビドラマシリーズ「LOST」など国際的に活躍している。そのきっかけになったブレイク作品だ。
同じく、運命を背負った悲しい女スパイといえば、リュック・ベンソン監督の「ニキータ(1990年公開)」がある。個人的には、こちらの方が好みだ。
もっと軽やかで自分軸。連帯責任とか国のためにとか、そういう風に彼女を縛るものはない。あっても引きちぎっていく身勝手さがある。そこが好きだ。
結局は人は一人で生きてくんだよ、根本的にそう思う一人としてはそんなことを思い起こし、自分の価値観を再確認した、リバイバル上映であった。元祖を学ぶのに最適でおすすめ。